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柿の種の半生  作者: 八雲
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恵まれた家族

藤子は、恵まれた環境にいた。

母は専業主婦、父は公務員という安定した職業。そして3歳下の弟。

両親の愛情を受け、藤子は素直に育った。


小学生のとき、クラスメートが弟が煩くて鬱陶しいということを話した。だが、藤子はそう思わなかった。藤子の弟はよく姉に懐いていたからである。だからそれが普通だと思ってしまった。


中学生のときに出来た友人は3人いた。1人は両親は健在だがとても不仲。1人は母親しかいない。1人は在学中に離婚が成立し、苗字を母方に戻した。

彼女たちの前で、藤子は家族の話題をしなくなった。ここでようやく、自分が家族に恵まれていることを知ったのだ。藤子の両親は仲睦まじく、そして姉弟共に両親を慕っていた。反抗期というものを向かえず成人になり、そして藤子が就職して1人暮らしを始めたとしても月に3度は実家に帰るくらいである。


そして、藤子は大学生のときに自らが恵まれ過ぎた環境にいたということを知った。

父の教育方針で、藤子はアルバイトというものを禁止されていた。アルバイトをするくらいなら、勉強をしてほしい、それが父の思いだったのである。そのため藤子は大学を卒業するまでお小遣いを頂いていた。それを知ったのが、大学1年のとき。簡単な自己紹介。何のために働きたいか、その質問に皆が「両親にお金を返したい」そう話したのだ。

そのとき、藤子はようやく知ったのだ。今までの学費は全て両親が働いて出してくれたお金。それを何れかは返さないといけないのだと。


しかし、就職をしてからはどうだ。

月に1万ずつでも返金したいという目標は早くも崩れ去った。初任給で家族や親族に菓子折りを送りはしたが、それだけだった。


そして彼女は思うのである。

来月こそは、貯金すると。



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