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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

誰かの理想郷

逆襲期

作者: ナキタカ

※私の作品『「誰か」の理想郷』番外編

※百合

※R-15

※同居設定



「ふっふふ~」


楽しげに鼻歌を歌いながら塚本はリビングのテーブルでお茶を飲む

一ノ瀬と結城はテレビを見ながら相変わらずのやり取りをして、

鳴滝はその二人を困惑した様子で見つめている



(舞ちゃんも可愛かったな~長い髪の毛からすっごい言い匂いしたし

 いや、でも涼香ちゃんの恥ずかしがる声もすっごく可愛いし…)



結城の姿をチラッと見て、二人をからかいにからかい尽くした塚本はそのときのことを思い出す

普段見ない二人の態度は彼女にとっては新鮮であったこと

そして、普段からかわれる側の彼女が復讐したという感覚で満足していた



(そうだ、今から海部さんの部屋に突入してみよう…

 からかったら…どんな反応してくれるんだろう…)


そして未だ彼女が手を出していない海部のことを思い出す

海部は、自分を除く女子の中でもかなり押しに弱い、上にくすぐりにも弱い

少し崩してしまえばすぐに負けてしまうだろうが、その分長く遊んでしまおうと考えていた



(わき腹弱いかな?背中も弱そう…っていうかもう色々弱そう)



完全に下に見ているが、そうされても仕方ないほど普段の海部は弱い

し返されても弱さを見せればすぐに焦って謝ってくれる


想像しながらニヤけるのを必死で抑えながらお茶を飲みきって塚本は立ち上がる



(まぁ…まずは普通に話して油断させないとダメだね

 ほら、あれ、ライオンがなんとか…って言うし!)



内心でグッと拳を握りながら、塚本はシンクの中にあるタライにお茶を飲んでいたコップを入れ

廊下への扉を開く



廊下の気温はリビングよりは低いが、今の彼女は大してソレが気にならない

むしろ高揚した気分には、丁度良い気温だった



海部の部屋の前にたってノックをする

中から「入れ」と普段の様に慣れていない人間が聞けばそっけなく聞こえる声で言う



「おじゃましま~す…」



少しだけその声に遠慮がちに塚本は部屋に入っていくと海部は

部屋の中心で小さなピンクのテーブルにパソコンを乗せてイヤホンをつけたまま動画サイトを見ていた


左端には布団が敷きっぱなしになっているが、上の掛け布団のほうは丁寧にたたまれている


塚本はパソコン側に周り遠くから画面を除いたが、

海部はすぐに閉じるを押したので何を見ていたのかまでははっきりとは認識できなかった


「あ…そのままでもよかったのに…」

「用事があるんだろ?電気代が勿体無い」



海部が冷静に言ってパソコンを閉じるとそれをシステムデスクの上に置く



「海部さんのこのミニテーブル可愛いよね」



残されたピンクのテーブルを見ながら、塚本は布団の近くに座って言う

布団の近くなら、押し倒すのにも抵抗は無い



「私は嫌だって言ったんだ、それを押し付けられただけだ…

 そういう可愛いのは私には似合わないのに…」



(それ言うところとかがからかわれる原因だと思うよ…)



むくれたように海部はテーブルの後ろに回って膝で立つと

それをひっくり返して足をたたむと壁に立てかけ、塚本の前に

布団に座って足だけを外に出すように座った



「…それで、どうしたんだ?」



海部の発言に対して暫く思考をめぐらせていた塚本は声をかけられて肩をビクッと動かす



「あ、いや…その…」

「…?」


何を言うか考えていなかった塚本がしどろもどろになるのに海部は首をかしげる

普段から話をする分、改めて話をするとなると話題を探すのが難しい



「あ、あのね!」

「どうした?」


塚本が言うのに、海部は顔を上げて相手を見る



「この前言ってた歌あるよね?あれ聞いてみたんだけど」

「お、マジか?」



(はぁ…危ない…でも食いついてくれたしセーフ…だよね?)



内心でほっと安心しながら塚本は海部と話を続ける

一度切り出してしまうと、意外と話はスラスラと止まることなく続く



そして海部の趣味の話に…

海部自身、百合物の話を普段から読んでいるらしく、その話もよくしていて

今もそれにたどり着いたときであった



「…で、このシチュがおいしかったんだけどな」



海部の話が区切られた一瞬、塚本は海部に近づいて言う



「ねぇ、そんなに言うなら本当にやってみる?」

「…は?」

「海部さん、興味あるんでしょ?やろう?」



相手の方に手をついて顔を近づけると海部は少し顔を赤くする

海部は後ろに両手をついて逃げるように体を後ろにやるが、もう逃げられない



(焦ってる焦ってる…どうせ次は…)



言われるであろう言葉を待機してドキドキしながら待つ

海部は顔を赤くしてそっぽを向いている、これはもう陥落した…と思っていると




「いいぜ、やってみるか?」

「えっ」


そう言って相手の右肩に自身の右腕を乗せてニヤリと笑う

塚本は予想外の言葉につい言葉を発してしまう



「…う、うん、するよ!」



一瞬焦ったが塚本も相手を睨むように見つめて塚本は言う

海部の方は笑顔のまま相手の頭に右手を滑り込ませる



(あ?あれ?なんでだろう?もしかして…私不利?

