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24話 地獄の特訓

「こら! 魔法を使っている時は集中しなさい! 魔力の流れが乱れているわ! そんなのだと、事故を起こすわよ!」


「ひゃいっ!」


 鬼だった。魔法に憧れていた前世の自分が羨ましく思えてしまうほど、地獄だった。


 魔法の練習時間の割合だけで言えば、まるで大学受験生だ。食事や入浴、睡眠等以外はほとんどが練習。休みが恋しくなるほどだ。

 ただ、幸いなことにこの体は疲れを翌日に引きずらない。起きたら前日の疲れは全て無くなっているのは有難い。


「魔法の出力を抑えろとは言っていないわよ! 疲れたからといって、手を抜かない!」


「うう……」


 お母様は私の体に触れているわけでもない。触れることもあるが、基本的には少し離れた場所から指示をし、私の指導をする。

 それなのに、私のほんの少しのミスにも気付き、私が少しでも手を抜こうものなら、すぐにバレる。無意識のうちにやっていてもバレる。


 それはどう考えても、ただ目で見ているだけで分かるようなものではない。あの位置から私の少しの魔力の乱れを感知していないと、できないのではないだろうか。


 自然の魔力の大きな乱れならまだしも、たかが1歳児の魔力量。そのちょっとした魔力の乱れを感知なんて、普通できるものなのだろうか……? 少なくとも、今の私にはできない。触っていたらある程度はできるかもしれないが、それでも大きな乱れしか感知できないだろう。離れた位置からなんて、到底無理だ。


「……そろそろ昼食ね。休憩しましょうか」


 やっと終わった。あまりの疲れに、地面の上だろうとお構いなしに寝転がった。汚れてもいいような服で練習しているため、汚しても怒られない。

 ——ああ、空が青いなあ。


「お嬢様。こちらのお召し物にお着替えを」


「……ん」


 まだゴロゴロしていたかったのに、メイドがそう声をかけてきた。


 ……なんだろう。疲れて学校から家に帰ってきて、制服でゴロゴロしていたら「着替えなさい!」と親に怒られた時を思い出した。当時の私は、親相手であれば「うるさい!」と言っていただろうな。


「あの、お体は大丈夫ですか?」


「だいじょーぶ」


 彼女はルーシーの代わりに臨時で私の世話をしているメイド……なのだが、本来はお母様にお付きのメイドだ。彼女が戻ってくるまでは信頼できる自分のメイドにのみ担当させるようだ。


 ……そしてまあ、このようにお母様のメイドも心配するレベルの練習だ。明らかに1歳児がする練習量を超えているだろう。

 お母様がここまで本気でやるとは思っていなかった。だが、これからのことを考えればこのくらいの練習は必要なのかもしれない。だから、私はお母様に不満を持ったことはない。


「……行こうか」


「はい、お嬢様」


 私はサラ・スペンサー。スペンサー公爵家の長女。


 そのことを感じながら、足を進めた。

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