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自称インキャぼっちは悩みの数だけ彼女がいるようです  作者: 史本 会
自称インキャはクラスメイトの副部長を放っておけないようです
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提案

「ヨコッチ、ヨコッチってば!」




その声で目を覚ました俺は、自分が寝てしまっていたのだと初めて気がついた。



「いろりか・・・」




「やっと起きた、もうヨコッチずっと寝てるんだもん!」




「どれくらい寝てた?」




「ずっとよ、ずっと!」




周りを見渡すと生徒たちが下校し始めている。3時間目が終わるくらいまでは覚えてるんだけどな・・・。




「ほら、部活行くから支度して!」




「あ、あぁ」



ゆっくり支度を始めた俺に、急げ!と言わんばかりの視線を送ってくる。




「先に行っててくれ、俺も急いで向かうから」




「ダメ!ヨコッチまた寝そうだし」




「学校ではもう寝ないよ・・・」




「学校ではってことは、家に帰る気でしょ!」




「ソンナワケナイダロ」




「私がそんな棒読みの人の言葉を信じるわけないじゃない!?ここで待ってるから早くしてよね!」




「はいはい・・・」






部室に着くと既に全員集まっていた。




「こんにちは横田先輩!」




「お、おう百合子」




俺は疑問に思うのだが、依頼人である園田百合子はなぜ依頼人用の席ではなく、部員の席に座っているのだろうか、全く迷惑なやつだ。




「それじゃあ会議始めるわよ!」




そして会議が始まった。








「・・・それじゃあ園田さんは告白されなくなったのね?」





「はい、全くされなくなりました!」





「なら解決ってことでいいのかな?」




「いいえ佐倉さん、今は告白されないかもしれないけど、もしこの依頼が終わって後輩くんが彼氏でなくなったら、前と同じことになると思うわよ」




淵野先輩の言う通りである。今はいい、がこの先を考えたら俺という彼氏がいなくても対処できる方法を考えなければならない。




「なら横田先輩!いっそのこと卒業するまで私と付き合ってくれませんか!?」




「え、いやそれは・・・」





「それはダメ!絶対却下!」




「どうしてダメなんです?佐倉先輩!」





「それは、その・・・も、もしヨコッチに好きな人がいたりしたら、ヨコッチが可哀想っていうかなんというか・・・」





「あら、後輩くんには好きな人がいるのかしら?」





「残念ながらいませんね」




率直に答えた俺をいろりは怒った顔で睨んできた。




「なら、後輩くんがいいのであれば卒業まで園田さんと付き合ってもいいのではないかしら?」




「そ、それはダメです!」




「なんでですか!?佐倉さん、いい案だと思うのだけど」




「だからダメだって!」



このやり取りをしている間、他の人はというと、長谷川さんはさっきから本を読んでいて、聞いているのか聞いていないのかわからない。峯崎は必死でメモを取っていて、鮫島さんは下を向いて、黙り込んでいた。



お願い鮫島さん!この状況を打開できるような発言をお願いします!!アーメン・・・!





その願いが届いたのか、鮫島さんが口を開いた。



「皆さん、私に提案があります!」




先ほどまで騒いでいた百合子やいろりは黙り、他の部員も鮫島さんの方を向いた。




「それで鮫島さん、提案というのはどういったものなのかしら?」




「それは・・・




・・・」









「今日も無事に部活終わったー!」




「ヨコッチ、なにはしゃいでるのよ!それにね鮫島さんの提案だとあんたこれからさらに大変になるわよ!」





「えっ!そうなの!?」





「当たり前じゃない!だってあんた二股するようなことをしなくちゃいけないのよ!」





「はい!?」





「ヨコッチ、ちゃんと鮫島さんの話聞いてたの!?」




「もちろん聞いてたよ!でもそんなこと言ってたか?」




「はぁ、ヨコッチやっぱりバカだね!・・・まぁいいか、あの提案のことちゃんと考えてきてね!バイバイ!」




そう言うと、いろりは自分の家の方角へ走って行った。




「バイバイ・・・」




多分聞こえなかったと思うが、小さな声で返しておいた。




考えるっていってもな・・・すると後ろからいきなり誰かに抱きつかれた。




「横田せーんぱい!」





「うぉ!びっくりした・・・百合子か、さっさと離してくれ」





「嫌ですよ、離れません」




「頼むから離れてくれ」





こんな街中でしかも有名人の美少女に抱きつかれて・・・俺の身がもたない。




「じゃあ先輩、私のこと好きって言ってください!」




「やだよ!恥ずかしい・・・」




「もう!言ってくれないと離しません・・・嘘でいいので言ってください!」





「はぁ、わかったよ・・・百合子」




「はい先輩!」





「す、好きだよ・・・」



そう言うと百合子はすぐに俺から離れた。


うぉー!恥ずかしい、なんだこれ!まじでやばい・・・




「お前、俺にこんな恥ずかしいこと言わせるな!」




百合子の方を振り返りかえると、百合子は顔を真っ赤にして、下を向いてなにやら呟いていた。



「先輩のバカ、そんなこと言って」




「お前が言えって言ったんだろ!百合子は情緒不安定ですか!?」




「ち、違うし・・・乙女心ってやつだし」




「はいはい、俺は帰るから!じゃあな」





「せ、先輩!」




「ん?」




「鮫島さんの提案のことちゃんと考えてくださいね・・・」




「お前もそれを言うのか・・・」




「お前も、ってことは誰かに同じこと言われたんですか?」




「あぁ、さっきいろりにな」




「そ、そうですか・・・佐倉さんも同じことを」




「それじゃあな、今度こそ帰るからな!」




「は、はい・・・さようなら」




「あぁ、じゃあな・・・」




今日は色々あったが、なんとか無事家に帰れたな・・・。




「ただいまー」




「おかえり健二!」




あぁ、そうだ忘れていた・・・しばらくは聖奈のおかえりが聞けないということを、そして聖奈を兄として愛する俺にとって、敵である姉が家に存在することを・・・。





鮫島さんの提案とは一体なんなんでしょうね?

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