#004「ドリームキャッスル」
――ドリームキャッスルには隠された地下室があって、しかも拷問部屋になってるんだとさ。遊園地にあるわけないのに。だから今度確かめに行ってくるよ。
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山本「関係者以外立入禁止。スタッフオンリー。その先にあるのは、機械室。マシンルーム。隠された地下室があるのは合ってるが、拷問部屋ではない。おおかた、ファンの回るときに立てる操作音を、拷問に苦しめられる人間の唸り声だと勘違いしたってところだろう。ハァ。何で日曜日に視察に回らなきゃいけないんだろうねぇ。休日手当てくらいじゃ、妻の機嫌は直らないというのに。斜めの機嫌を真っ直ぐにするため、穴埋めにねだられる代償のほうが、手当の額を上回りそうだ」
♪ドアの閉まる音
山本、ドアを開けようとして空振る。
山本「嘘だろう。こっち側にはドアノブが無いのかよ。冗談じゃない。こんな薄暗くて狭い部屋に閉じ込められて堪るか。そうだ、電話……は地下だから圏外か。チッ、役立たずめ。オーイ。誰か開けてくれ」
*
局長「駄目だわ、脈が無い」
局長、ドアを見る。
局長「酸欠状態のまま、意識を失ったってところね。スマートフォンが投げ捨てられてるのは、連絡がつかないと気付いたからかしら。ドアの裏には引っ掻いたような跡があるから、相当、苦しんだんでしょう」
局長、合掌し、静かに立ち去る