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呪絶  作者: 真冬猫
6/6

6話 「スリーパー効果」

6話


暗号の一部の「殺される」という部分を解読した俺はそれを七海に伝えるかどうかで判断がつきかねていた。

ただでさえいっぱいいっぱいなあの子にこれ以上負担をかけるのはどうなのか。


そう考えている最中、七海からLINEが来た。

(「あした、放課後に学校で話せませんか?」)


もちろん俺は一つ返事で了解と伝える。



〜翌日の放課後〜

「そら先輩、来てくれてありがとうございます。」

「はいよ〜。でさLINEじゃダメだったん?」

「現代社会の技術であれば簡単にLINE内のトーク内容は探ることができます。安全性に欠けていると思いまして、呼ばせてもらいました!」


盲点だった。注意力の欠落は情報戦において大失態になる。


「ごめん。俺ももっと気をつけなきゃな。それでしたかった話って?」

「昨日の暗号についてなのですが私なりに一部解読できたんですがあれ周期表の原子番号に対応するローマ字を当てたものだったんですね。」


七海も解けていたのか。まぁそりゃ俺に次いで予選2位通過だし閃きが得意でもおかしい事は何一つないな。でもこっちから話すかどうかを考える必要は無くなった。安心。


「殺される。だろ?」

「はい。先輩もやっぱできていたのですね!」

「そうだね。でも暗号の頭のP9ってのがわからない。」

「私もです。しかし〇〇に殺されると読むのであれば大変なことです。陸はその殺人犯に捕らえられてしまったと考えることもできてしまいます。その時、七恵が同伴していたなら一緒に連れて行かれてしまったかもしれませんし。殺されると書いている地点でもう生きていないかもしれませんし。」

「七海。兄弟がどうなっているかわからないけど生きていないかもって考えるのはやめないと。じゃないと七海が頑張れる所以がなくなっちゃうだろ。」

「はい!そうでしたね。とりあえず今はP9の暗号解読が優先ですね。あとはお父さんとお母さんに伝えておきますね。お父さんもいろいろ情報を掴むのに頑張ってくれてますから共有はしたほうが心強いですし。」

「いや、まて。それはやめた方がいいよ。」

「どうしてですか?」

「情報の共有は本当に信頼できる人しかしちゃいけない。お父さんから警察関係者とかに漏れたら厄介になるだろうな。いかに信頼できる仲間だけでチームを組めるかが鍵となってくる。」

「な、なるほど...」

「あと七海、毎日のように来るって言ってた電話のなった回数を記録して言って欲しい。何か掴めるかもしれないし規則性があるかもしれないからね。」

「わかりました。」

「一旦学校から出てファミレスでも行こっか!」


教室での会議を終えお互いがそれぞれの教室で帰宅の準備をし、下駄箱で合流した。


「では行きましょう!」


この時間でもまだそこそこ人がおりその人たちからの視線を凄く感じた。

こんなに可愛い子の隣を俺が歩いてたら違和感でしかないし無理もないけど。


「なんかすごい視線感じますね。私あんまり男の人が得意じゃないんですよね。無意識のうちに男の人が近づけないようなオーラ出てるって友達にも言われましたし。それでも先輩は不思議と容易に話せるんですよ!滅多に男の人と接触しないので周りの人が見たら驚いているのかもしれませんね。」


