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自称インキャぼっちは悩みの数だけ彼女がいるようです  作者: 史本 会
自称インキャは後輩女優に翻弄されているようです
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私のスケジュール


私の朝は早い。

起床したのは朝6時。


起きてからまずやることは私自身の身支度と食事。そして次に先輩のお弁当作り。これが一番時間がかかる。でも先輩のためだったらそんなことは気にならない。


これを済ませて大体いつも7時になる。そしてやることはもう一つ。それは先輩へのアプローチの確認。ちゃんと予習しておかないとねっ!


そして取り出したのは一冊のノート。そこに書かれているのは端から端まで埋め尽くされたスケジュールと台詞。 それに15分間目を通しノートを閉じた。



「それじゃあ今日も行ってきます!」



そして私は家を出る。





先輩が家を出るのは7時35分頃。それを把握した上で私はその10分前から家の前で待っている。



ガチャン!

先輩が家から出てくる音。今日はいつもより2分くらい早い。



「せーんぱい!おはようございます!」



家の前で待っていた私を先輩はいつものようにスルーする。だけどその時のちょっと恥ずかしそうにしている顔が可愛い!


先輩はいつものように歩き出す。後ろを振り返らず歩くスピードを上げていく。



「先輩、早いですっ!!」



本当は振り返って欲しいけどそれを無視して歩いていく。



曲がり角を曲がった途端に先輩は走り出す。


走っている事を気づかれていないと思っているらしい。でも私はちゃんと気づいてます!


私も後を追うようにゆっくりと走り出す。先輩は走るのが意外と速いから追いつきはしない。だけど正門が見えてくると、その隣でいつも私を待ってくれている。


そんな優しいところは大好き!


正門に入って私は演技をする。ものすごく疲れたような演技を。


先輩はすぐ私の演技に騙されるから少しだけ休ませてくれる。


いつもなら「1分な」とか言ってくれるんだけど今日は何も言ってこない。私が目を合わせようと顔を見るが、全く顔を向けては来ない。


そして唐突に歩き出す。今日の先輩はなんか変だ。もしかして昨日の事を気にしてる!?もちろん私だって気にしてるけど、先輩も私を意識してくれるようになったんだ!



・・・昨日先輩が帰った後、私はニヤニヤが止まらなかった。もちろん恥ずかしい!という感情もあったがそれよりも嬉しい気持ちの方が強かった。


なにせ先輩のファーストキスをいただいたのだから!多分だけど・・・。




下駄箱で先輩とは一旦お別れ。本当はすごく寂しいけど、それを堪えて笑顔を向ける。


すると先輩は顔を赤くして、そっぽを向く。やっぱり先輩は昨日の事を意識しているみたい。これはチャンスだ!




けれど朝が終わってしまえば違う学年で違うクラス。先輩とは会えない。授業中は先輩とのスケジュールを埋めるのに必死で休み時間になれば教室の前に行き、先輩を監視している。


ちょっとストーカーみたいになってるけど、そうでもしないと先輩は落とせない。


それに監視していて分かったが、鮫島さんは危険だ。先輩もちょっと惹かれ気味だし、鮫島さんも満更でもない様子。彼女は危険だ!



昼休みには先輩の弁当を届けに教室に出向く。先輩もいつものように廊下に出てそれを受け取る。



「先輩、残さず食べてくださいね!」


「お、おう」



この時の先輩の顔はなぜかいつも引きずっている。


まぁ私の料理が下手なのは分かるけどそこは笑顔でもらって欲しい!



っていうか今日は全然会話できてないような・・・。


もっと先輩に構って欲しい。先輩に甘えたい!そんなことを今日も思いながら学校を過ごしている。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



全く、なんであいつはあんなに平然としていられるんだ!


昨日あんなことがあったのに。キ、キスだぞ!俺はあいつとキ、キスをしたんだ。なのにあいつはいつも通りだし、まるで昨日のことがなかったみたいじゃないか!


