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夢の島再開発計画  作者: 若松ユウ
第二部「開園式」
9/10

#008「湖沼」

――柱時計の中に隠れていた七番目の仔山羊は、母山羊と仲睦まじく、末永く幸せに暮らしましたとさ。

  *

助役「市民の皆様の憩いの場として、裏野市しらさぎ自然公園が開園の運びとなったことは、実に喜ばしいところでございます」

吉田、黒盆に載せられた白手袋と鋏を受け取り、テープカットの用意をする。

助役「それでは、参ります。一、二の、三!」

吉田、リボンを切り、頭上の楠玉から降り注ぐ紙吹雪を払い落とす。

  *

助役「立派な湖のある自然公園が出来たものだ。そうだろう、市民生活課長?」

吉田「遊園地が建つ前、ここは水鳥の戯れる沼地でした。あたしは、この地を元の姿に戻したまでです。(ケツに手を添えるな、このセクハラ野郎)」

吉田、尻に添えられた手を振り払う。

助役「謙虚で結構。市庁業務再編といい、今回の件といい、非常に優秀な働きをしてくれるね。上司として鼻が高いよ」

吉田「お褒めに預り、光栄です。(なかなか判子を押さなかったくせに、手柄だけ横取りするんだから嫌になる)」

助役「そういえば、見合い断ったそうじゃないか。もったいない。あんな優良物件、なかなか無いよ?」

吉田「えぇ。大学病院で院長代理をされてますし、スポーツ万能で、語学も堪能。その上、料理上手で音楽にも造詣が深い、とても素晴らしいかたでした」

助役「そうだろうとも。何が気に食わなかったんだい?」

吉田「食材が高級すぎて、胸焼けしました」

助役「なるほど。庶民の味方を標榜するだけのことはあるね」


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