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ガジェイレル-Right-  作者: 皆麻 兎
第六章 困惑
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第18話 再会がもたらす真実<前編>

久しぶりの前編後編の構成です!

 「ガシエルアカデミー」―――――――それは、アビスウォクテラにおける学者達の集団組織の名称である。この組織はギルガメシュ連邦のモノではなく、世界的な規模の組織のため、各国の学者達によって構成されている。

彼らの役目は考古学や遺跡の探求・それによる議論や論文を発表する他、“世界遺産”の仕組みを作った事でも知られている。一方で、一般人には伏せている機密情報も多く謎が多い。その“機密情報”の中には“世界のガジェイレル”であるセリエルしか知りえない事も含まれていた――――――


「ナチ・フラトネス少尉、ただ今戻りました!」

機械づくりの街ゲヘナから帰還したナチは、大佐の下に顔を出していた。

「おお・、ご苦労だったな!ナチ少尉!!そんで、ちゃんと事は進められたか?」

「はい。ちゃんとアレス技師にお会いする事も出来ました!ただ・・・」

「・・・ただ?」

オノレルダン大佐の問いかけに、口を濁らすナチ。

 その後、ナチは機械づくりの街ゲヘナで起きていた出来事を話した。しかし、なぜか記憶が曖昧だったので、“8人の異端者”の名前は出さなかったが・・・。

「なるほど・・・。だから、軍艦の最低限度の機能を直す器具や部品しか持ち帰れなかったというわけか・・・」

「・・・申し訳ございません」

「・・・いや。そんな出来事があったのなら、仕方ないさ。・・・それにしても、これが“世界統合”とやらの影響・・・か」

「え・・・?」

大佐が聞きなれない言葉を口にしたので、驚くナチ。

「えっと・・・?」

何の事かわからずに黙り込んでいるナチに気がついた大佐は、「そうか」と言ったような表情をする。

「お前がゲヘナに行っている間に・・・本国から使いと学者が来たんだ」

「使い・・・?」

すると、大佐はため息交じりで話す。

「本国も、いろいろとバタバタしているから、至急部下を連れて帰ってこいってさ」

「・・・軍艦ふねがまだ直っていないのに!!?」

「ああ・・・」

ナチの問いに答えたオノレルダン大佐は、その場で深いため息をつく。

その後、何かを閃いたのか、再び大佐はナチに視線を向ける。

「そういえば・・・使いに同行していた学者が、お前に会いたがっていたぞ」

「俺に・・・ですか?」

その台詞を聞いたナチは、首をかしげる。

実は、彼の父親が星命学の学者であるため、そっちの方面の知り合いが多い。ナチはそれが誰なのかと考えていると・・・

「確か、その学者・・・ジェンドとか名乗っていたぞ?」

「!!」


 本国からの使いと一緒に訪れた学者が、知人のジェンド博士である事を知ったナチは、彼に会いにいった。

「おお・・・ナチ君・・・!」

アテレステンの植民地内にある、応接室にいたジェンド博士を発見する。

「お久しぶりです、ジェンド博士。・・・古代遺跡調査した後以来ですね」

博士を見たナチは、微笑みながら、彼と握手をした。すると、ナチは彼の足元に置かれているカバンに目が入る。

「今回・・・多くの資料を、それに入れて持ち歩いていたんですね・・・」

ナチがボソッと呟く。

学者は調査や論議をする際、文献といった古い資料をいくつか持ち歩いている。その量は、議題の内容によって様々である。

 ・・・これだけ厚さのあるカバンを使用したという事は・・・

「俺ら魔物討伐隊に、重要な話があって訪れた・・・という事ですよね?」

ナチは真剣な表情かおをしながら、ジェンド博士を見つめた。

そのいつになく真剣な様子を見た博士は、声を小さめにして耳打ちする。

「・・・ここの駐屯部隊の方々に説明した事を、君にも話そう。だが、少し場所を変えてもらってもいいかね・・・?」

ジェンド博士がなぜこのような言い方をしたのか、ナチは理解できなかった。

しかし、「ジェンド博士(この人)の事だから、何か考えがあっての事であろう」と考えたナチは、どこか人気のない場所はないかと考える。

そして、彼は2人で話すのに一番最適と思われる場所を考え付いた。

「・・・では、少し移動しましょう。・・・俺も、貴方に見てもらいたい事があるので・・・」


「・・・なんと!!」

応接室を離れたナチとジェンド博士は、あまり人気のない場所――――――セリエルがいる部屋を訪れていた。

彼らの前にいるセリエルは、意識はあるのに瞳に光が宿っていない・・・そして、虚ろな表情で一言も発しない、まるで「生きた人形」のようになっていた。また、自ら身体を動かせないのか、ベッドに寝かせてあった。そして、その現状を見た博士は表情を一変させる。