いやいや、普通に顔面偏差値の差だろこれ。


そんな会話をしているうちに校門の前に差し掛かった。


その時。見知らぬ女の人から七海が声をかけられた。みた感じだと大学生なのか、まだ高校生でも通じるくらいの顔立ちである。


「ねぇ、ちょっといいかな?あなたが七海さん?」


困惑した顔で七海が応える。


「え、ええ。そうですけど貴方は?」

「私は南高校の生徒会のものですが。この前この高校で行われたクイズ大会で起きた事件について調査しに来たのですが。」


俺は一歩下がり話だけを簡単に聞くようにした。ってかこの人高校生か。


「ちなみにそちらの方は?」


見知らぬ人は七海に俺のことを尋ねた。


「ええと、彼もク...」


と、途中まで言いかけたところで俺は七海の肩に手を置き発言者を俺にシフトさせた。


「いえ、俺はただの同級生ですよ。」

「そうですか。七海さん。この後時間あったりしますか?」

「ええ、まぁ特に予定はないので良いですけど。」

「ありがとうございます。では同級生のえぇ...」

「あ、俺は武田です。」

「武田さんですか。申し訳ないですが彼女をお借りしてもよろしいですか?」

「良いですけど七海と5分だけ話して良いですか?大事な話の途中だったので。」

「分かりました。」


俺は七海を連れ2人だけで話せる機会を設けた。


「あの。どうして同級生の武田なんて嘘をついたんですか?」

「なぁ。あの女、明らかに不自然な点なかった?」

「いえ。特に?何も感じなかったですよ?」

「まず他校の生徒が俺らの高校で起きた事件を調査するって言ってる時点で不自然だよ。それにさ。あの女言ってたよな?「あなたが七海さんですか?」って。なぜ同じクイズ大会に出た俺の顔は知らないのに七海のことは顔だけで分かったのか。七海はあの人の顔も存在も知らないんだろ?」

「確かに言われてみれば不自然です!良くそんなことに気づきましたね。さすがです。」

「いや。まぁなんらかの理由で接点があるって可能性が無いわけじゃないからなんとも言えないんだけどね!」

「そうですね。それで私と2人きりで会話させようとしたのはこのことを話すためですか?」

「いや。まぁそれもそうなんだけど。あの人と会話する上で頼みがある。今から言う3つのことをお願いしたい。任されてくれるか?」

「わかりました。なんでしょう?」

「ありがとう!まず一つ目、何があっても俺が高崎天であることを話さないでほしい。あの人が高崎天という人物を知っている可能性は十分にある。それは俺と別の人物という程で話してほしい。またもし仮に高崎天という人物に探りを入れられてもあまり話さないでほしい。そして二つ目。今度はこっちからあの人のことを探る。さっきは一方的に俺らの名前とか情報とか引き出されたしな。なのに俺らはまだあの人の名前すら知らないし。少しでも多くの情報を引き出せるように頑張ってほしい。そして3つ目。自然な流れであの人との通信手段を手に入れて欲しい。なるべく仲良くなってラインとか交換できればベスト!!通信手段さえ手に入れればこっちのもんだろ。七海お得意のハッキングだよ。」

「なるほど。守りつつ攻めるってことですね。わかりました。頑張ります。上手くできたらアイス買ってくださいね。」

「おっけい!約束するよ。めっちゃ大変だと思うけど頑張って!信頼してる。」

「では私行ってきますね。」


私はそら先輩と別れを、南校の生徒会という人と話すために駅近くのカフェに直行することになった。


「すみませんね。急に対談するような形になってしまって。夕食代出しますね。」

「いいえ。悪いですよ。自分で出しますよ?」

「気にしないでください!私も是非あなたと話してみたかったので!」

「で、ではお言葉に甘えさせていただきます。あの。お名前伺ってもよろしいですか?」

「そういえばさっきは自己紹介していませんでしたね。私は南高校の生徒会の高崎美彩(たかさきみさ)と言うものです。」

「高崎、?さんですか。」

「ええ。その反応から察するに知人に似た名前の人が居たりするんですか。」

「いや、えっと。そんなこと無いですけど。」


そら先輩に俺のことを話すなと言われて警戒をしていた最中、高崎の苗字が出てきて困惑した。


「そうですか。そういえば本来の目的を忘れていました。クイズ大会であったという事件について聞かせていただけますか。」

「良いですけど。なぜ他校の貴方が私の高校で起きた事件のことを知りたがるんですか?」

「私の高校もクイズ大会が今年から開催されるんですよ。もしかしたら貴方の高校で起きたようなことが起きるかもしれません。そこで対策を徹底していれば大事になる前に防げるかもしれません。」