俺はさっきもらった弁当と睨み合いながら昨日のことを考えていた。


もしかしてあれ夢なんじゃね!なんて現実逃避をしてみたり・・・てかもし夢だったら俺、とんだ変態だよな!



そして箸で唐揚げをつまみ口に入れる。いつものように謎の味が口の中を充満する。いつものことだが本当にまずいな・・・。



だがそんな食事も慣れてきて食べるのが少し早くなった気がする。



「横田くーん!」



気持ち悪い声を出して呼んできたのは久しぶりの登場である峯崎だ。



「おう、峯崎久しぶりの・・・じゃなくてなんか用か?」



「いやー何って最近僕登場してなかったから、久しぶりに出てこようと思ってね」



あら、俺が言いづらくて言わなかったことを自分で言ってしまった。なんか可哀想な子だな。



「それで他には用はないのか?」


「な、ないです・・・」



峯崎は肩を落とし顔を下に向ける。


用がないことをここまで残念に思えるのはすごいことだ。ある意味尊敬する。



「あ、あの横田さん」


「はい、なんでしょう!」



先程までの態度とは一変して明るい返事をする。それは当たり前である。何しろ鮫島さんが話しかけてくれたのだから!



「あ、いや・・・その今日は元気がなかったようなので」


「そ、そんなことないよ!」


「そ、そうですか。ならいいんですけど・・・」



鮫島さんに心配して欲しいが、して欲しくない。とここで矛盾が生じている。鮫島さんのような美少女に心配されるのは嬉しい。けど鮫島さんに心配をかけるのは心が痛む。というようにいつも心配されるたびに俺の心は戸惑いを見せている。






下校のチャイムがなる。鮫島さんにはちゃんと別れの挨拶を告げ、ってそんな重い挨拶はしてないからな!

普通に「じゃあね」とか「また明日ね!」とかだからな!




正門に行けばいつも通り百合子が待っている。


いつものように会話がしたい!なんて思ってはいるのだが、なにせ昨日あんなことがあったから普通に会話をするどころか顔すら見ることができなかった。



「先輩、どうしたんですか?今日はやけに静かですけど?」


「・・・」


「あっ、もしかして昨日のことですか!?」


「なっ!・・・」


「やっぱりそうなんですね?」


「うっ・・・」


「先輩可愛いですね !」


「う、うるさい!」


「あっやっと喋りました」



この女とは関わらないと決めていたものの、実際家の前に朝から待たれ、帰りは正門で待っている。これを無視できるわけもなかった。



「それでは先輩行きましょ!」


「な、なぁ百合子。俺とお前って昨日・・・」


「しましたよ!ファースト・・・」


「ストッォォオプ!!」



百合子があまりにも堂々と言おうとしたので止めた。現に周りの注目もかなり浴びている。もし今、その発言を許していたら俺の人生はこれからどうなっていただろうか、考えるだけでも恐ろしい。



「先輩、焦りすぎです」


「お前が落ち着き過ぎなんだ」


「いえいえ私だって緊張してるんですよ」




そう言ってちょっと顎を引き可愛いポーズをとる。


だからそんなポーズするなよ!可愛すぎて好きになっちゃいそうだ!



「先輩、好きになりました?」


「な、なってねぇよ」


「おかしいな、今ので落とせると思ったんですけど」


「残念だったな」




百合子は少し落ち込んで歩き出す。いつもとは逆で俺が付いて行く形になった。と百合子のリュックが開いていることに気がつく。



「おい、後ろ!リュック開けっ放しだぞ!」


「えっ!?本当ですか?」



そう言って手探りで閉めようとするが上手く閉めることができない。



「たく、仕方ないな」



そして俺がリュックを閉めようとするが百合子は拒んだ。



「だめ先輩!」


「えっ!?」



そこで俺の目にすごいものが入ってきた。



『先輩とのスケジュール帳』



「こ、これって?」


「バ、バカ!」



そう言って百合子は走り出した。






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