「俺は、ゲヘナに行ってたためにずっと側にはいれませんでしたが・・・。彼女、声をかけても、全く返事がないんです・・・」

「どうしてこんな状態になったのだろう」という想いをかみ締めながら、説明するナチ。

セリエルの状態に呆然としていたジェンド博士だったが、数分後・・・何かを理解したような表情かおをしながら、重たくなった口を開く。

「なるほど・・・」

「・・・?ジェンド博士・・・?」

セリエルを見つめるジェンド博士に、ナチは不思議そうな表情で首を傾げる。

「さて・・・。本題に入るとしよう。まずは、大佐殿にお話した内容から・・・」

そう呟いたジェンド博士は、近くにあった椅子にゆっくりと腰掛ける。

「数日前・・・イレルパタンでも地震があったそうじゃな?」

「あ、はい・・・」

「あの地震は、この大陸だけでなく・・・ギルガメシュ連邦を含む全世界で起こっていたのだ」

「はぁ・・・」

ジェンド博士のここまでの台詞だけでは、何が言いたいのかがさっぱりだった。

「詳しい経緯を話したら・・・日が暮れてしまいそうなので、簡略して伝えておこう・・・」

そう語ると、博士からつばをゴクリと飲み込む音が小さく聴こえる。

「あの地震の後、君達もその場で気絶していたであろう。その時・・・2つの世界が融合したのだ」

「え・・・!!?」

この時、ナチは以前に博士の研究室でしていた会話について思い出す。

「そういえば・・・以前に博士の研究室で、“時止まりの空間ストイムフィールド”についての話を・・・しましたよね?」

その台詞を聞いた博士は、黙って頷いた後、再び口を開く。

「・・・そして、あの時君は、古代の世界の事を“本来の世界”と述べていた。・・・つまり、今は2つに分かれていた世界が一つとなり・・・“本来の世界”に戻ったのだよ・・・」

博士がそう答えると、2人の間に沈黙が走る。

お互い、次に何の言葉を口にすれば良いか迷っていた。しかし、その沈黙を破ったのは、他でもないジェンド博士の方だった。

「・・・本来、“アビスウォクテラ(ここ)以外にもう一つの世界がある”という話は・・・私が所属する学会組織“ガシエルアカデミー”における、重大な機密情報だった・・・。しかし、世界各国が混乱してしまい、機密が現実のモノとなってしまった以上・・・事態を収拾するためにも、この事実を国民に打ち明けるという判断を上が下したのじゃ・・・」

「そう・・・だったんですか・・・」

ナチはそう呟くと、視線を下に落とした。

そして、続けざまにしてジェンド博士の話が続く。

「そして今、2つの世界が一つに融合した事で・・・アビスウォクテラにあったモノが消失したり、逆に向こうの世界のモノらしき建造物が現れたり・・・そんな状態を目の当たりにして、わたしは思ったのだ」

「・・・何を・・・ですか・・・?」

ジェンド博士が何を考えているのか気になるナチは、恐る恐る彼に尋ねる。

すると、博士はベッドにいるセリエルに視線を移す。

「彼女に起きている事は・・・融合した2つの世界がまだ完璧でない事を・・・体で表しているのでは・・・とな」

「つまり・・・彼女は、今の世界の現状を体現している・・・という事ですか?」

ナチは、それが本当だとしたら、全てのつじつまが合うような気がしてきていた。

 地震が起きた時・・・セリエルさんは、「私でなくなる」とか「一時的なもの」とか言っていたけど・・・こういう事だったんだな・・・!

セリエルがなぜ、このような物言わぬ状態になったのか・・・その理由がわかったナチは、少しばかりか安堵した。そして、セリエルが蒼い光に包まれていた時の話をジェンド博士にすると、彼は「なるほど」と頷いていた。

「・・・まぁ、とりあえず彼女の事は置いといて・・・。それと、もう一つ・・・これは、軍人達の士気に関わるため、まだ大佐殿にしかお話してないのだが・・・」

再び真剣な表情かおに戻った博士は、話を再開する。

「ここに来る途中・・・人々が噂しているのを耳にした」

「・・・噂?」

 ただの噂話なのに・・・どうして、こんなに深刻そうな表情かおをしているのだろう・・・?

ジェンド博士の顔を真正面で見ながら、ナチは内心でそんな事を考えていた。

「なんでも、“8人の異端者”を名乗る者達が・・・各地で殺戮や破壊を繰り返している・・・そんな内容だった」

「なっ・・・!!!」

“8人の異端者”の名前を聞いたナチの表情が、みるみる真っ青になっていく。

「そいつらって・・・確か・・・!」

「・・・ああ。遥か昔、古代大戦で人類に破れて“時止まりの空間ストイムフィールド”に幽閉されていた異民族達じゃ・・・!」

はき捨てるように話す博士は、恐怖のせいなのか、全身が震えていた。

「これも・・・世界統合と、何か関係あるんですかね!?」

何が何だかわからなくなりつつあるナチは、頭を抱えて髪をグシャグシャとかき回す。

すると、ジェンド博士は再びため息をついた後、話し出す。

「・・・流石に、そこまではわからん。ただ・・・本国に帰ったら、いろいろと荒れる事を・・・肝に命じておいてほしい」

そう言い切った博士も、頭を抱えたナチも・・・その後、しばらくの間が黙り込んでいたのであった。


いかがでしたか。

この回でいろんな事を知らされたせいか、ナチはおそらく自分が敵に記憶を消されていた事すら忘れていると思います。

最も、ナチはセリエルと違って”全てを知っている”わけではないので、パニックになるのは仕方のない事だと思います。


それと、最後の一文を読むとこれが一話完結のように見えるかもしれませんが、ちゃんと後編は存在し、続いていますよ~!

・・・という事で、引き続きご意見・ご感想をお待ちしてます!


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