第二話『アレシュバーグ』
分けました、分ける前の話を見た方は申し訳ありません。
十数分程度、全力疾走とは言わないまでも、少しも疲れていない自分がいた。
街、というか城下町といったほうがあっているだろう、その城下町へと入る門の前へとくれば、当然門番がいる。
少々警戒をしてこちらをみてくる、ちょっと前に全速力はやめて歩いてきたのだ、俺がすごい速さで来ていたということは気づかれていないはず。
警戒を解くためにニコニコと笑いながら近づく。
「止まれ。名を名乗れ」
そういわれて少し考える。
彰…じゃだめかもしれない、いかにも西洋風だ、西洋風の名前を言ったほうがおかしなやつとは思われないと思う。
ちょっと考えて
「アレンです」
そう答えた。
アしかあってない上に安直だと思った。
だけど俺名前とか作ったことないからな。
「このアレシュバーグに来た理由はなんだ?」
どうやらこの街はアレシュバーグという名前らしい、言いにくそうで言いやすい名前だな。
「出稼ぎにきました。」
嘘ではない、そういうと門番は納得したようにうなずく。
「あの…入国にはどうすればいいんでしょう。」
そう問えば、門番は近くの石でできた小さな小屋へと連れてきて、俺に羊皮紙を渡してくる。
色々と書いているが、読めない。
「こちらに血を落としてくれませんか。」
悪魔の契約かと思ったが、入ることが先決だ。
だが…少し不安だ、個人情報とか出てこないだろうか、転生者とかでて異端者認定されたら終わりだ。
そんな俺の不安を感じ取ったのか、門番は口を開けた
「血の契約です。契約すれば現在位置を示すことができます、効力はそれのみ、情報などもある程度は読み取りますが、身長体重程度で、個々の尊厳などに対し、辱めとなるようなことは何一つ読み取りませんのでご安心ください。行ってしまえば犯罪やスパイなどに対する予防みたいなものですね。」
そういわれて安心して血を落とすことを決める。
仕方ないから親指を噛んで血を流そうか、と思いたち…すぐに止めた。
「…」
力加減がわからない、間違えて肉ごと噛みちぎるとかないよな?
そのことを思えば、ちょっと怖くなって、門番をみた。
「な、ナイフとかありません?」
そういってみれば、「あ、申し訳ありません。」といって引き出しからナイフを取り出し、渡してくる。それを握ってそぉっと親指を切り…切れない。
「あ、あれ?錆びているんですかね?ちゃんと清潔に洗っているんですが…新しいものを。」
そういってあわてて引き出しを開けるが、見つからないらしい、ちょっと焦っている。
…なんか罪悪感が沸き起こる。
「あ、もうあれですね、噛みますとも。」
罪悪感がわき続けて、もうやるしかないと思って親指を噛む。
成功…少々だが血が出てきた、ホッとして息を吐くと、それを羊皮紙へとグッと押し当てる。
「なんだかすみませんね…」
そういって申し訳なさそうにする門番、心へと罪悪感が矢になって突き刺さり続ける。
門へと案内されて、小さな穴に向かって、「開聞!」と門番が叫ぶと、ガリガリと音を立てて門が開く。
「どうぞ。」
「ありがとうございました。」
お礼をいって、一歩を歩く。
「(そういえば、あの血でわかるってことは、科学とか魔法とかあるのだろうか)」
そんなことを思いながら歩いていくと、街の光景が見えてくる。
俺の予想はあっていたらしい、城下町の大きな通りをみれば、目立ちはしないものの、ものが浮いているなどといった光景が見れる。
科学では装置が必要だが、そんなものはなさそうだ、つまり魔法があるということ。
煉瓦造りの家々をみても、到底科学が発展した都市だとは思えない。
「魔法かぁ。」
異世界だな、なんて心の中で思って、すぐに歩き出す。
掲示板とかあれば、職募集してるかもしれない。
――これでも会社員、この就職氷河期と呼ばれるこの時代で内定をGETした男だ、面接には自信がある。
…そんな能力必要かはわからないけど
面接マニュアルは熟読したぞ!
歩き続けると、やはり異世界、髪の色は色とりどり、蛍光色だらけ。
金髪や茶髪が多いのはいいのだが、緑やピンクがある。
本人に行ったら怒られるだろうが、目が痛い。
そう思っていると、視線を感じる、そういえば歩いているのに、俺の髪色である黒がいない。
――おそらく珍しいのだろう。
そんなことをもいながら歩いていくと、掲示板を見つけたので、小走りで走って近づいてみる。
たくさんの紙、きっと求人広告があるだろう。
掲示板に手を付けて、求人広告を探し――固まった。
「…」
…文字が読めない。
「文字が…読めない…だとぉ…」
大切なことなので二度言いました。
なぜか抑揚をつけて行ってしまい、それから呆然とする。
ジッとみつめていても何も変わらない。文字を勉強する?今からやっても飢え死にだ。
そんなときだった
「あ、あの…どうかしましたか?」
声をかけられる、声をかけてくれたということは親切な人だ。
つまり…俺はこの人を頼るしかない。
振り向き、みるといたのが銀髪少女、おどおどしながらもこっちを心配そうに見つめてくる。
その光景に、実に心優しそうな雰囲気を感じる、…いまはそんなことはどうでもいい
頭を地面にこすりつける、土下座というものだ。
「ふぇぇえ!?どうかしましたか!?」
さすがにやりすぎだったのだろう、ものすごいひきつり驚きの声を上げてこちらをみてくる。
「文字を…求人広告の文字を呼んでください…」
「え、は、はい、喜んで!」
俺がそういえば、少女は何が喜んでなのかさっぱりわからないが、一応は了承してくれたらしい。
運がいい、心優しい少女に見つけられた今の俺は最高に運がついてきている。
少女は掲示板へと近づくと、「えっと…」なんてつぶやきながら掲示板をみる。
「ひとつめは…『配達』条件:物について問わないこと、生死に関しては保証なし」
「却下します。」
当然である、怪しげってなんなのさ、たしかにえり好みなんてできないけどさ、仕事の関係は信頼の元築き上げるものなんだよ、死亡フラグが立ちすぎて怖いわ!
信頼も何もないうえにそういうのは『運び屋』を名乗る人にやらせなさい!
「あ、そうですか…二つ目ですね、『荷物の運搬』、条件は力が強い…無理ですかね?」
「見た目で判断してもらっては困ります。これでも私すごいです。」
「へぇ、そうなんですか、へぇ」
「…棒読みですか。」
ものすごい温かい視線をいただいた。
「では三つ目…これがいいと思います。住み込みになりますが、城内や庭の掃除…掃除係です。」
「結構いいですね。」
住み込みという部分が特にいい、金に問題はいっきに解消されるし
「私もそう思います、えぇっと場所は…城の前の門番に話しかければ案内するそうです。」
「はい、あ、ありがとうございます、後々お礼はしますから。」
「いえそんなのいいんですよ、…あ、そういえば城への道のりはわかりますか?」
「…」
「…」
「…わ、わかりませ、んなわけないです!」
「さて、こちらです。」
「…ありがとうございます。」
なんともかっこうがつかない、というか格好悪い
「あ、そういえば自己紹介しておきます。フィリア、フィーって呼んでくださいね?」
「あ、アレンです。」
彰と言いそうになったが、ちゃんとここでの名前をいう。
「アレンさんですね!、ではついてきてください。」
そういわれて、俺はフィーの後ろを歩き始めるた、




