ありがとう
私は、雑種の老犬です。
足が不自由になってからあまり外に出ることが出来なくなって、窓から外を眺めて過ごすことが多くなりました。
今日は、お天気も良くて暖かくて過ごしやすい日です。
こういう日は、うとうとしながら子犬の頃のことを思い出します。
私がこの家に来たのは、今日みたいにぽかぽかと暖かい日でした。
子犬が欲しいというご夫婦にもらわれてやってきました。
この家に来て、すぐに私は名前をつけてもらいました。
茶色と白のふかふかの男の子。
そんな私についた名前は、コロです。
パパとママは、ずっと子供に恵まれなかったそうです。
だからでしょうか!
私を、我が子のように可愛がってくれました。子供を欲しがっていたママは、ずっと元気がなかったそうですが、私が来てからよく笑うようになったそうです。
私は、お散歩が大好きです。
ママは、ほとんど朝と夕方にお散歩に連れて行ってくれました。
いつもの散歩道は、橋を越えてずっと歩いて目的地は公園。
ここには、沢山の子供たちが遊んでいて、私が来ると『可愛い』と沢山撫でてくれました。
中でも印象に残っているのは、みいちゃん。
いつも、私を見つけると笑顔で飛んできてくれました。
私のお家に尋ねてきてくれたこともあったなぁ。
お散歩から帰ると、ママはキャベツの芯をくれました。
実は、私の一番好きな食べ物はキャベツの芯なんです。
本当に美味しい。大好き。
パパはいつも仕事で帰りが遅くて、ほとんど家にいなかったけど、居るときはいっぱい可愛がってくれたなぁ。
パパも大好きだよ。
パパとママと旅行に行ったこともあったね。
お家の車で、綺麗なとこいっぱい連れて行ってくれたね。
旅行に行くと、パパは『コロを広い所でのびのびさせてあげられて良かった』と言って、その後必ず『いつか庭にドッグランのあるお家に住もうね』って言ったけど、私は今のお家が大好きでした。
パパとママと過ごした、このお家が本当に大好きでした。
私は、もう長くありません。
後ろ足が全く動かなくなって、間もなくすべてが動かなくなるでしょう。
その瞬間まで、精一杯生きますね。
ママとパパを思いながら。