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異世界転生ハローワーク  作者: 鳥辺野 九
第五章 あなたの明日はどっちだ? あっちだ!
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ノーラ・カリンが鷲掴み

 死は誰のもとへも平等に訪れる。それが早いか遅いか、不意にやって来るか予見されたものか、違いこそはあれども、様々なカタチで死は降りかかってくる。


 ある日、あなたは死んでしまった。


 死は平等。だからこそ準備はしておくべきだ。社会に貢献したか。誇れる人生を送ったか。死亡ガチャで少なくともレアを引けるほど運を残していたか。


 死の直後に見る光景が、真っ白なら転生のチャンス到来だ。真っ黒なら、諦めよう、消滅だ。


「6番のお客様ぁー!」


 その甲高くてややかすれた声が響き渡ったら、あなたの頭上の光の輪っかを確認しよう。自分の番号が呼ばれているのに気付かず、無視してしまって彼女の機嫌を損ねてしまっては一大事だ。


「ほら、そこの6番! 早く座る!」


 声のトーンが1オクターブ上がってしまったら急いだ方がいい。怒らせると厄介だ。


「ハイ、あなたの未来を鷲掴み! 私、ノーラ・カリンがあなたの転生のお手伝いをさせていただきます!」


 あなたの目の前にいる女性が、明るい栗色の髪を頭の天辺で結んだお団子ヘアで、四角くスタイリッシュな赤いセルフレームの眼鏡を薬指でくいっと、黒いスーツスカートに鮮血のようなネクタイをしていたら。


「まずはおめでとうございます! 死亡ガチャでSレア当選いたしました! 見事、転生のチャンスを獲得したのです!」


 まるで自分の事のように喜んでくれるはずだ。そりゃそうだ。間接的に彼女のノルマも達成されて彼女の為になるのだから。


「残念ながら、あなたは死んでしまいました。しかし、転生と言う明るい未来があなたを手ぐすね引いて待っています」


 そうだ。手ぐすね引いて待っていたのだ。彼女は待ちかねていたのだ。


「いろいろなご希望があると思います。どんな転生をお望みになるかお伺いしますが、その前に……」


 彼女はこちらも思わず頬が緩みそうになる素敵な笑顔で、身も心もとろけそうになる甘い言葉で誘ってくるだろう。


「今だけ、あなただけに特別なオススメの転生先があるんですよ」


 快楽に満ち満ちた楽園への誘いの言葉。


「……今、ペンギンが熱いんです。狙っちゃいませんか? ペンギンの王、暴君ペンギンを!」


 気を付けた方がいい。きっと、それは罠だ。




 おわり


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