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自称インキャぼっちは悩みの数だけ彼女がいるようです  作者: 史本 会
自称インキャは後輩女優に翻弄されているようです
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笑顔の魔法


本気のアプローチ宣言をしてから3日目。


特にこれといったアプローチもなく穏やかな日々を送っている。



「せーんぱい!」



そう言って抱きつく百合子。それを引き離そうとする俺。こんなやりとりも最近では慣れてきてしまっている。


慣れって怖いな・・・。




「先輩、私のこと好きになりました?」


「うーん、どうだろうな」


「なんですかその微妙な反応。まぁいいですけど、そのうち私のことが好きすぎでたまらなくしてやりますから」


「はいはい」



俺の反応の薄さに少しプクッとした顔で怒る百合子。ずるいことにこの顔が可愛い。

別にその顔が見たいから薄い反応をしてわざと百合子を怒らせてるわけじゃないからなっ!



「そういえば先輩」


「ん?」


「体育祭の種目は何に出るんですか?」


「ふっふっふっなんだと思う?」


「その笑い方気持ち悪いんでやめて下さい。あと無駄に隠さなくていいのでさっさと言ってください」



なにこの子。俺を落とすとか言っておいてこの容赦のない言い方。しかも、これ言ってる時笑顔だよ!この人笑顔ですごい毒舌だよ!



「障害物競走・・・」


「はい!?」


「障害物競走だよ」


「へーソウデスカ」


「なんで聞いといて、どうでもいいみたいな反応するんだし!」


「いえ、なんとなくです」


「そうかよ」




俺は歩くペースを上げる。



「ちょっと先輩!待ってください」



学校に着くまで俺は百合子を無視して歩くペースを上げた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「先輩歩くの速いです」



息を切らして正門に入ってくる百合子。


優しい俺はだいぶ距離が離れていた百合子をわざわざ正門で待っていた。まぁ途中から俺も走ったんだけどね!



「ほれ、早くいくぞ」


「ちょっと休ませて下さい」


「全く、1分だけな」




ずっと女優として活動してきた園田百合子は運動とはあまり縁がなかった。そんな百合子を今、体育祭に向けて鍛えてあげている。ということを口実に百合子から距離を取っている。



「ほれ1分だ、いくぞ」


「1分、早すぎです!」




そして俺は歩きだす。というかよく考えると別に正門で待ってなくてもいいんじゃね!?どうせ正門で待っててもすぐに教室に行くから別れるわけだし・・・。



そして百合子の方を見る。きつそうな顔をしていたが、俺を見るなり笑顔を向けた。


うっ、ちょっと、いやめっちゃ可愛い!


こいつの笑顔はいろんな意味でまずい。俺の精神的にも周りの視線的にも。


よし、こいつは笑顔を向けるの禁止にしよう!絶対そうする。などとどうでもいいことを考えているともう下駄箱である。


ここで百合子とは一旦お別れ。ちょっと寂しい、とか思ってしまうのもきっとあの笑顔のせいだ。



「あっ先輩、ちょっと寂しいなとか思いました!?」


「そ、そんなわけないだろ!」


「ふーんそうですか」



くそっ!俺の心が完全に遊ばれている。すげー悔しい!けど少し嬉しい。

そしてまた俺を見て笑顔を向ける。



やっぱりこいつの笑顔は犯罪だな!




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「あら後輩くん今日は・・・なんでもないわ」



何にも思いつかなかったんかい!話しかけるならなんか思いついてから言ってくれ!



「淵野先輩はあれですね」


「あれとは何かしら?」


「いえ、なんでもありません」



これが俺の仕返し、先輩に対して最近はやり返せるようになった・・・のだが。



「あら、何もないのに話しかけないでくれるかしら。あっごめんなさい。後輩くん、今のはきっと独り言よね。寂しすぎて私の幻覚を見ていたのね。気がつかずに私が返事をしてしまってごめんなさい」



と、このように逆に返される。やはりこの先輩はただ者ではない。



「で淵野先輩、用はないですか?」


「初めからないのだけど」


「あっ、そうですか」


「そうよ」



俺が怒るとこの人嬉しそうなんだよな。まじ性格悪い!



だがそんな不機嫌になった俺も逆の席を向けばいつだって最高の気分に変わる。


そして後ろを向く。そこには天使がいた。



「あー最高」



俺の目の前に天使が、鮫島さんがいる。それだけで俺の気分は最高だ。



「横田さん、目がちょっといやらしいです・・・」


「ご、ごめんそんなつもりじゃなかったんだけど」


「分かってます、ちょっとからかっただけです」



そう言って微笑む鮫島さん。


何この子。まじ可愛すぎるんだけど。まじ天使なんだけど。



すると淵野先輩が肩を叩き俺を呼ぶ。

全く俺は今、鮫島さんと話してるんだぞ!


「後輩くん、さっきからあなたのこと呼んでるわよ」


「誰がですか?」



淵野先輩が指を指す先には百合子がいた。

まだ昼休みでもないのにどうしたんだろうか。


まぁ鮫島さんとの時間はものすごく大切だが一応まだあいつの彼氏だし無視はできないよな。


そしてゆっくりと席を立ち百合子の待つ廊下へ出た。


「先輩、今めんどくさそうに席を立ちました?」


「そ、そんなわけないだろ」


「そうですか、それとあの女は誰ですか?」


「あの女ってお前な、鮫島さんは恋研部の人だろ!」


「へー先輩のお気に入りは彼女ですか」


「べ、別にそんなことは一言も・・・」


「だって先輩、あの女としか言っていない私に淵野先輩ではなく鮫島さんの方だと思ったじゃないですか!」


「いやそれは・・・ってどっちにしろダメだっのかよ!」


「当然です!」


「なっ、卑怯な」



百合子は勝ち誇った顔で俺を見てきた。



「で俺に何か用か?」


「い、いえ特に用はないのですが、浮気をしてないかと確認しに来ただけです」


「浮気ってなお前、俺がそんなことするわけないだろ」


「ふーん、でも実際あの女と話していたじゃないですか!」


「それは仕方ないだろ」


「いいえ、ダメです!」


「お前な・・・」


「私以外の女と関わるのは禁止です!」


「それは無理だ」


「どうしてですか!」


「流石にそれは無理だろ」


「まぁ、そうですけど・・・」



よしっ!今日は珍しく百合子を言いくるめることに成功した!



「でもですね先輩!」


「まだ何か?」


「あの女はダメです」


「鮫島さん?」


「そうです!」


「なぜに?」


「あの人は危険です。私の強力なライバルになろう人だからです!」


「お前な・・・」


「ということなのであの女とは会話禁止です!」


「はいはい」



そしてチャイムが鳴った。


百合子は慌てて自分の教室に向かう。



「先輩、絶対ですからねー!」



俺は手を挙げて返事をした。

そして自分の席に戻り、ため息をつく。



「どうかしましたか?」



すると隣の席である鮫島さんは心配そうに尋ねてきた。



「それがさ・・・」



会話禁止令が出てから約20秒で百合子との約束を破った。いや約束はしてないな!なら問題ない!



そして鮫島さんに百合子のことについて相談することにした。





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