表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/52

16話 魔法の取り扱い

「はー……」


 1週間が経過した。あの感覚を元に、魔力を感じようとする。だが、全く分からない。この初期の段階でここまでかかるとは思っていなかった。


「あら。もしかして挑戦しておられるのですか?」


 そう話しかけてきたのは、あの時のメイドだ。1人で苦戦している私を見て、少し笑っていた。


「成長とともに魔力は増えていきますからね。1歳の魔力量では難しいのでしょう。自力で魔力を感じることができたとして、早くても3歳くらいですからね……」


 それを1歳から挑戦しようとする私。誰がどう考えても、無謀だ。

 しかも、魔力は成長とともに増える。つまり、今のままでは魔力はかなり少ないということ。1年の間に、大人を相手にできる魔力を手に入れるなんて、更に無謀だ。


「その上、3歳までに自力で魔力を感じる場合——その殆どが、魔力の暴走なんですよ。魔力が多いと子どもでは制御しきれなくなり、感情の起伏でも暴走しやすいのです」


 そういったこともあって3歳児には魔力の扱いは難しく、魔法を勉強するには早すぎるという結論に至った。そして、魔法の勉強の開始時期は基本的に5歳からとなっている。義務付けているわけではないが、これが一般的だ。


 ……そういえば、魔力の暴走、といえば私の弟だ。ダグラスではなく、もう1人の弟。まだ生まれてきてはいないが、1年後に生まれる。

 彼は魔力量が常人よりも多く、扱いにも長けた天才。魔力が常人よりも多いが故に、幼少期は魔力の暴走に悩まされていたという。彼の扱いには要注意だ。


「……失礼しました。お嬢様に暗い話をしてしまいました。だから、本当はお嬢様も魔法を知らない方が……良いのでしょう」


「なら、どーちて(どうして)おせーてくえたの(教えてくれたの)?」


 真っ先に思い付いた疑問を投げかけた。

 我ながら、生まれ変わってからは1番上手く言えたような気がした。


「天才のお嬢様ならそんな心配もないし、教えるべきだと……そんな気がするんです」


 天才とは大袈裟な……と思ってしまうが、それは私の精神年齢が23歳だから。肉体年齢は1歳。中と外の年齢が違うから、周りからすれば天才になるだろう。


「……って、お嬢様。今、結構はっきりと喋られませんでしたか? 『どうして教えてくれたの?』と」


 彼女の表情に私は何故か焦りを覚えた。そんな必要はどこにもないはずなのだが、「やってしまった」という感じがした。


「やはり……私の想像以上でした。先に言っておくべきでしたね。どこまで私の言葉を理解されていらっしゃるかは分かりませんが、他の人の前ではそのようなことはなさらないでください。旦那様達も含め、です」


 あまりにも真剣な眼差しに、私は何も言えなかった。私から訊くこともできず、かと言って彼女から理由を語ることもない。気付けばいつも通りの彼女に戻っていた。


 ——流石にもう、“今まで通り”は駄目らしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