八話
「うーん・・・」
魔王の部屋を腕を組ながら眺める
やって来た当初に比べると、勉強の為に用意してくれた本や、エルンストさんがことあるごとに持ってくる多種多様な衣装が増え、生活感が出てきた
それでも、だだっ広い部屋はまだまだ寂しい
「観葉植物とか置いてみようかなあ・・・バルコニーにはプランターで野菜でも育てる?」
自問自答しながらあーしようこーしようと想像する
ちなみに育てるのが花ではなく野菜なのが性格が出る
バルコニーに面したガラス張りの戸を開く
本日の魔国の天気は晴れだ
「天気まで操れるんだっけ?人外よねぇ・・・魔王だし。」
少し空を見つめていると、視線を感じた
「グラニール、おはよう」
目は余りあわせないようにして近寄ってきたサラマンダーに挨拶する
巨体の龍族な彼は私があの、ユリウスさんと出会ったときも熱烈な視線を寄越してきていた
あれからバルコニーに出る度現れる熱烈な魔王支持者だ
まあ、魔族は魔王至上主義らしいから魔王支持者はサラマンダーだけではないようだ
魔人に比べて魔獣のが感情表現も真っ直ぐで分かりやすいのだとユリウスさんが教えてくれた
私の挨拶に尾を振り撫でてと言わんばかりに頭を差し出してくる犬のような可愛い子だ
「それじゃグラニール、貴方綺麗な花とか生えている場所わかる?」
ぶんと大きく振られた尾を是ととる
「連れていって?」
ぶんとまた尾はふられる
「本当は、言ってから行くべきだけど。
仰々しくするのもイヤだしねぇ
なんとかなる、かなあ」
人はそれを無謀という