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ころ。

作者: 小豆みるな
掲載日:2025/11/24


 初めて君を見たとき、君はまだ三歳だった。小さくて、僕ともあまり変わらない背丈。

 話す言葉もまだ拙くて、何を言っているのか分からないことばかり。

 でも、僕を見つけた瞬間に笑顔になって、名前を呼んで、よちよち歩きで必死に近寄ってくる姿が、本当に可愛かった。


 君が七歳になった。


 小学生になって、背も伸びた。まだお兄ちゃんやお母さんよりずっと小さいけれど、それでもしっかり成長したね。

 君は恥ずかしがり屋で、友達とうまく話せない日もあったね。

 ぬいぐるみ遊びが好きで、僕はよく君の作る小さな劇を眺めるのが楽しみだった。

 お散歩にも行った。公園の坂を二人で駆け上がって、今度は転げるみたいに降りて。

 息が切れるほど疲れても、君の笑顔を見ると僕の疲れなんて一瞬で吹き飛んだ。


 君が十三歳になった。


 あっという間に中学生。弟も生まれて、すっかりお姉ちゃんだ。

 ある日、学校から泣きながら帰ってきたことがあったね。

 どうしたの? そんなに泣いている君を見るのは、初めてだった。

 泣かないで。君が涙を流すと、僕の胸まで痛くなる。

 大丈夫。落ち着くまで、そばにいるよ。

 僕にはそれくらいしかできないけれど、少しでも力になりたいんだ。


 君が十六歳になった。


 いつの間にか、僕は君を見上げるようになって首が痛いほどだ。

 新しい制服に嬉しそうにはしゃいで、鏡の前でくるくる回る君は、まだ小さな女の子みたいで。

 でもね、そんなところも全部、僕は大好きだ。

 君の帰りは前より遅くなって、僕と過ごす時間は減ってしまった。

 でも、君が楽しそうならそれでいい。

 僕は、何時になっても帰りを待っているから。

 帰ってきて真っ先に抱きしめてくれる君の温かさが、今も僕の宝物だ。

 前みたいに一緒に散歩には行けなくなったけれど、それでも君の隣にいることはできた。


 君が十八歳になった。


 高校卒業、おめでとう。

 その笑顔は少し寂しそうで、それでも未来に胸を弾ませていた。

 今日から君は家を出て一人暮らし。

 料理、できるかな。包丁が危なっかしくて怪我をしないか、僕はちょっと心配だけど……

 でも君は努力家だから、きっとすぐに上手になるよ。

 ごめんね。本当は今までみたいに君のそばに行きたいのに、体が思うように動かなくなってしまった。

 僕もすっかり年をとったみたいだ。

 でも、君が最後に会いに来てくれた。それだけで十分だ。

 君が来てくれるのを、これからもずっと待ってる。


 そして、君は十九歳になった。


 一年会わないうちに、本当に綺麗になった。かわいいなんて言葉じゃ足りないくらいに。

 新しい生活はどう? 泣いているところを見ると、まだ慣れなくて苦しいこともあるのかな。

 君は何でも一人で抱え込もうとするから、余計に心配だ。

 でももう大丈夫。僕がそばにいる。

 今日ね、不思議と体が軽いんだ。きっと久しぶりに君に会えたからだよ。

 君が笑顔になるまで、僕は離れない。ずっと見守るよ。

 ほら、涙が止まった。きっと届いたんだね。僕の想いが。


 これからまだまだ、たくさんの幸せが君を待っている。

 成人式、夢だった保育士の資格、そして恋をして、誰かと結婚して、子どもが生まれて。

 君が他の誰かの人生の一番になる日が来るのは、少し寂しいけれど、でも君が選ぶ人ならきっと素敵な人だ。

 その子どもと一緒に散歩に行ったり遊んだりできたらよかったな。

 

 ごめんね、最後に一つだけ。

 もう僕は君と走れないし、遊べないし、昔みたいには抱きしめてもらえない。

 でもね。僕はこれからもずっと、君の幸せを願ってるよ。

最後までお読みいただきありがとうございました(՞ . .՞)︎

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