 い、いやこれは引いたと見せかけて押せばきっと海部さんは慌てて…)



冷静になって塚本は相手の表情を伺う

やはり、余裕があるのか笑っている



「来いよ、拒まないぞ…キスも、大人のするようなことも、全部」

「…っ!」


海部が誘うのに塚本は顔を赤く染める

ここまで言われると逆に恥ずかしい上、彼女からはこの手の言葉は言われなれていない



「仕方ない…な」



海部は相手の様子にため息を吐くと、右手で肩を引いて体を自分に寄せると

そのまま体を回して塚本を布団に倒す


塚本は抵抗をするほど冷静ではなく、されるがままに押し倒された



「…あ、あれ?」

「ふふふ…私がこういうこと出来ないって思ってただろ」

「いや…その…えっと…」




得意げに笑う相手に困惑しながら一応言葉を発するが文章を作ることが出来ない



「…困惑してるな…まぁいいだろ、とりあえず気持ちいいことしような?」

「えっ!?な、なにする…ひゃあ!」



海部がそういって顔を近づけるのに何が起こるのかわからず尋ねるが

その答えの前に耳に伝わる小さな感覚に驚く


「はむ…なんかいいな、コレ」


海部は耳を唇で何度か挟むと、海部は嬉しそうな声で囁く



「くすぐったいよ…やめて…やめてよ…」

「…人にやっといてそれは無いだろ…それに、そんな可愛い声で言われるとなぁ…」



わざと口で呼吸をして相手の耳に息を当てるように言うと

今度は軽く歯を立てて噛む



「…あぁ…うぅ…」

「痛いか?くすぐったいか?…あぁ、気持ちいいのか?」

「くすぐったいよ…息とか…ちょっと痛いし…」



弱ったように言う塚本に海部の嗜虐心が煽られる



「それは悪かったな…それじゃあ別のところ責めてやるからな?」

「うぅ…」



海部は顔を離す直前に軽く耳の縁を舐めて、次にどうしようか考える

その間に塚本は今の状況を考える


(なんで私が攻められてるの?海部さんこんな人じゃなかったよね?ヘタレだったよね?

あ、でも海部さんのコレは珍しいけど今回は攻めに来たのに

でもこれを逃したら海部さんの攻めは…)


グルグルと、今の相手の態度の珍しさと目的の間で揺れ動く


「…ふふ…塚本はわき腹弱かったな~?」

「ひゃぁ…くすぐった…くすぐったいって!」



両手で思いっきり相手のわき腹をくすぐると、塚本はそれから逃れようと体を動かそうとしたが

海部は塚本にまたがってるように膝で立っている、逃げられない



「許して!許してよ!」

「宮内にも結城にもやってたのにな…そういうこと言うんだな?…もっとオシオキしてやろうか?」

(いやぁ…変なスイッチ入ってる…)



相手の言葉に驚きながらも、ニヤニヤと浮かべる笑みが珍しくて少しだけどうなってしまうのか気になる



「…ヤバイな、これ楽しい…お前の声が悪いんだからな?」

「そういわれてもどうしようもないよ…」



弱った力ない声で拗ねたように言う

海部はますます調子をよくしたのか、布団の下に右手をやって何かを出す



「…ちょっと試してみるか?」

「え…それ…何?」

「羽箒、中学時代買ったんだよな…大丈夫、ちゃんと洗ってるから」



そういいながら羽を首筋に走らせる



「ひゃ!」

「くすぐったいけど気持ちいいだろ?私も大好きだからな、コレ」

「…きもちよくないもん!私海部さんみたいなドMじゃないもん!」

「じゃあドMにしてやろうか?」


言いながら首を執拗に羽で責める

俯くように顔を動かしてはさんで止めようとしたが、羽は後ろに回りこんでくすぐり続ける


「後ろ!後ろ止めて!もっとくすぐったい!」

「ははははは、気持ちよくなるまで止めないからな~」

「もういい!いらない!わかったから!」


肩で息をしてぐったりとした相手に、海部は興奮が高まるのを感じたが

相手の目に少し涙が浮かんでいるのに気づいて羽を床に下ろす



「悪かったな…ちょっとやりすぎたか?」

「うぅ……」



相手の頭を撫でる感覚が心地よくて、何か怒って言おうとしたが何もいえなくなってしまう


(これってまずい?ヘタレよりさらに下位の人間になってない?大丈夫?)


心の内側にもやもやとした不安を持ったまま塚本は

気恥ずかしさで布団の上にあった毛布を手繰り寄せて顔をうずめる

その様子に海部は内心で可愛いなと改めて思いながら頭を撫で続けている



「海部さ~ん!結城さんが明日のご飯について…」



ノックもせずに突然ガチャリと言う音がして海部はそちらを見る


入ってきたのは宮内、結城の言伝を言いながら彼女の視界に入ってきたのは

塚本の上にまたがる海部、しかも塚本は布団に顔を埋めていて表情が見えない



「あ~…うん、お楽しみの真っ最中でしたか」

「違う!もう終わった所だ!」

「え…事後…?」

「そうじゃない!そういう意味じゃない!」


海部は顔を赤くしてそっぽを向く、その様子を布団からチラリと塚本はのぞく


「…私もしかしなくてもなめられてる?」

「違う!お前は愛でていたいだけで宮内にはなんというか…」


海部が言葉に迷うと宮内はニヤニヤとして海部の肩を叩いて言う


「いじめられたい?」

「そうは言って無いだろう?」

「私は心の声を代弁しただけなんだけど?」


海部は相手を睨みつけて強く否定するが宮内には通じない



「とにかく!結城が呼んでるんだろ?行ってくる!」


照れ隠しのように立ち上がって海部は部屋から出て行く

塚本はようやくもとの体制になって座る


「…何か納得いかない」

「まぁ…ある意味珍しい立場だし面白いと思いますよ?」


宮内は慰めるように言うが塚本は拗ねたように毛布を抱きしめていた








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