第3話 現実を知る
おはようございます^^
「ん~」
朝9時、普段より遅く起きた裕也はリビングに行く。
「お袋、おはよー」
「おはよー」
洗濯物を干しに、庭へ出ようとしていた由美と挨拶を交わす。
「親父は?」
「あー、さっき病院に向かったわよ。
昨日山田さんと飲みに行ったでしょ?先にお父さんは帰ってきたんだけど、
後でお店出た山田さんが帰り道に襲われたらしく、奥さんから連絡来て、警察の方もいるから状況を聞きたいって。」
「襲われた?」
「急にバットみたいなので殴られたって、すぐに走って逃げれたみたいで、帰って奥さんに緊急病院に連れて行ってもらったみたいなの、犯人は捕まってないって」
(今まで、近くでそんな暴力沙汰なんて聞いたことなんか無いぞ・・・?もしかして・・・)
裕也はラノベの世界になったことを思い出した。
(山田さんはモンスターに襲われた?
だったらヤバイ!モンスターが外をうろついてる可能性がある!)
「お袋!今日は外に出ないで!」
「え?何を言ってるの?」
「一生のお願い!今日は外に出ないでほしい!窓も雨戸を閉めて家に居て!」
「いや、洗濯物干したいんだけど?」
「今日は部屋干しで!いいから家から絶対に出ないで!」
「わ、分かったわよ(急にどうしたのかしら?)」
すぐに親父に電話をする。
出ない。病院だから電源を切っているのかも知れない。
「お袋、車貸してー、ちょっと病院行ってくるー」
「外出ちゃ行けないんじゃないの?」
「それを確かめに行ってくる!」
「お袋は絶対に外出たらだめだよ!今日だけでいいから!約束だよ!」
「そんなに言われて外出たら、ほんとに怒られそうね・・・」
「お願いね!ちょっと行ってくる!」
裕也は由美の車を借りて、病院へ向かった。
「すみません、昨夜から早朝にかけてこちらに来た、山田修一さんはどちらの部屋ですか?」
受付の看護師の方に尋ねた。
「山田修一さんですね。少しお待ちください」
「302号室になります」
「ありがとうございます」
裕也は302号室へ向かった。
「親父!」
病室の前には警察官2名と親父が話していた。
「母さんから話を聞いたのか」
「うん、何があったの?」
「修一が言うには、急に後からバットみたいなので殴られたらしい。
背は小さかったみたいで、小学生くらいかもって」
「背が小さかった・・・」
(小学生が深夜にそんなことする訳がない。ゴブリンで確定だろ)
「幸い、すぐに逃げれたから良かったけど、俺も先に帰らないで、一緒に店出てたら襲われてた可能性があったんだよなぁ、いや、二人なら避けれたか。修一にはすまないことしたな・・・」
「それでは、失礼いたします」
山田さんや親父から、話を聞いた後だったらしく、警察官の2人は帰って行った。
「親父、多分なんだけど、山田さんを襲った犯人、ゴブリンの可能性が高いと思う」
「ん?あー、昨日言ってたやつか」
「詳しくは今日家に帰った時に話すから、帰ったら家から出ないでほしいんだ。
お袋にも今日は家から絶対に出ないでってお願いしてきた」
「お前、本気でそんなん言ってんのか?」
「昨日会社で剣見たろ?あれも元々はゴブリンが持ってたんだと思う」
「あれは、なんかの小道具なんかじゃねーのか?」
「山田さんを襲ったゴブリンが剣を持ってるやつだったら、多分殺されてたかも知れない。
親父!頼むから一旦家に帰って、今日は家から出ないでほしいんだ!」
「わかった、わかった。で?お前はどうするんだ?」
「俺は確認したいことがあるから、まだ家には帰らない。けど、ちゃんと帰ったら説明するから、家で待っててほしい」
「りょーかい、もっかい修一の顔を見てから帰るよ」
「絶対だよ!約束だからね!お袋と一緒にいて!それじゃ、行ってくる」
裕也は急ぎ足で病院を出る。
(どこから現れ、どれくらいいるんだ?ゴブリンだけじゃないと思うし・・・)
裕也は車に乗り、会社へ向かった。
周辺にゴブリンが居ないか、キョロキョロしながら安全運転で。