3人ベット
あーもう、寝れない!
俺の隣で寝ているいろり、そして反対側に聖奈・・・なぜこんな状況に!
ー遡ること1時間ー
いろりが風呂から上がり、みんなで食事を取っている。今日は健一兄さんは遅くなるらしく、まだ家にはいなかった。
隣にいたいろりからは、風呂上がりのいい匂いがした。霞姉さんの服を貸しているので、少し大きいようにも見える。
そのおかげで谷間とかは、はっきりと・・・。
「なぁいろり」
「ん?」
「お前、どこで寝るつもりなんだ?」
「なにを今更、ヨコッチの部屋に決まってるじゃん!」
なんでや!なんでわいの部屋って決まっとるんや!・・・おっと大阪弁が出てしまった。
別に大阪出身とかではないからね。
「い、いやでも、それはまずいんじゃないか?」
「それなら大丈夫よ!ねぇ聖奈ちゃん」
いきなり聖奈を下の名前で、しかもちゃん付けで呼んだ。いつの間にそんなに仲良くなったんだ?
聖奈を見ると、唖然としている様子だった。これはいろりの独断である・・・聖奈を見て、それがはっきりと分かった。
「・・・でどうして大丈夫なんだ?」
「そりゃ聖奈ちゃんも一緒に寝るからよ!」
「は、はい!?」
この女とんでもないことを言う。一緒の部屋で寝るだけでもまずいのに、聖奈も加えた3人でなんて・・・流石にまずいだろ!
「お、おいいろり・・・お前今何言ったのかわかるよな?」
「もちろん、いい案だと思わない!?」
この子はあれですね、バカですね。
男心を何にも分かってない。クラスの女子と可愛い妹と一緒に寝る!?そんなことしたら俺の理性がもたねぇよ!
「せ、聖奈はどうなんだよ?」
いろりの案を否定して欲しいという、願望を込めて、目線を送った。
「そ、そうですね・・・健二にいと一緒にですか、し、仕方ないので承諾します」
おいー!承諾するなよ!そしたら俺、夜絶対寝れないんですけど!
「えっと、考え直さないか?俺だけ別の部屋に寝るとかさ・・・」
「何言ってるのヨコッチ、そんなのダメに決まってるじゃん」
そう言ったいろりの圧もすごいが、隣にいる聖奈の圧もなかなかのものである。なぜ聖奈がそんな圧を送るんだー!と叫びたい。
「あ、もうこんな時間だ、早く寝ないとなー」
わざとらしいんだよこの女、なんだよその棒読みみたいな言い方。ちょっと可愛い声出しやがって、お前はあれですか、見た目は子供、素顔は大人的なアレですか。
「け、健二にい・・・一緒に寝・ま・しょう・・・」
おいおい聖奈、お前までそんなこと言わなくていいからな!それにめちゃめちゃ緊張してるよね、言い方がすごく硬いんですけど!
「早く、ヨコッチ!」
「待て待て!食器、片付けてからな」
「チッ!」
えっ!?今舌打ちしませんでしたこの子!?なんで俺はこいつのお泊まりを許可しちまったんだか・・・。
俺はゆっくりと時間を稼ぐように食器を片付けてた。
片付け終わってすぐ、俺はトイレにこもる。目をつぶって考える・・・もうここで寝てもいいんじゃないか!?なんてことも思ったりした。
「ヨコッチ、やっと出てきた!」
ドアを開けると、目の前にいろりがいる。その後ろに隠れるようにして、聖奈もいた。
パジャマ姿の聖奈は何度見ても可愛い!
対していろりはちょっとエロい・・・。
「ほら、なにボッーとしてんの!早く行くよ!」
そう言って俺の手を強引に引っ張り、部屋の前まで来てしまった。
「早くドア開けて!」
「えっ!?ここまで来て俺が開けるの?」
「当たり前でしょ!ヨコッチの部屋なんだから!」
「はいはい・・・」
部屋に入るといろりは真っ先にベットにダイブした。
そしてこっちに来るように手で合図を出してくる。
「いやいや、流石にな・・・」
「なによヨコッチ、ヘタレなの?」
「いや、そういうわけじゃねぇけど」
「健二にい、こちらに来てください」
いろりに続いて、後からベットに入った聖奈が、優しい声で誘惑する。
聖奈にそんな可愛い声で言われたら行きたくなってしまう。
「うっ、それはずるい・・・」
「健二にい・・・」
聖奈は指を少し曲げ唇に少しだけつけながらさらに俺を誘惑する。
やめろー、そんな可愛い仕草するなー!
惚れてまうやろー!・・・実際とっくに惚れてます。
「わ、分かったよ・・・」
仕方なく、ゆっくりと・・・ベットに入った。
うぉぉおおおおお!何だこれ!こんなハッピーなシチュエーションがあっていいのか!?それに、もう俺気絶しそう・・・。
「ほら、ヨコッチこっち」
「いえ、健二にいはこっちです!」
いろりと聖奈の手が、足が、体が、俺に触れる。引っ張られ、くっつかれを繰り返し、俺は2人の間にはさまれた。
やばい、やばい、やばい、やばい!
もう理性がとんでいきそうだ!
そう思いつつ、横をみる。すると先ほどまで、起きていたはずの聖奈が寝てしまっていた。反対を見る・・・バッチリと、目を開き、こちらを見ている。恥ずかしい・・・。
「い、いろり・・・寝ないのか?」
「もうちょっとだけ」
そう言って、さっきよりもくっついてきた。俺の手を抱き、笑顔で俺の方を見る。
「い、いろり・・・」
「ダメ!」
俺が逃げようとしたのが伝わったのか、いろりはなにも言っていない俺に、一言そう言った。
その時の表情はきっと忘れない・・・優しくて、可愛い、そして何かを思いつめたような表情だった。
あぁそっか、こいついつ死んでもおかしくないんだもんな・・・。さっきまでのいろりを見てると、やっぱりそんなこと忘れてしまう。
俺はもう一度いろりの顔を見た・・・ってもう寝とるんかい!
「まったく、しょうがないな・・・」
そっと手を出し、いろりの頭を撫でた。そして俺も目をつぶった。




