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女神達に愛された王子  作者: 仮屋修二
新たなる出会いと影
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卒業と動き出す影

次回は土曜日に投稿予定です。


アルトが来て半年、今年も卒業の時期が来た。


卒業した先輩方は貴族が多いため、領地での仕事や婚約がまっている。

平民の先輩方は冒険者になったり家の仕事を継いだりと、身分関係なく忙しい。


この中には人気の高かった元生徒会長のクローディア先輩は含まれている。

あの人が卒業後に何をするのかは誰も知らないらしい。


まあ、俺には関わりのない先輩だし、あまり興味はないが。

でもそういえば、入学式の時に話し掛けてきたような?


(新入生代表が何を話すか楽しみにしてますと、言ってましたね。)


そうだっけ?


まあ、それにしても関わりはそれだけだったし、どうでもいいや。



卒業式はあっという間に終わった。

春休みが終われば、次は四年生か……

結構長くいるね、この学園にも。


(そうは言いますが後二年しかないのですよ?それに四年になった事で行事も増えましたし。)


折り返しも過ぎて、今年からは確か学園決定戦があるしね。


学園決定戦は四年生から六年生までの学生同士が最強を目指す大会だ。

なぜ四年生からかと言うと、この国では12歳から大人として扱われる。

その意味もあって学園決定戦では各々自分の武器を扱い、そして魔法を扱うため、大人として認められる12歳である四年生からの参加条件となってる。



凄く面白そうだけど、俺は多分参加しないかな。


(参加したら誰も勝てませんしね。)


それもあるけど、実は……聖女としてセレシナ神聖国の代表として観に来ないと行けないんだ。


(そうなんですか!?…………これで反応あってます?)


うん。

ペルソナは俺と記憶を共有してるから知らないはずないけど、こうやってリアクション取ってもらえるの嬉しいね。



そう、俺は確かにアスナとしては参加できないのだが、聖女アスリーナとして参加しなければならない。

護衛にはランスとエルザの二人と聖騎士約200人からの三中隊が参加する。


かなりの大人数だが、実際に大会中の内部護衛は少なく、残りの多くは外からの攻撃を守るために、会場外周や街の警戒に当たる。


それと大会の三日前には聖女の姿で過ごさないと駄目で、その姿で学園長のクレアと父親である国王とも話さないといけない。


何が嬉しく実の父親に女装した息子の姿を見せないといけないんだ!


(まあ、中に関してはセレシナ神聖国の一部の人間にしか知られてないのでバレないかと……)


いやクレア学園長ならなんか気づきそうな雰囲気あるんだけど。


(鑑定してもバレない程に変装してるんですから自信を持ってください。)


そうだよね。

学園決定戦だってまだ先の話だし、今からくよくよ考えても、意味ないよな。


なんやかんや思い出しては悩みと、繰り返す日常を送っていたら春休みに入った。




「これで貴方も晴れてこの学園一教師になったわ」


「はい。やっとという気持ちです」


「ふふふ。まだあの子と会えるのは春休みが終わってからになるのに、今からそんな落ち着かないでいてどうするの?」


「そうですね。少し浮かれすぎてました。本当、色々と会おうとはしたのですが、すれ違いが多く、在学中に一度も話させできなかったので…」



その会話は卒業式が終わり、学園が春休みに入ったばかりの学園長室での話だ。

会話はクレア学園長と卒業し、教員となったクローディアだ。


「私の補佐の話だが、早速仕事をして欲しいの」


「仕事ですか?」


「ええ。最近ログリア王国内での動きがきな臭いわ。」


「ログリアですか?」


「情報部の話によると奴隷を多く買い占めているらしいの」


「奴隷をですか?またどうして…」


「ただ奴隷を買い占めているならまだしも、それが国の王子が命令し、自身の領地に集めている。上層部はまた異世界からの勇者召喚を行うのではないかと畏怖しているわ」


「勇者召喚をですか!?」


「そうよ。これは国が隠している事だけど、二百年前の勇者召喚でも多くの奴隷を触媒にして行われたのよ。人間は触媒としては最高クラスの材料になるのよ。それは戦後にその話が広まり、人を使った魔法は禁止になったの。奴隷とはいえ、相手は人間であり、中には借金や村のために家族のために奴隷になった人もいるのだから」


「そんな話が……」


「それだけ勇者召喚は利益が高い分、代償も高いのよ。それをまた行う理由はアルトくんとアスナの存在、そしてセレシナ神聖国に蘇った聖女アスリーナ様の事があるからでしょう」


「アルトくんは今代の勇者ですしアスリーナ様も聖女様だから理解できるのですが、どうしてアスナくんが?」


「あの子も聖人なのよ。それを知ったのはおそらく四年前の帝国での魔族事件で知ったはずよ」


「アスナくんが聖人……!?」



クローディアはアスナが聖人だと知らなかった。

いや、知っている人間の方が今回は少なかったというべきだろう。

聖人とは勇者や聖女と同等に物語の英雄であり、神に等しく、敬い称えられる存在だ。

実際にそこに聖人がいたとしても、それは信仰心が強くなければ感じる事ができない。


彼らは常日頃から聖なるオーラを出してるわけでも、超人的な肉体を披露することもないのだから。


その中でアスナはそれなりに実力を見せてはいるが、本気の姿を学園では出したことは無い。

見せてるのはごく一部の欠片だ。

それも歳を追うごとに力は増幅し、その成長に限界はない。


色々な事が一気に脳内に送り込まれ、少しの混乱をクローディアは見せたが、直ぐに冷静に考え、自分が彼に何をできるのかをわかった。



「私はアスナくんの影の護衛ですか」


「考えが早いわね。そこにアルトくんも入れてくれたら良かったのだけど。貴方はアスナくんに夢中ですものね?」


「ぐッ…!?それは関係ありません!!」


「まあいいわ。そのための訓練も重ねた仕事として見せてちょうだい歴代最高と言われた元生徒会長クローディア・リードベルト」


「お見せしましょう。私の実力を…」


そしてクローディアはクレア学園長の部下数名と共にログリア王国へ向かった。

全てはアスナを守るため。


彼女がどうしてそこまでするのか?

それは誰も知らない。

クレア学園長でも実際に影の護衛までは引き受けるとは思ってもいなかった。

なぜクローディア・リードベルトがそこまでアスナにこだわるのかを……




「貴方は何を考えているのクローディア。彼に貴方をそこまでする理由がどこにあるの?この結果で貴方が何を思っているのか分かるといいのだけれど……」



アスナの知らぬとこで起きたクローディアの物語。

それがアスナの物語と混ざり会うのはそう遠くない未来の出来事だ。








少しづつ進むクローディアの話。

彼女が次章の主人公として書く予定です。ぜひそれまでアルトくんとユーフィア主人公の今回の章はまだまだ続くので楽しんでください!!


いかかでしたか?

もし続きが気になる!!もっと読みたい!!興味がるかも?と思えて貰えたら、ブックマーク&評価して頂けるととても嬉しいです!!

これからもどうぞ、宜しくお願いいたします!!((。´・ω・)。´_ _))ペコリ

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