何故村人がレベルを上げるのだろう?
どうも村人のジーンと申します。
この話の舞台は魔王が討伐された後の世界であります。
その世界で僕は、何故か危険を冒してモンスターを倒してレベル上げをしないといけなくなりました。
今日の相手はオオアメンボです。
浅瀬ではありますが、水辺で戦わねばならないので、正直戦いにくいったらありません。
「ジーン!!右から敵来てるよ!!剣を構えて!!」
おっと、私の妻からの指示が来ました。戦いに集中しないと。
僕は剣を振り上げ、オオアメンボに振り下ろす・・・と見せ掛けて、剣で横一線の一撃。
"ザァン!!"
もうオオアメンボとの戦闘は43回目なので、一撃で仕留めることが出来たけど、最初の頃は素早い動きに手間取りました。
「キャア♪流石は私のダーリン!!」
私の妻は敵を倒す度に賛辞の言葉を送るけど、彼女にとってはオママゴトを見てる様なもんだろうな、
何せ私の妻は魔王討伐に参加した、レベル100でステータスカンストした女格闘家なのですから。
さて、何故私が平和になった世界で、レベル上げなんかしないといけなくなったかを話さなければなりませんね。
あれは半年前のことです。
村人の僕は片田舎のバージという村で、田畑を耕しながら生計を立て、平凡な生活を送っていたのですが、魔王が倒されたと噂に聞いて、驚きと喜びに溢れました。
魔王が倒されたとなれば、幼馴染みで女格闘家であるミカが村に帰って来るからです。
まぁ、ミカからしてみれば、僕なんか遠い記憶の片隅にでも追いやってしまっていただろうと考えていた。でもそれは違ったんです。
「ジーン!!」
帰って来て僕を見るなり走り込んで来るミカ。露出の高い赤いビキニアーマーの上に、ミカの胸は豊満なので乳が左右にブルンブルン揺れて大変なことになっている、
魔王とは激しい戦いになったと聞いていたから、ケガでもしたんじゃないかと心配したけど、白くて雪のような肌には美しい傷一つ無い。元々あった腹筋は更に立派になってます。顔は目がパッチリして可愛く、ショートヘアーのよく似合う、僕からしたら王国の王女様より綺麗な女の子です。
「ミカ~!!」
僕は両手を広げてミカを向かい入れます。ですが抱き着かれた際に予想外のことが起きました。
「ミカ~!!私ずっとミカに会いたかったんだよ!!」
僕を抱き締めながら、僕の胸に顔を埋めて泣き始めました。こんなちっぽけな僕のことを想ってくれたなんて嬉しい限りです。それにしても熱烈的な抱擁だなぁ。
"ミシミシ"
ん?なんだこの音は?・・・あぁ、僕の骨が軋む音か。
"バキッ!!"
そしてコレが僕の骨が折れた音。とっても痛いし、意識が遠のく。
「ジーン?ジーン!!」
僕は意識を失ったまま三日間生死をさ迷いました。田舎なので僧侶様が来るのが遅れ、大変危なかったです。
僕が意識を失っている間、ミカは傍らでずっと祈ってくれてたらしい。そんなことまでされて好意に気付かない僕では無いし、僕はミカを愛していたので、うっかり僕を殺そうとしてしまった女の子に、僕は役者違いは承知で結婚を申し込んだ。
「う、嬉しい・・・世界が平和になった時よりよっぽど。」
彼女は少々オーバーに喜び、完全回復した僕を再び抱き締めた。勿論今度は加減してくれましたけどね。
魔王を倒した英雄の結婚に、ハージ村にしては盛大に結婚式が行われ、僕は友達から「逆玉野郎」とからかわれました。
白いウェディングドレス姿のミカはとても美しく、僕は天女と見違えました。
「とても・・・とても綺麗だよ。」
これはミカの花嫁姿を見た時に言った僕の言葉ですが、我ながらなんて凡庸なことしか言えないでしょうか?この時ばかりは自分の凡庸さが嫌になりました。
結婚式の最後のミカとの誓いのキスは、この世のものとは思えない至高な時間でありまして、その際に僕の中で色々なモノが湧き上がりました。僕だって男ですから。
盛大な結婚式が終わり、二次会、三次会を終えて、二人の新居に帰ると、もう辛抱堪らなくなって、ミカをベッドに誘いました。
彼女もまるで荒れ狂う獣のようになり、衣服を脱いで裸になり、間髪入れずに僕をベッドに押し倒して事を始めようとしたのですが、僕のパンツを下ろそうとした際にピタッと手が止まりました。
