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もういいや、ガチで便所いこ。もう便所にいくしかないよな。でも便所に行くって言ったってどうやって行けばいいんだ? もういっそのことここでしちまうか? ここでやっちまったら、もう便所いく必要もないもんな。マジでナイスアイデアやんけ。
「いくぜ、おやああ、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!」
俺はケツからジェット噴射した。
すごい勢いで俺は空に放出される。
一瞬で上空にたどり着き、俺はもう大満足。
やばいな、これはもう最高だわ。一気に出す感触がマジでやばすぎるわ。クセになるわ。これをたくさんの人に知ってもらいたいな。もうトイレなんかいらない。外があれば、そこですればいいんだ。家なんて取っ払っちまえ、時代はもう外だ。
「よし、このまま世界一周旅行と洒落込みますか」
俺はさらにジェット噴射でどこかへ行こうとする。まぁこのまままっすぐ行けばいずれ一周できるよな。もうそれしか頭にないわ。もう考えるのがだるい。全て考えるのがだるいんだ。誰かを殺すことと、世界一周旅行をすることくらいしかもう頭にない。あー、なんかむしゃくしゃしてきた。なんで俺はこの程度のことしか考えることができないんだろう。もっとあるだろ、人を殺すんじゃなくて、ごはんを炊くとか、空気を吸い込むとか、花粉を飛び散らせるとか、もっとあるだろうが。なんでそんなことを考えつかないんだよ。
「もうマジで怒ったわ。もう俺を怒らせてしまった罪は重いわ。もう世界を破壊するしかないな。それくらいしないと、もう俺のいかりは収まるところを知らないよ」
あー、でもちょっとの間の衝動でそんなことをするのもよくないか。仕方ない、何かを壊すことはやめよう。その代わり誰かを操って、変なことをさせよう。そうだなそれだとおもしろすぎて、俺も笑顔になれるかもしれない。そうすればきっと俺の怒りも収まるだろう。
「まずは人探しだ! やほほーい」
俺は一直線にジェット噴射した。
こなれたものだ。
もう俺は完全にジェット噴射を使いこなしている。
「もうまどろっこしいな。森ばっかじゃんか。これだといつまで経っても人を見つけられないぞ」
仕方ない、またヨガをするか。ヨガをすれば、きっと俺のすごい力が力を貸してくれるはず。よく分からないが、そんな気がするんだ。
俺は再び地面に着地した。
「よっしゃ、さっきのが偶然じゃねぇってところを見せてくれ。おらに見せてくれよ。でも俺のあれは見せないぞ。はずかしいからな。そんなにみたいなら金を払えって話だよ」
俺はヨガをした。
無を意識する。大丈夫、何も考えなければいい。それがヨガだ。ヨガとは暇な人がただぼうっとするというだけのことだ。それをかっこよくヨガなんていうふうに呼んでるんだ。ヨガって全然奥深くない。だからこそ俺にだってできる。ぼうっとするのなんて、この世の誰にでもできることだ。
「ああ、感じる、感じるぞ、やはり俺の力を感じる。とりゃ!」
俺は力を行使した。
人がいる場所を知りたいと思ったのだ。
すると俺の脳内に赤いつぶつぶが何個も浮かび上がった。
「ああ、分かるよ。そうだな、この点がおそらく人なんだよな。これはただ衛星写真のように表示させているわけではない。俺が感じてるんだ。俺が感じている熱を、能力によって勝手に脳内に表示させてるんだ。俺がわかりやすいようにな」
さすがは俺の能力、使いやすすぎるな。
となるとさっそく赤い点のところにいきますか。
うーんと、こっから五キロメートルのところに五人組がいるな。どんな人達なんだろ。強さとかもわからないかな。戦闘力みたいな感じで。
「おお、出た出た。きれいに数値化されてますわ」
そりゃ熱を感じてるんだ。そのさき、熱エネルギーを読み取ることでその者のポテンシャルを図ることなど、あれを露出させることよりも簡単なことだ。
「えーっと、一人が戦闘力十五、その他のやつはみんな一桁だな。うーん、これがどれだけのものなのか全然わかんないな。ベースがいないとなかなかな」
まぁなんとなく大したことはなさそうなので、次を当たることにする。
十五キロメートル先に、二十個くらいの赤い粒があった。うーん、ここはなにかの集落かな。でも最高戦闘力が八か。全然大したことないな。でもほんのちょっと離れたところに三つの点がある。ここはちょっと高いな。十七の人とかいる。これはかなり強いんじゃないか? 今まで中で最高だぞ。
「うーん、他でいくと二十五キロ先に十数人の集落っぽいとこもあるけど……似たりよったりだな」
こうやって一つ一つ探していくのも面白いが、少し時間がかかりすぎてしまうようだ。
もっと他の方法はないものか。
「まどろっこしいからこの世で一番強いやつのところにいけばいいんじゃないか?」
俺はぴーんとひらめいてしまった。そうだ、そのものを検索して、そこに行けばかなりいい感じな気がする。そいつを倒せれば俺が最強ということにもなるしな。
「よーしこれはきたな。じゃあ早速……」
俺はこの世で一番強いやつを検索しようとした。でも一番強いやつをしってしまうのはなんか味気ないと思ったので、十番目くらいのやつを検索することにした。