美彩さんの高校でもクイズ大会やるのか。たしかに同じように出場者を狙った犯行があるのは警戒しないといけないね。


「実は私はその大会に出る予定なんですが...」

「凄いじゃないですか!」

「ありがとうございます。でも私今更なんですがその大会に出場するのを棄権しようと思うんです。」


せっかく大舞台に出れるのにどんな理由があるのだろうを


「どうしてか聞いてもよろしいですか?」

「私。その。学校でいじめを受けていて...裏でこっ酷く悪口を言われたり、物隠されたりしていまして...ないとは思いますが貴方の高校であのような出来事があってつい私の身にも起きるような気がして怖くて。

すみません。初対面なのに一方的に私事を話してしまって。」

「その...辛かったですよね。頼れる人が居なかったり裏で悪口言われたりと。」


私は長いこと入院していたこともありいじめられる経験は無かったけど相談されることもまた無かったからこういう時なんと声を掛ければ良いのかわからない。でもきっとそら先輩ならこういうはずだ。


「あの!少しでも言葉を吐けば気も楽になるかもしれません。私で良かったらいつでも話聞きますから。上手く相談できるかは分かりませんがあなたの力になりたいです。」

「本当ですか!?とても嬉しいです。1人でも味方で居てくれること、それだけで私は幸せです。」


そら先輩は彼女のことを警戒しろと言っていたがどうやらその心配はなさそう。


「やはりなんと言おうと七海さんの分もご飯代出しますよ!優しくしてくれる貴方への恩です!ほらこのとかパフェ絶対美味しいですよ!」


お腹空いてた。嬉しい。やったぁ。という気持ちでいっぱいになった。こういう時は私自身満足できるように遠慮しないのが正解なのかな?だったら...


「私はこのチョコバナナパフェがいいです!」

「はーい!私はショートケーキパフェにしましょう!」



「お待たせしました。チョコバナナパフェとショートケーキパフェでございます。ご注文は以上でよろしいですか?」

「「はい!」」


「すごくお腹減っていたのでとても幸せです!ここ来てみたかったんですがなかなか行く機会もなくて。」

「それは良かったです!私と喜んでもらえて嬉しいです。ケータイでパフェを写真撮りますね。」


私も流れで写真撮ろっかな。


「大変です!充電切れてしまいました。せっかくの時に記念の写真が取れなくてとても悲しいです。」

「美彩さん。私が二つとも写真撮りますよ!あとで送りますから。なのでLINE交換したいんですが...」

「いいんですけど充電切れちゃってて。メールアドレスとか教えていただいてもよろしいですか?家に帰ったらやりとりしてLINEも追加できると思うので!」

「はい!じゃあ今から書きますね。



はいどうぞ!」

「どうも!じゃあ家に帰ったらメール送ります!」


そんなこんなでパフェを頂いて解散することになった。


「七海さん。ありがとうございます。是非またご一緒しましょうね!」

「はーい!ではさよなら」


もともと友達があまりいない私からしたらこう頼ってくれるというのはどうしても嬉しくなってしまう。


あ、そうだ。そら先輩に電話しなきゃ。

特にそら先輩のことを探り入れてきた事もなかったし仲良くなって連絡もできるようになったことを伝える。


「もしもし、そら先輩おつです!」

「お疲れ様!どうなった?」

「あの人がクイズ大会の事を調査したいって言ってたのはあの人が学校でまぁいろいろあってあの人も高校でクイズ大会があるので怖くなって私に聞きに来たそうです。あの人あっちの高校で話せる人が居なくて私がいつでも相談乗りますよって言ったらとても喜んでくれて仲良くなりました。あと特に先輩のことを探ったりって言うのは無かったですね。あ、かろうじていえばあの人の苗字も高崎だそうです!高崎美彩さんって言ってました。」

「仲良くなれたんだね。それは良かった。それで連絡先は交換したの?」

「はい!まぁ。あの人ケータイの充電切れていたのでとりあえずメアド書いて渡しました。そしてあとでLINEを追加することになりました。」


..................


やばい、かも知れない。俺が想定する一番最悪なシナリオが展開されるかも知れない。






「...はい..........はい.........ええ、無事あの子のメールアドレスを手に入れました。」

「良くやった。探りを続けて。」

「了解。」


6話 完



次回、お楽しみに

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