放浪者-強襲-
放浪者、前回までは
町で勢いとはいえ女子を買った楽之介だったが
人気のない所で話を聞こうとする途中にひょんなことから
地面に押し倒されてしまう
いきなり連れてこられた事に対する報復かと思い
目を瞑りその瞬間を待つ楽之介だったのだが……
何でこんなことになっているのだろうか
どうしてこの結果に行き着いてしまったのだろうか
目を開けた楽之介が見たものは
眼前いっぱいいっぱいに映った女子の顔であり
それと同時に唇に何かが触れる感触を味あわされた。
「…………ん!?」
楽之介は何が起きているのか分からない
いや、体自身ではどうなっているのかは感じているし
その現実も目はしっかりと捉えていた
だが、あまりにも唐突な事に脳がついていけず理解が出来ない
何故なら目の前には自身の唇を楽之介の唇にあてがう女子がいた。
(なぜこんなことになった?)
まず理由を考えるが、分からない
(この状況は、これはなんだ?)
次に"何が起こっているのか"脳に分からせようとする
(これは、接吻か?なんでこんな時に?いや待て待て、まず接吻とはなんだったか?)
が、余計に混乱を招いただけであった。
しかし、そんな混乱している楽之介をよそに女子は次の一手を繰り出してきた
ぴちゃ、という湿った音と共に楽之介の口内に異物が入り込む
(なっ!?)
女子が舌を入れてきたのだ。
その行為は、女性経験の無い楽之介にとってはとても理解に乏しく
しかしそれと同時に痺れるような感覚を感じる
「はぁ……むぅ……」
女子が悩ましい声をあげながらも舌を楽之介の口の中に入れてくる
その舌は口内を暴れまわり、淫猥な音を立て、時には楽之介の舌に絡ませてきたりした
こんな幼い女子に為すがまま口内を犯され続けて30秒ほど
「…………」
既に楽之介の体は抵抗する力を残してはいなかった
別に他に何かをされた訳ではない、接吻に乗じて薬を飲ませてきたわけでもない
ただ、口内を犯され続ける内に痺れのような感覚が強くなり
それと同時に頭がぼうっとし始め、今は目を瞑りこの行為が終わるその瞬間を待っていた
それから、この傍から見たらどんな人間でも顔を引きつらせ見ないふりをするであろうこの状況がどのくらい続いただろうか、4、5分かはたまた30分か、果ては数時間か
楽之介の頭の中では相当の時間が経っていたが、実際の所1分すら経っていない数十秒の時間
しかし、その数十秒という時間は、精神と肉体に現状を完璧に理解させるには十分だった
楽之介とて男である、いくら相手が幼子だとしても今目の前で行われている行為は"ソレ"なのだ
最初は頭が追いつかなかったばかりに起きていなかった現象が、現状を完璧に理解し
本人の意思とは関係なく、その女子の行為に答えようとムクムクと起き始めた。
「はぁ……んっ……ふぅ」
満足したのか舌を引き抜いた彼女は唇と唇の間に引いている細く透明な糸を舐めとり
少し大きめの息を吐き、こちらを見て潤んだ上目遣いの瞳で訊ねてくる
「おにぃさん、きもちよかったぁ?」
その姿に胸がかなりの速さで高鳴りながらも答えではない返答をする
「き、君は一体なんでこんな事を、したんだ?」
まともな思考が戻った訳ではない、まだ頭がクラクラするし頬も熱い、顔もだらしなく緩んでいるだろう
しかし、次に起こされるであろう行動を止めるには説得するしかない、ただその気持ちだけだった。
「え?だっておにぃさんあたしをかったんでしょ?」
最終的には、当たりである事実を言われてつい口ごもってしまう
「それは……ちょっとした理由があってね」
何とか口から出たその言葉は一応嘘ではない、女子が納得してくれるかは別として理由はある。
「?……まぁ……なんでもいいけどぉ、それよりおにぃさん」
ずいっ、っと再び唇が触れそうなほど女子の顔が近づく
「はやくはじめようよ」
妖しい笑顔を浮かべながら女子は言う
何を、とは言えなかった、この子のいた場所と、買った買われたという二人の関係
この子からすると男が自分を買う理由など一つしか思いつかないだろう。
しかし、女子が何を言いたいか、何をしようとしているのか分かっていたからこそ
まだ回らない思考でも楽之介は本心を目の前の女子に怯むこと無く伝えることが出来た
「違う、そうじゃない」
女子の目を見据える
「そういう事の為に君を連れてきたわけじゃない」
そう女子に言いつつ今浮かべられる最大の笑顔を女子に向ける
普段あまり笑顔など顔に浮かべない楽之介はとてもぎこちなく、しかし、一生懸命努力する
その顔から気持ちを分かってもらえるように、偽りのない言葉だと信じてもらう為に
しかし、笑顔を向ける楽之介とは対照的に
先程まで妖しい笑みを浮かべていた女子の顔からその笑みが忽然と姿を消した。
放浪者-強襲(女子に)-編でした
次も今回以上にしんどい内容になってます
ご注意ください