虹をみた
僕らは部屋にいた。窓がついてて、ドアもある。壁紙は白色で、ピアノとギターが置いてある。
僕が目が覚めてから、世界が青く染まった。まるで僕を待っていたかのように。空には虹が出て、太陽が燦々と輝いて、光が痛かった。
目覚めた僕には、その世界が眩しかったけど、ひとつだけ見えたものがいた。
「」
それから声が聞こえた。でもその問いには答えられない。だけどもなにも言わないのは少し可哀想だったので、眩しさを堪えながら話しかける。
「こんにちは」
「こんにちは。でも今はまだおはようかも」
壁にかかっている時計は9時半を指していて、それに気がついた僕は少し恥ずかしくなって話を逸らした。
「君は窓の向こうがどうなっているか知ってるの?」
「知らない。でもこの窓は開けないように言われてる」
どこかでこんな光景を見た。どこだったかは思い出せないけれど。でもただのデジャブだと思って。
「窓を開けるとどうなるの?」
「さあ?それは聞いていないんだよ」
「さっきから言われてるとか聞いてないとか誰に?」
「君にさ」
「僕?」
僕は思い出した。この光景を。夢で見たんだ。デジャブではない。ハッキリと思い出した。その夢によると、この後...
ドーンという音が鳴った。遠くで。夢で見た通りだ。ならば。
「このドアは開けていい?」
「いいけど...そのドアはどこにも繋がってないよ」
「早くこの部屋から出ないといけない。君もついてきて」
「ダメだよ。僕はこの部屋にいないといけない」
「みんなに伝えに行くんだ」
「みんなって誰?どこに伝えに行くの?どうやって?」
「この星に住むすべての人に、タイムマシンに乗ってこうなる前に伝えに行くんだよ」
少しユウウツだったけれど、彼と一緒ならば怖くない。
ドーンと近くで聞こえた。時間が迫っている。
「そのタイムマシンはどこにあるの?」
「わからない。でも夢で見たんだ。ドアの先にタイムマシンはあるんだ」
「そうなんだ。じゃあついて行くよ」
「ありがとう」
僕らはドアを開けた。
タイムマシンは壊れてた。