行き倒れの狼
俺はそれから軽くスピードをだしてタナカの拠点まで行った。
拠点はセレシナ神聖国から南にある強大な広さを誇る迷宮森林に拠点を置いてる。
何故こんな場所にしたかと言うと迷宮森林はただ馬鹿みたいに広いだけではなくその中は複雑になっていて1度森の中に入ったらもう出られないとまで言われてる。
その理由の一つが木などに目ずるしを付けてもそこは数秒後には元に戻ってしまったりするためだ。
これがこの森が迷宮と言われる語源でもある。
迷宮森林には当然魔物達も生活していて、最後に発見された高ランクの魔物で神獣・フェンリルと呼ばれてるデッカイ狼だ。
確かコイツはランクSSの最高ランクだっけな?
(はい。それであっています。)
確かSSランクって七体で良いんだっけ?
(はい。SSランク魔物は全部で七体です。暴食の鯨、色欲の天使、強欲の龍、憤怒の不死鳥、怠惰の狼、傲慢の魔王、嫉妬の魔女これらが七つの大罪と呼ばれる魔物ですね。)
何か凄いの入ってない?魔王とか天使とかさ?
(実際にそうらしいですよ。今では魔物と言われているだけで中には確かに元は人間だったのもいます。)
へーそうなんだ。
やっぱり、そういうのって会うの珍しいかな?
(人の人生で1度有るか無いかのレベルじゃないでしょうか?)
それじゃあさ、俺の目の前に倒れてるデッカイ狼ってその怠惰の狼であるフェンリルであってるかな?
(Yes、My Master.)
なぜ英語何だ。
(私でも現実逃避したくなる感情はあります。)
俺の並列思考はまさかココまで来てしまうとわ。
なんて恐ろしい子!?
(どうしますか?この狼さん)
俺のネタは無視ね。
まあそうだな…まずは聞いてみるか。
「お前どうしたんだそんな所で倒れて、怪我でもしたのか?」
「……すいた」
「えっ?」
「お腹…すいて、うごけにゃい」
俺はフリーズしてしまった。
最強の一角でもあるフェンリルが倒れてる理由がまさかの行き倒れとは、流石の俺でも予想外だ。
俺は思考が戻った後、直ぐに飯をアイテムボックスから出してフェンリルの目の前に置いた。
「ほら、遠慮死なずに食っていいぞ」
「ありがとう」
そう感謝の言葉をフェンリルが言うと食事を食べ始めた。
食事を食べ終わった頃には元気になったのか、俺が休んでる所まで歩いて来た。
「ありがとうなの少年」
「なのって…まあいいか俺はアスナって言うだよろしくな!」
「私はフェンリルなの。アスナの御陰で助かったなの」
「お前みたいな存在がどうして行き倒れてたんだ?」
「寝てたら三ヶ月位食事するの忘れてたの」
「また良く寝てた事で…」
俺はそれからフェンリルと色々と会話をして楽しんでいた。
そしてちょうど夕方になった頃に俺は重大な事を思い出した。
「忘れてた。タナカのところに行かないと」
「もう行ってしまうなの?」
「あぁ、悪いな俺は行かないと行けない場所があるんだ」
「なら私も行くの。アスナは気に入ったの」
「でもそのサイズだと目立つしな」
「それなら平気なの」
そうフェンリルが答えると、体が光出した。
光が止まるとそこには可愛らしい子犬サイズになったフェンリルがいた。
「これなら迷惑にならないの!」
「そうだな。これからよろしくなリル」
「それ私の名前なの?」
「あぁ、悪いな。フェンリルだと名前が目立つからな俺が勝手に名付けただけだから、フェンリルが良いならそれで…」
「リル……凄く良いの!これからはリルなの♪」
フェンリル改めてリルは尻尾激しく振りながら俺の顔を舐め始めた。
また凄い家族ができたものだな。
リルの興奮が落ち着いた後、俺達は今度はしっかりとタナカの拠点に向った。




