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夢の島再開発計画  作者: 若松ユウ
第一部「視察団訪問」
8/10

#007「エピローグ」

――あの遊園地には度々"子どもがいなくなる"って噂があったな。閉園した理由は知らないけどさ、そんな噂があるようじゃねぇ。

  *

吉田「この回転バーの下を潜るの?」

少女「大丈夫。お姉さんは、その、……シュッとしてるから」

吉田「ありがとう。優しさに気遣いに涙がこぼれそうだわ」

少女、回転バーの下を潜り抜ける。

少女「さぁ、お姉さんも」

吉田「いま行くわ」

吉田、回転バーの下を潜る。

吉田「あっ、ケツが閊える。悪いけど、引っ張って」

少女、綱引きの要領で吉田を引っ張る。

少女「うんとこしょ、どっこいしょ」

吉田「あたしは大きな蕪か。鼠が手伝うまで抜けないじゃない」

  *

局長「視察は終わりましたので、これで失礼します」

オーナー「もう、お帰りですか。何のお構いもできませんで」

局長「いえいえ。ただの視察ですから。こちらこそ、わざわざ施設を開けていただいた訳ですし」

オーナー「そうです。せっかく、開園したのですからね」

オーナー、局長の瞳を熟視する。

オーナー「夢の島のショーは始まったばかりですよ。お楽しみは、これからです。さぁ、童心に返りなさい。この島に、分別ある大人は必要ありません。そんなツマラナイことは、何もかも忘れてしまいなさい」

オーナー、顎に指を添える。

オーナー「そうですねぇ。まずは、園内を見渡せる観覧車に乗りましょう」

局長、オーナーが差し出す手を握る。

局長「はい」

オーナー、薄ら笑みを浮かべ、手を引いて歩き出す。

  *

吉田「抜けた!」

♪シャッターが閉まる音。

少女「間一髪でしたね」

吉田「本当。モタモタしてたら閉じ込められてたわ。でも、どういうこと?」

少女「信じられないかもしれないけど、あのオーナーは人間じゃないの」

吉田「幽霊か何かだってこと? 足はあったし、普通に物を持ってたけど」

少女「どちらかといえば、妖怪に近いわ。マヨヒガって聞いたことある?」

吉田「たしか、道に迷った旅人を家に誘き寄せて、旅人の過去を消して、そのまま住まわせてしまうアヤカシだったような。ひょっとして、子どもがいなくなるって噂は」

少女「おそらく、事実よ。オーナーの毒牙にかかってしまったのね」

吉田「それじゃあ、あたしの同僚も」

少女「可哀想だけど、きっと、生きては出られないでしょうね。――檻から救い出してくれてありがとう。ようやく自由になれたわ。さようなら」

少女、白鷺の姿に変わり、飛び立つ。

吉田(あれは、白鷺、よね? 何で、こんな場所に居たのかしら)


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