第2話 スキルすげー!
本日初日、2話目まで投稿します。
どなたかに興味を持って頂けますように。
「ただいまー、母さん風呂沸いてるかー?」
自宅に帰り、裕次郎は母である榊 由美に声をかける。
「沸いてるわよー、早く入っちゃってー、ご飯も出来てるー」
「裕也、先に入っていいか?」
「うん、いいよ。俺、先に飯食っちゃうわ」
「おけ、ちゃんとおかず残しとけよ」
「はーい」
裕也は仕事着のまま、リビングに向かう。
「お袋―、俺だけ先に飯食うー」
「はーい、ご飯とみそ汁よそってあげる」
イスに座り、少しの間考える。
(そういえば、誰かがスキルが云々とか言ってたよな、途中で親父が来て、忘れてた・・・)
「どうぞ」
お袋がご飯とみそ汁を持ってきてくれる。
(取り敢えず、飯食って、風呂場で考えよう)
夕飯が終えたところで、裕次郎が風呂から上がってくる。
「裕也すまんな、風呂空いたぞー」
「あいよー、んじゃ入ってくる」
湯船に、浸かりながら考える。
(あれって、ナビ的なものだよな?この世界が本当にラノベみたいになったってことは、もしかして・・・)
「ステータスオープン」
ラノベ定番のキーワードを、少しドキドキしながら発声する。
すると、A4サイズでいかにも最新のデジタル映像みたいなものが、自分の前に現れた。
「おおお・・・」
やっぱり、という気持ち以上に、テンションは高まるばかりである。
ステータス画面は以下の記載がある。
【名前】 榊 裕也
【レベル】 1
【経験値】 4/20
【体力】 12
【魔力】 4
【攻撃力】 3
【守備力】 2
【知力】 2
【器用】 3
【敏捷】 3
【スキル】
結界術1、アイテムボックス、経験値ブースト
(これが、レベル1のステータスか。数値低いなぁ、
要は現実世界だとこれが当たり前ってことか)
スキルを見る。
(これがナビで言ってた、特別なスキルってやつか)
・アイテムボックス
生物以外を異空間に収納し、出し入れが可能。
・経験値ブースト
取得経験値が2倍になる。
・結界術
結界魔法が使用可能。
レベル1:シールド
(アイテムボックスはめっちゃ憧れてた!すげー嬉しい!
経験値ブーストも、本当はもうちょっとチートっぽく10倍とかだと良かったけど、
まぁ、十分か・・・そして、結界術・・・あまり馴染みないなぁ・・・
まずは、アイテムボックスから・・・)
「アイテムボックス!」
しーん・・・
(これ、どうやって使うんだ?)
風呂桶を見る。
「収納!」
瞬時に目の前にあった風呂桶が消える。
「お!消えた!」
アイテムボックス:風呂桶×1
頭の中でアイテムボックスに収納されている桶が浮かび上がってくる。
「おおおー、すげー!」
(で、取り出し方はと・・・)
「風呂桶!」
桶をイメージし、手を元あった場所に向ける。
コンッ
風呂桶が出てきた。
「おおお!」
「すげー!アイテムボックスすげー!まんまラノベや!
取り敢えずどのくらい収納できるかわからないから、少しづつ確認してくか。」
(ドキドキが止まらない・・・自分が興奮してるのが分かる。
あっ、あいつらに報告しなきゃ!)
大事なことを思い出し、慌てて風呂から出る。
自分の部屋に戻り、すぐにPCを起動する。
某通信アプリを起動し、グループチャットでメッセージを打つ。
『みんなに報告がある。まじで凄い!全員集合!』
『お、裕也がインしたぞー、お疲れー』
『お疲れ様―』
『全員集合ってか、お前以外みんな居るよ、VC来いよw』
上から、山岸 健治、河合 京子、武田 正樹である。
裕也を入れた4人は、小・中学校からの友人で、皆ゲームやアニメ、ラノベが大好きで、同じ趣味を持っていることで仲良くなり、いつもみんなでVC繋いでゲームをしたり、好きなアニメやラノベの話をしているのだ。
すぐに、ヘッドセットを装着し、VCに繋げる。
(裕也)「聞こえる?」
(健治)「おけー」
(正樹)「で、報告ってなんだ?」
(京子)「彼女でも出来た?笑」
(健治)「さすがに、彼女出来る前に俺らには相談するだろ!笑」
(裕也)「いや、まじで凄いことが起きた!」
「この世界、ラノベみたいになったぞ!」
(3人)「「「は???」」」
(裕也)「ほんとなんだって!」
(正樹)「裕也・・・大丈夫か?寝起きか?」
(裕也)「仕事終わりだっての!それより明日集まれないか?実際に見せた方が早い!これからどうしていくかも含めて、作戦会議をしたい」
(健治)「裕也、まじで言ってんの?」
(京子)「何かドッキリ仕掛けようとしてる?」
(裕也)「俺が嘘言ったりしたことないだろー!まじなんだって!」
(正樹)「そうだけどさー、急にラノベになったって言われてもなぁ、
見せるって何を見せるのさ?」
(裕也)「それは、明日のお楽しみにしておこう!」
(3人)「「「えー!」」」
(裕也)「明日の昼過ぎにうちの会社に来てほしい!」
(健治)「なんか良く分かんないけど、分かったわー」
(京子)「健治―、迎えに来てー。明日車空いてないんだよねー」
(健治)「おけー、迎えに行くー」
(正樹)「取り敢えず昼過ぎなー」
(裕也)「ありがとう!今日はなんか疲れたからゲームせずに寝るわ!明日楽しみにしててなー!」
裕也はVCを切り、ベットに寝転ぶ。
「明日から俺の人生が変わるのかな・・・どうなるんだろう・・・
結界術ってのも試してみたいな。さすがに部屋の中で試す気にはなれん。
あ、明日親父も会社行くのかな?」
リビングに向かうと親父の姿は無かった。
「お袋―、親父は?」
「さっき隣の山田さんと飲みに行ったわよ」
「あー、金夜だもんなぁ、分かったー。俺もう寝るわー」
「あら、早いのね。おやすみー」
「おやすみー」
今日の配送先で力仕事をしたこともあって、身体が疲れてたのか眠たくなってきた。
「よし、明日しっかり、研究しよう!」
そして、眠りについた。
自分が大好きな世界が、現実になった日であった。
但し、これがゲームやラノベみたいな架空のお話ではなく、現実であることを、
裕也はまだ重く受け止めていなかった。