二話
眼下には想像していたより普通な石造りの街が広がっている
魔国だ、魔人だ、魔獣だと言うからもっと怖そうだと思っていたのに
まあ空には火を吹いているでっかい蜥蜴やら蝙蝠羽を生やした人骨やらが飛んでいたりするが
溜め息を吐いた所で夢でない以上現実は変わらない
それでも無意識に溜め息を吐くし気持ちは下降の一途だ
現実・・・なんて酷い現実だろう
日本の何処にでもいるような一般人の私が、世界の三分の一を支配する魔族の王だなんて
数時間前に目覚めた私に美形な銀髪の青年は時折脱線しつつ私の質問に丁寧に答えていった
「此処は何処・・・」
「世界の三分の一を占める魔族の国、魔国の中心地ザエルの王宮でございます」
「魔王ってナニ?」
「魔国の民の王でございます。」
「いや、基準て何よ?何で私?私は普通な日本人よ。」
「代々、増え続ける魔力を、継承できる方が、魔王となるのです。
先代魔王までに代々継承された魔力は、この魔界で耐えられるものがいない程に濃密で多量で御座いました。故に探したので御座います。世界を巡り、異空間を探して
そうして魔王様を見つけたのでございます」
「・・・そんなモノ継承?出来ているの?」
「えぇ!勿論に御座います!」
「因みに聞くけど継承出来なかったらどうなるの」
「魔力に耐えられず破裂致します」
サラリ
「(なんつー・・・もう、イヤ・・・)」
それまでギリギリ保っていた意識はあっさり彼方に飛んでいった
美形の慌てた声が聞こえた気がした