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次元創世者アクセレイザー 序章2【もともとは普通の地球人だったんだけどなぁ。】

 次元を作り、鋭く激しい体の痛みから解放された。


 それによって崩壊しかけていた自分の心を、宇宙の美しい光景を見て少しずつ取り戻した。


 そうしていったい何億年の時がたったであろうか。


 さまざまなことを考える余裕が生まれ、ふと目にした自分の両腕は異形になっていた。

まさかと思い鏡を探して星々を巡る彼の名は『エル=グランド=インフィニットディスティニーメイカー=アクセレイザー』。

通称は『エーア』。

 と、名乗ってはいるがいまだに人間どころか生命体ひとつにすら会えてはいないので、今のところこの名前も在って無いようなものではあるが、心に余裕が生まれた彼が最初に思いついたものが自分の名前であった。

だから彼はそれを自分の新しい名前として生きていこうと決めたのである。

 様はこの次元での彼の名前であった。


 人は見た目ではないと高説のたまう者もいるが、そうは言っても外見が人間の範疇を超越していた場合はどう思うであろうか?

 【こりゃ、明らかに俺の知識の範囲での人間の外見じゃあないな。】

 彼は、水面に映し出されている自分の姿を見て呟いた。

エーアの居る場所は地表一面が液体で覆われていて大気のある惑星であった。

呼吸した感覚で例えるならば地球と同じような大気、液体を試飲してみたが真水と変わらないような味。

皮膚の感覚で言えば、桜が咲いている頃のような暖かさ。

どれも、彼の感覚と記憶による表現だけではあるが、恒星から程よく離れていて、しかしながら影響を与えるような強い重力のある星が付近に無いのであろうか、この海は凪状態が長く続いている。

 そんな水面に映る一体の異形。

それが彼であった。


 体表面は甲殻類のような青紫の硬質の肌。

太く発達した手足には黒い爪。

鋭く尖った牙をいくつも持った口に後頭部からは青く長い頭髪が伸びている。

真珠の様に美しく、猫の様に愛らしい桃色の眼が逆に不気味な印象を持っていた。

胴体はさらにまがまがしい意匠に変化している。

胸筋を模した甲冑のような硬質の外骨格に、胸と腹の間には左右に無数の牙のある大きな口があった。

触って確かめてみると、自分の意思で動かせるものであり、その口の中には鮮やかな紫の宝珠がある。

 【間違いない。

こりゃ、スーパーロボットだ。】

 ロボットアニメ鑑賞が趣味だった彼は、数億年ぶりに見た自分の姿をそう形容した。

 【シルエットは人間だから、頑張れば鎧武者にも見えなくはないかな?】

 と、首を捻りながら考えて尻を掻くとなにやら違和感を感じる。

そこには節が連なり、先端が鋭く尖っている尾があった。

長さは足よりも長く、同じくらいの太さだ。

 【う~ん。】

 エーアは水面の前で中に胡坐を掻き、腕を組んだ。

 自分は地球人だ。

しかし、これではどう見ても地球人とは言えない。

事実、地球人ではあるが、地球人に似た姿を持った生命体からはそう認識されないであろう。


 このような外見になった事に関して、心当たりは一つしかない。

『次元の狭間』で正体不明のエネルギーを浴びて、肉体が変質してしまったからだ。

 解かっていたことだが、そもそも彼の能力は既に人間の範疇を超えている。

真空の宇宙で生身で普通に生存していられる。

鉄が蒸発するような恒星の地表にすら立てる。

数千年前に彗星が直撃しても彗星のほうが破砕してしまっている。

光や空間さえも歪むブラックホールすら、掌から発射した光のような弾丸のようなもので消滅させる事が出来た。

挙句の果てに今こうして重力を無視して、水面に水平に浮かんでいられる。


そもそも次元を創造し、数千億を生存できていることで、もう生命体の範疇すら超えている気が本人すら感じていた。


 【う~ん。

なんとか地球人型生物に出会う前に地球人としての外見を取り戻さないと、会話すら無理そうだ。】

 落ちこんでみるとアンテナか触角の様に眉が歪む。

顔も外骨格で覆われていながら表情は変わるようである。

 【う~~~~~~~~~んん!!】

 さらに彼は次元の狭間に迷い込む前の自分の外見を必死に思い浮かべてみる。

身長は178センチ。

体重は70キロ。

中肉中背で黒髪黒目の典型的な日本人であった自分の姿を。

 【う~~~~~~~~~んん!!

思い浮かべて姿が変わるなら苦労するかーーーーーー!!】

 とのエーアの叫びに、大気が振動して波が生まれていった。





 後々のことであるが、試行錯誤の努力の甲斐あって、これより数千万年後に地球人型の外見への変身能力を発現する。

しかし、その努力は実らなかった。

 初めて会った知的生命体が、人型ロボットの様な生命体だったからで、大きさも彼とほとんど変わらない大きさだったからだ。

 彼が地球人に似た外見に変身出来た努力が実るのは、彼の時間の感覚からはそこから数億年はかかることになり、自分の能力の全てを理解するのはそのもっとあとだ。


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