41話 破滅への一歩へ
「奥様」
「……この部屋には元からかけてあるけど、二重にかけておくわ」
そう言うと、何かを察したお母様は水晶玉のようなものを取り出した。
これは見たことがあった。傍受されるのを防ぐための魔法だ。
「尻尾は出しませんでしたが、奥様の予想通りの可能性が高いかと」
「……最悪ね。汚職まみれだとは思っていたけど」
翌日、ルーシーの報告にお母様は頭を抱えた。
何が最悪なのか、私にはまるで分からなかった。お母様からは何も聞かされていない。
「でも、あいつと組む理由は何? 闇魔法の悪用で金儲け? それほどまでに利益が出るの?」
「恐らく、私達がまだ知らない何かをやっているかと」
「金儲けのために麻薬の他に何かをして利益を出しているのか、何かのために金儲けをしているのか……」
ブツブツと呟きながら、お母様はそう言った。
私には何がなんだか分からなかった。何かとは、一体何なのだろうか?
「……どうやら第一王子との婚約は回避できそうにないわ」
「えっ」
できれば回避したかった現実。私の破滅への近道ともなり得る婚約。
権力にも興味はない。第一王子は別に推しでもない。婚約する理由は私にはなかった。
「学園の入学も回避できないわ。女子の入学は任意だけど……」
そしてお母様はまた頭を抱えた。
ため息をついた後、重い口を開けるように言った。
「最悪の場合、貴方が死ぬわ」
「なっ――!?」
思わず困惑したような、驚いたような、そんな感情が混じった声が出た。
「それも、貴方が追放されるよりももっと前に」
「な、何故ですか?」
恐る恐る尋ねると、お母様は神妙な面持ちで言った。
「今から言うことは口外禁止よ。貴方もね、ルーシー」
「はっ」
お母様は深呼吸をすると、私に大きな紙をを見せた。そこには、世界地図に何かを書き込んだものだった。
「貴方の敵は、端的に言うと世界よ。あの男は、世界と組んでると言っても過言ではないわ」
お母様は世界地図を指差して、そう言った。




