小学生編 1話「運命の朝①」
チュンチュンチュン。
少しだけ空いている窓から、小鳥のさえずりが聞こえる。
「…もう朝なのか。」
小さな声でベッドに寝ていた少年が囁くように呟いた。
彼の名は藤原聡。浅野町に住む小学生ーと言っても今日からなのだがーだ。部屋には太陽の光が入り込んでおり、僅かではあるが明るい。
聡はその光を頼りに机へと手を伸ばす。手で掴んだのは一枚の写真立て。その中には、紫の服にオレンジの羽織り、黄緑のグローブに緑のズボンを履いている茶髪の少年と、ピンクの服に水色のスカートを履いている金髪の少女の写真が収められていた。聡自身、この少女の名前や住んでいる場所は分かっていない。だが、一つだけ言えることがあった。それは、この写真をとった場所が現実ではないと言うことだった。何故なら…
「聡ー、御飯が出来たわよー!」
下から聞こえた声に遮られ、考えるのをやめた。考えても何も始まらないことを知っていたからだ。
聡は考えるのをやめて、下に降りていった。
ここで、先程の続きを話しましょう。あ、どうも。ナレーションっぽいことを担当しているものです。ショウとでも名乗っておきましょう。私の名前はさておき、本題に入ります。彼が何故あの写真が現実のものではないことを知っているのか。それは、『写真に写っている少年が、聡が描いた絵の服装そのもののキャラ』であるからです。【そんなの、確証があるわけではない。】そう思っていませんか?ですが、ここは〈そういう世界〉なのです。
これから始まる物語は、一人の少年がとある因果で愛されてしまった、しかもそれは人ではなく異世界に。さてさて、これからどうなることやら。
「じゃ、行ってきます。気を付けてね、父上、母上。」
「「行ってらっしゃい。」」
学校へ向かって歩き出す。桜は花をこれでもかというほど開き、梅の木にはウグイスが止まっている。
「いよいよだ。」
初めての出逢いが訪れるこの春に、少年の運命は大きく動き出す。
きっかけは、小学校では当たり前に行われる、自己紹介の出来事だった。
どうも、妹紅聡です。
一旦妹紅聡の覚醒物語から離れ、同時進行ではありますがこちらを投稿していこうと思います。