ぼっち再来
新章スタートです
私が先輩を好きになったのはいつからだろうか・・・それは多分1ヶ月前のあの日から。
先輩、私は先輩が大好きです!
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俺の物語も、いよいよ大詰め・・・・っていうわけでもなく、これからが長い!本当に長い、と思う。てな訳で、横田健二の日常のはじまりはじまり〜。
「おはよう横田くん!」
「おう、おはよう峯崎」
残念なことに今日の天気は晴れ、そして鮫島さんは欠席、さらに部活はなく代わりに委員会があるという最悪な1日だ。
そして今、俺の日課である鮫島さんへの挨拶は峯崎によって崩された。
あぁ、神は私をお見捨てになったのかーなどと心の中では思い、授業を受ける。
鮫島さんもいないし、いろりもいない。こんな静かな学校生活は久しぶりだ。
ここ最近、ずっとインキャから程遠い場所にいた気がする。だからこの1人という気持ちの良さを忘れてしまっていたらしい。
「やっぱり1人で静かに生活するのはいいな〜」
少し言葉にして呟いた。
いつもなら鮫島さんが反応してくれそうなのだが、今日はいない。それは少し寂しく感じた。
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委員会が行われるこの部屋、まだ5月だというのに暑い!この部屋だけなぜか暑い!なんでこんなに暑いんだ!ああ早く帰りたい。
今日から司会進行は委員長である俺の役目な訳だが、なぜか桜木音々も教室に足を運んでいた。
「それでは横田くん、始めて下さい」
「は、はい」
人前で何かをすることは嫌いである。普通に緊張するし、恥ずかしいし、いろいろ面倒だし!
ただ今回の場合は、この時間でやることを桜木音々に明確にしてもらっている。なので司会進行もやりやすいと思っていた。この時までは・・・。
「それじゃあ委員会を始めます。今日は文化祭のスローガンについてです」
すごい、みんな集中して俺の方を見ている・・・めっちゃ緊張する!
そして俺は続けた。
「毎年スローガンを決めて、それを目標として行われているので、それぞれ考え、何かいい案を出していただきたいと思います」
よかった、みんな真面目に考えてくれている。てっきり、「なんでだよ!」とか「めんどくさ!」とか言われるものだと思っていた。
それから3分程が過ぎた。
「何か思いついた人はいますか?」
辺りを見渡すが、なかなか挙手はない。
まぁそれもそうだろう、俺がそっちの立場でもわざわざ挙手して発言しようとは思わない。
すると1人の女子生徒が手を挙げた。
「あっ、じぁ君どうぞ」
そういって彼女を指名すると、少しムッとした顔でこう言った。
「鈴木です!2年B組、鈴木茜です!覚えておいて下さい委員長」
「ご、ごめん」
え、この子怖いんだけど、なんかいきなり怒られたんだけど、やっぱやだもう辞めたい・・・。
「じ、じゃあ鈴木さんお願いします」
「はい・・・」
返事をして提案をしている彼女を見て、何かが引っかかった。
あれ、鈴木ってどこかで聞いたような・・・。
そんなことを考えていた俺は、彼女の提案を聞き逃すという失態をしてしまった。
他の人は拍手を送っている。多分それなりの提案をしたのだろう。書記の2人も全力でメモを取っている。
一瞬焦ったが、まぁこれなら後でメモを見ればいいだろう。と余裕をぶっこいていた。
「ありがとうございます。鈴木さん・・・他に何かある人はいませんか?」
・・・結局そのあとは特に意見がでず、中途半端な会議になってしまった。
会議が終了し、解散したあと桜木音々は俺の方に来てこう言った。
「横田くん、あなたもう少しお兄さんを見習って頑張りなさい。このままでは文化祭を失敗させた委員長として、名前が残ってしまうわよ!」
「ご、ごめんなさい・・・」
何も言い返せない。桜木の言う通り、今日のままいけば、文化祭が良くない方向に進みそうだ。俺のせいで・・・。
「まぁ、まだ時間はあるわ!それなりに期待もしてるし、応援もしているから頑張りなさい」
「あ、ありがとうございます」
え、なんかちょっと嬉しい。次期生徒会長であろう人物から期待されてるとかなんか照れる。
「あと、その敬語もやめなさい。私たち同級生じゃない!」
「ご、ごめん桜木さん」
「さんづけも禁止!」
「は、はい」
やはり副会長というだけあって、口調からその威厳が伝わってくる。
「それじゃあ明日からは私のことは呼び捨てでいいから、私もあなたのこと呼び捨てでいいかしら?」
「えっ、あぁ別に構わないけど」
「分かったわ、それじゃ今日はこの辺で」
そうして、勝手に呼び捨てで呼び合う仲にされてしまった。
明日からって、当分委員会はないから会わないと思うんだけど・・・。
まさか絡んでくるとかないよな・・・まぁそんなことをあの桜木音々にかぎってあるわけがない。そう思っていた。
「やっと帰れるー」
1人でそう呟いていると、昇降口で誰かが待っているのが見える。
夕日のせいで、顔がよく見えない。が2つのシルエットがそこにはあった。
そして、近くまで行きその人物は手を振って笑顔を向けた。
「先輩!遅いです」
「別に待っててなんて頼んだ覚えはないぞ」
「そういうことじゃありません!」
そう言って百合子は不機嫌な顔を見せた。
そしてもう1人、その正体は長谷川さん。
長谷川さんは会釈をしたが特に何も言ってはこない。
長谷川さんも何も喋らなければ可愛いのにな、とか思いつつ軽く手を挙げて挨拶を返した。
「先輩、早く帰りましょ!」
「なんでお前らと帰らなきゃいかんのじゃ!」
「先輩、そんなこと言ってツンデレですか?」
「違うわ!」
そんなこんなで一緒に帰ることになり、結局自称インキャは静かなぼっち生活を送ることは出来なかった。
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