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さよなら、バッティングセンター

作者: しまのもん

 駅の近くのお寿司屋さんでささやかなお別れの会が開かれることになった。


 主役は今日、閉店を迎えた片田舎のバッティングセンターだった。


「斎藤さん、こっちだよ」


 練習帰りの姿のコーチさんが声をかけてくれた。

 田舎のお寿司屋さんの座敷席で、バッティングセンターを管理してくれていた人たちのバッティングセンターでの思い出を語るただそれだけなのだ。


 管理は私含めて4人、山田さん、佐藤さん、そしてコーチさん、私の計4人で管理してくれている。常連からの管理人だったとはいえ4人で顔を合わせるのは久しぶりであった。



「まずはご連絡を祖父が、オーナーがなくなり、このバッティングセンターも閉じることになりました。皆さんバッティングセンターの管理にご協力いただいて本当にありがとうございました。」


「いいよ、俺たちがいうのはなんだけどさびれたバッティングセンターだった。管理人の俺たちも常連が、勝手に機械を整備していたものの延長で好きな時間に使わせてもらえるようになっただけだ。俺なんて最近は全く顔も出せてなかった。」

 山田さんがそうを声をかけてくれた。


「そうです。もともとが我々が好き勝手使わせてもらったのがはじまりです。」

「そうですね。本当に私もお世話になりました。せっかく最後に集まれたんだ。最後は飲んで楽しく終わりましょう」


 そんなこんなで飲み会が始まって。1時間山田さんは号泣していた。

「おれは、あのバッティングセンターは思い出の場所なんだよ、今の嫁さんと初めてデートに行った場所でもあるんだ」



 そういえば山田さんは、出会ったときと比べてだいぶ変わったもんな・・・



 山田さんとの出会いは、私が小学生のころだった。


バットが盗まれた。

祖父から聞いた話だとしばらく見ていない間にバットが何本か盗まれていたらしい。


だから鍵はちゃんと閉めないとっていったのに、お金が盗まれなくてよかったね。



しばらくして、バットはもどっていた、金属バットは少し歪んで削れており、それがなんども続いていたのだった。



しばらくして朝の5時から朝練としてバッティングセンターに入り浸っていた時だった。ちょうど休憩中にバイクの音が聞こえた。破れたネットをかき分けて変な恰好をした人が入ってきた。


変なヤンキーがバットを返しにきていた。


「おにいさん、バット何につかってるの」


声に驚いたその人は山田さんはそそくさとバットをおいていったが、帰り際に質問に答えてくれた。

「バットはかっこいいから走るときに持ってるだけだ」


そんなに悪ぶっているのに変な人だなとおもっていた。


それからよくバットは返却された。そして時たま新しくそして1年たったある日帰ってきたバットに血がついていたのだ。祖父は激怒し朝練をする私とともにバットを置きに来る犯人を待った。


「おいバットは人を殴るものじゃない。そんな目的でもっていくなら使うな」


「その血は俺のだよ、悪かった」


「人は殴ってないのか、ならいい貸してやるからたまにはボールでも打ってけ」

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