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第三章 村の中にて(記憶喪失編)

「ごごでず」



森を歩くこと十分。連れてこられたのは、特筆して何も言うことはない……通りすがりに山ほどみた景色の場所であった。木、木、木。一体ここが他とどう違うのだろう。敢えて言うならラフレシアっぽい花がある。不気味だ。

ここが村なのだろうか。もしかして、俺に見えてないだけでゴブリンたちには見えているというのか? 邪悪なものには見えない云々な感じのよくあるアレである。

懐疑的な視線をリーダーに送ると、彼は俺の視線には気付かないまま、懐から鍵のようなものを取り出した。そして、無造作にぽいっとラフレシアに投げ込んだ。

え。

花はもぐもぐと咀嚼すると、ぺいっとワープホールを吐き出した。

そんな馬鹿な。



「行ぎまじょう」



愕然としながら、数秒置いて足早に彼らの後を追った。

いや、ビビるわ。それじゃ見つけられないわけだな。ラフレシアさんは、門番なのかな。

ダンジョンから出た時もそうだったが、ワープホールに入ると瞬間的に景色が切り替わる。ラグがないのだ。空気の匂いすら変わるので、どうにも慣れない。水温合わせをせずに水槽にぶちこまれた魚の気分である。

それにしても。



「すげえ」



純粋にすげえ。なんだよ村って。村というか、秘境というか、花園というか。

植物園に花をマシマシで飾ったらこんな感じになるかも。

空気は森の香りから、瞬間的に花の香りへと変わっていた。何だか蜂が居そう。



「ようごぞ、妖精の住まう村、ディルナノーグへ」



ティルナノーグかな。妖精の住まう村と来たか。

妖精ね。

ゴブリンたちはやはり自分のことを妖精だと認識しているようだった。いや、確かに妖精なんだけどさ。

妖精郷らしく、そこらじゅうにケセランパサラン的なものが浮いている。触ろうとしたら消えた。やばい、運勢がマイナスになったりとかしないかな。



「長老の家へご案内じまず」



当初の目的通り、長老の住まいに案内された。長老の住まいは木の上のログハウスだった。何だか秘密基地のようだった。

というか、長老これ上り下りは大丈夫なのだろうか。



「お伺いを立ででぐるのでごごで待っでいで下ざい」



ぺこりとお辞儀をするリーダー。手をひらひら振って了承する。他のゴブリンたちもついていってしまったので、待っている間手持ちぶさたである。

どうするか考えていると、ローブの袖を引かれた。



「ねえ、あなた、人間?」



先ほどのレオタード妖精だった。

暇は持て余さずに済みそうだった。

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