ころ。
初めて君を見たとき、君はまだ三歳だった。小さくて、僕ともあまり変わらない背丈。
話す言葉もまだ拙くて、何を言っているのか分からないことばかり。
でも、僕を見つけた瞬間に笑顔になって、名前を呼んで、よちよち歩きで必死に近寄ってくる姿が、本当に可愛かった。
君が七歳になった。
小学生になって、背も伸びた。まだお兄ちゃんやお母さんよりずっと小さいけれど、それでもしっかり成長したね。
君は恥ずかしがり屋で、友達とうまく話せない日もあったね。
ぬいぐるみ遊びが好きで、僕はよく君の作る小さな劇を眺めるのが楽しみだった。
お散歩にも行った。公園の坂を二人で駆け上がって、今度は転げるみたいに降りて。
息が切れるほど疲れても、君の笑顔を見ると僕の疲れなんて一瞬で吹き飛んだ。
君が十三歳になった。
あっという間に中学生。弟も生まれて、すっかりお姉ちゃんだ。
ある日、学校から泣きながら帰ってきたことがあったね。
どうしたの? そんなに泣いている君を見るのは、初めてだった。
泣かないで。君が涙を流すと、僕の胸まで痛くなる。
大丈夫。落ち着くまで、そばにいるよ。
僕にはそれくらいしかできないけれど、少しでも力になりたいんだ。
君が十六歳になった。
いつの間にか、僕は君を見上げるようになって首が痛いほどだ。
新しい制服に嬉しそうにはしゃいで、鏡の前でくるくる回る君は、まだ小さな女の子みたいで。
でもね、そんなところも全部、僕は大好きだ。
君の帰りは前より遅くなって、僕と過ごす時間は減ってしまった。
でも、君が楽しそうならそれでいい。
僕は、何時になっても帰りを待っているから。
帰ってきて真っ先に抱きしめてくれる君の温かさが、今も僕の宝物だ。
前みたいに一緒に散歩には行けなくなったけれど、それでも君の隣にいることはできた。
君が十八歳になった。
高校卒業、おめでとう。
その笑顔は少し寂しそうで、それでも未来に胸を弾ませていた。
今日から君は家を出て一人暮らし。
料理、できるかな。包丁が危なっかしくて怪我をしないか、僕はちょっと心配だけど……
でも君は努力家だから、きっとすぐに上手になるよ。
ごめんね。本当は今までみたいに君のそばに行きたいのに、体が思うように動かなくなってしまった。
僕もすっかり年をとったみたいだ。
でも、君が最後に会いに来てくれた。それだけで十分だ。
君が来てくれるのを、これからもずっと待ってる。
そして、君は十九歳になった。
一年会わないうちに、本当に綺麗になった。かわいいなんて言葉じゃ足りないくらいに。
新しい生活はどう? 泣いているところを見ると、まだ慣れなくて苦しいこともあるのかな。
君は何でも一人で抱え込もうとするから、余計に心配だ。
でももう大丈夫。僕がそばにいる。
今日ね、不思議と体が軽いんだ。きっと久しぶりに君に会えたからだよ。
君が笑顔になるまで、僕は離れない。ずっと見守るよ。
ほら、涙が止まった。きっと届いたんだね。僕の想いが。
これからまだまだ、たくさんの幸せが君を待っている。
成人式、夢だった保育士の資格、そして恋をして、誰かと結婚して、子どもが生まれて。
君が他の誰かの人生の一番になる日が来るのは、少し寂しいけれど、でも君が選ぶ人ならきっと素敵な人だ。
その子どもと一緒に散歩に行ったり遊んだりできたらよかったな。
ごめんね、最後に一つだけ。
もう僕は君と走れないし、遊べないし、昔みたいには抱きしめてもらえない。
でもね。僕はこれからもずっと、君の幸せを願ってるよ。
最後までお読みいただきありがとうございました(՞ . .՞)︎




