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自称インキャぼっちは悩みの数だけ彼女がいるようです  作者: 史本 会
自称インキャはクラスメイトの副部長を放っておけないようです
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初めての感触

病室に入ると既に誰かが来ていたのだろうか、花と果物が置いてあった。



「いろり!」



部屋に入るなり少し大きな声が出てしまった。



「よ、ヨコッチ・・・来てくれたんだ・・・」




「よ、よかった・・・」




見たところ特に怪我もなく元気そうだった・・・ホッとしたせいか、力が抜けその場でしゃがみこんだ。



「どうしたのヨコッチ?・・・もしかして私のこと聞いて慌てて来てくれたとか?」




「・・・」




「えっ、もしかしてズボし!?受けるんですけど・・・!」



いろりは俺を見て笑いながらそう言った。何故だろうか、それを受け俺は無性に腹が立った。



「あのな!別にうけねーし!それに心配かけてんじゃねぇよ!俺の家に勝手に上がり込んだと思えば、勝手にどっかいって、その上事故になんかあいやがって!俺がニュースを観てどんな気持ちでここまで来たと思ってる!」



「もしかしてヨコッチ怒ってる?」




「そりゃ怒るだろ!いつもいつも俺にちょっかい出してきて、うざいんだよ!それに変なあだ名勝手につけて、無理やり部活にも参加させて、断れない事をいいことに文化祭実行委員までやらせて!・・・だから・・・だから・・・気まずそうに話すんじゃねぇーよ!あの日、俺がお見舞いに行った日以来ずっと気まずそうじゃねぇか!そんなの嫌なんだよ、お前とはもっと、こうなんていうか・・・」



違う!俺が言いたいのはこんなことじゃない!伝えたい!ずっとぼっちだった俺に初めて話しかけてくれたこいつに・・・でもどう表現すればいいのか分からない・・・正直に今の気持ちを伝えれば・・・でもこの気持ちをがなんなのか分からない・・・もしかしてこれが・・・ってやつなのか!?



「よ、ヨコッチ・・・ごめん・・・」




「違う!別に謝って欲しいんじゃない!ただ俺は・・・その、なんていうか・・・あーもうやめだやめ!もうわけわかんないくなりそうだ!」



「なによそれ・・・」



いろりは俺の言葉を聞いて涙を流していた。それを見て俺は我に返った。俺は何を言っているのだろう・・・こんな恥ずかしい事を・・・うぉー恥ずかしい!心から叫びたくなるほど恥ずかしかった。




「あ、あの今のは忘れてくれ・・・ごめん・・・」



「忘れられるわけない!こんなこと・・・」




「いや、でも・・・」




「それにどうして!どうして謝るのよ!」




「どうしてって・・・なんか恥ずかしいこと言っちゃったし、ちょっときつく言い過ぎたかな・・・と思って」



「違うの!」



「え?」



「だから、私が泣いてるのは別にきつく言われたからとかじゃないから!



「じゃ、なんで・・・?」




「それは、その・・・嬉しかったから・・・」



「なに、お前・・・そういう性癖してたの?」



「ち、違うわよ・・・」



いろりは手で涙を拭いながら否定した。



「ねぇヨコッチ、ひとつだけ聞かせて、どうして?・・・どうしてそんなに私を心配してくれたの?」



「それは、お前のこと・・・いや別に心配なんかしてねーよ!たまたまこの病院に用があってな・・・」



「へー、一体どんな用事かしらねー」




「それは、あれだ!あれ・・・」




「ヨコッチ嘘下手すぎ!」



いろりは少し笑顔を見せた。やっぱりさっきの泣いてるいろりよりこっちの方がいろりっぽい。




「・・・で、なんでそんなに心配してくれたの?」




「それは・・・お前のこと・・・」




「お前のことが・・・なによ!?」




「うっ、その・・・あーそうだ用事があるんだった」




「なにそれ!見損なった・・・ふんだ!」



いろりのそっぽのむき方が少し可愛いとか思ってしまったが、実際可愛いのだから仕方がない・・・。



「でも、でもありがとヨコッチ!私すっごく嬉しかった、心配して急いで来てくれて、本当嬉しかった。ありがとう!」




「お、おう・・・」



え、ちょっと待って!いろりってこんなに可愛かったか!?・・・そんな顔されたら、恥ずかしいじゃねぇか!今日だけでいろりの可愛さが10段階ぐらい上がってる気がするぞ!



「あっそうだ!ヨコッチ、明日からまた部活あるからちゃんと来てよね!」



「お前は来るのか?」



「うん、一応行く予定」



「そ、そっか・・・そういえばお前どこを怪我したんだ?見たところ怪我してなさそうだけど」



「あ、うん・・・私、運が良かったみたいで、軽い脳震盪だけで済んだの」



「それって運良かったのか?」



「良かったよ!他の人なんてもっと大変だったんだから!」



「そ、そうなんだ・・・」





「・・・ねぇヨコッチ、ちょっとこっち来て・・・」




「行かなきゃダメか?」



「早く来て!」



「はいはい・・・」



俺はゆっくりいろりの方へ歩き、近くまで行くといろりは顔を近づけてきた。



「おま、ちょっと!なにしようとしてんの!」



「いいから、目つぶって・・・」



何故だろう、いろりの言葉には催眠効果でもあるのだろうか、俺は目をつぶった。


いろりの顔が近づいてくるのがなんとなく分かる・・・そして頬に柔らかい感触を感じた。俺はとっさに目を開け、慌てて距離をとった。



「お前なにして・・・!」



「き、聞かないで!私も恥ずかしいから・・・」




「・・・」




「・・・よ、ヨコッチさっき用事があるって言ってなかったっけ・・・!?」



「あ、あぁそうそう用事があるんだった・・・」



「じゃ、じゃあまた明日ね・・・」



「そ、そうだな・・・また、また明日・・・」




そう言って病室を出て、ドアを素早く閉めた。


心臓の鼓動が聞こえるくらい、まだ緊張している。それにあの柔らかい感触が俺の頬にまだ残っている・・・あれってやっぱり・・・。そんなことを考えると、恥ずかしすぎてじっとしていられなくなった・・・そして病院を出て、家まで全力で走った。






書いている本人が言うのもなんですが、いろり無事でよかった!



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