父親との出会い
母さんが死んで、一週間後に、葬式がされる事になった。俺は母さんの葬式日までの間、毎日自分の部屋で一人になった時に、泣いていた。自分が何も出来ないままで、母さんが死んでしまい。俺がもっと速く生まれていたらと、いつも考えていた。
俺が悲しんでいても、何も変わらない。そんなのは頭が理解していても、心が納得しないのだ。俺は悲しい気持ちを、抑えながら母さんの葬式に出た。
母さんの葬式には、俺やメイドのアルミナさん以外にも、若い男女の使用人が二人と料理人だと思う女性が一人いた。
これがこの屋敷の住人なのだろう。屋敷の大きさからしても人の数が、少ない方だと思う。
母さんの葬式が始まって、一人一人母さんの墓の前で、沢山の感謝を述べていた。それを少し離れていた場所から見ていた、俺は母さんに何を言えばいいのか、迷っていた。
母さんの葬式が終わりに迎える頃に、遠くから馬車が、こちらに向かって走って来た。周りの人達も、何事かと見ていた。
馬車が近くで止まると、そこから男が走ってこっちに来た。男の格好は、気品の有る服を着て、見た目は、少し明るい金髪で青い瞳をしていた。歳は大体見た目からして、30代位だろう。
男は母さんの墓の前なでいくと、そこで膝をつき、何かを言いながら、泣いていた。その姿は、俺が部屋で母、さんの事で泣いていた時と、よく似ていた。俺はそれで察した、この人は、俺の父さんじゃないのかと?
そして父さんだと思う人は、母さんとの別れの言葉を言った後、こちらに来た。
「アルミナ、すまない。私が仕事でこっちに来れなかったためにこの様な事になってしまうとは....」
そう言いながら、父さんは、頭を下げた。
「頭を上げてください。陛下.....サリナ様がお亡くなりになったのは、陛下のせいではありません。それに、アスナ様がいる前で父親である陛下が、その様な姿をしたら、天国にいるサリナ様に怒られますよ。」
アルミナさんの言葉を聞いて、父さんは頭を上げた。
「確かに、息子の前で私が頭を下げていたら、サリナが怒るな。子供の前で父親が、簡単に頭を下げるな!とサリナなら言うはずだ。」
「アスナよ.....私がお前の父だ。セリフィード王国の王。ルジエル・セリフィードだ。そしてお前は、アスナ・セリフィード第一王子。次の国王になる男だ。」
それが俺と父さんとの、出会いだ。