「ど、どうしたの?」
もしかして、僕のアレが小さいのが気に入らないのかな?だとしたら申し訳ないです。
ですが、彼女が躊躇ったのは違う理由でした。
「やっぱり駄目。どうしたって加減出来そうにない。このままジーンとエッチしたら・・・ジーンが死んじゃう。」
「えっ?どういうこと?」
意味が分からなくて僕がそう訪ねると、彼女は戸棚からスカ○ターを取り出し、それを右耳に装着して僕の戦闘力を計り始めました。
・・・ここに来て世界観が崩れそうです。しかし、裸エプロンは聞いたことがありますが、裸ス○ウターとはマニアックにも程があります。でも嫌いじゃ無い。
暫くして、彼女は落胆の顔で俯きました。
「やっぱり駄目・・・ジーンはレベル2のゴミ。」
ひ、酷い言われようですか、生まれてこの方農業しかしてなかったワケですから、レベル2で当然でしょうね。
「私はレベル100でステータスもカンストしてるの。そんな私が激しく動いたらジーンなんか30秒と待たずにミンチ肉になっちゃうよ。」
怖い!!急に新妻が怖いこと言い始めた!!でも、性欲が高まるだけ高まっているので、僕もここで引き下がるワケにはいきませんでした。
「な、なんとかなるよ!!創意工夫でさ!!」
「無理よ!!アナタを殺しちゃいそうになった時も、赤ちゃんを抱くぐらいの手加減したのに、あんな大惨事になったのよ!!エッチになったら私手加減出来ないもん!!」
そ、そうだったのかぁ、赤子扱いで死にかけるとか、僕が貧弱なのか、ミカが屈強過ぎるのか、よく分からなくなってきました。
このままではセックス出来ない。目の前に最高の肉体があるのに抱けないなんて、こんな苦行がありますか?
「一つだけ手があるわ。」
「あるの!?あるなら僕やるよ!!」
ロクに話を聞く前に即決で決めた僕でしたが、ミカは険しい顔をしています。
「辛く険しい道程になるわよ。それでも耐えられる?」
「うん!!僕やるよ!!それで君とやる!!!!」
僕はどんな苦しいことにも耐える覚悟はありました。ですが、次の日にミカから剣と盾を手渡された時、なんだか背筋が凍りました。
「これは一体?」
僕は不安いっぱいな顔をミカに向けると、彼女はニッコリ笑ってこう言いました。
「レベル上げよ♪100まで♪」
・・・その時、僕は苦虫を噛み潰した顔をしていたと思います。ですが異論も反論もせずに「分かった」と一言だけ呟くように言いました。
僕はミカとセックスする為に強くなることを誓ったのです。
それから辛く厳しいレベル上げの作業が始まりました。最初の内はスライムにも殺されそうになりましたが、なんとか剣の扱いにも馴れて、モンスター達とも戦える様になってきました。
村の近所から、時には遠征もしてレベルを上げる毎日です。
ちなみに僕が戦っている最中、ミカは戦いを見て僕を応援するだけで、決して手伝ってはくれません。なんでも少しでも戦闘を手伝うと経験値が振り分けられて、一人に入る分の経験値が少なくなるらしいのです。それでもミカが敵を瞬殺すれば、そちらの方が早くレベルが上げられるんじゃないか?と僕は進言したのですが「弱い者いじめは嫌なの!!」と怒鳴られてしまい、それ以上は何も言えませんでした。
そんなこんなで今に至るわけですが、ようやくオオアメンボを全て倒し終えました。ふぅ、100匹も倒すと流石に達成感があります。
「やったね♪ジーン♪お祝いにキスしよう♪」
彼女はそう言って僕に熱い口付けをするのですが、僕としてはキスよりレベルアップしたことをしたいのです。
「ね、ねぇ、ミカ。そろそろレベルも上がったんじゃ無いかな?」
「そうね、じゃあスカ○ターで見てみるね。」
もうお馴染みになったス○ウターで僕のレベルを見るミカ。さて僕のレベルはどれだけ上がったかな?
「おっ!!レベル26だ。頑張ったねジーン♪」
「と、ということは!?」
僕は期待に胸を膨らませましたが、ミカは笑顔でこう言いました。
「うんクソ。これでエッチしたらジーンのチンチン千切れちゃうよ。」
・・・はーい、レベル上げ頑張りまーす。