表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/3

第二章 村へ(記憶喪失編)

「は?」



今日何度出したかわからない素っ頓狂な声を、俺は再度出していた。

ワープホールをくぐった。俺の目の前には、生い茂る密林が広がっていた。ピィピィと謎の鳥の鳴き声が聞こえる。何やら不可思議なエキゾチックな花の香りがする。ギャップが凄い。先ほどまで石くれ作りのダンジョンに居たのだから、当然のギャップだ。

いや、そうではない。

外に出たのだ《・・・・・・》。

全く変化はなかった。

生きて帰ってきたことを喜ぶゴブリンたちを尻目に、俺は愕然としていた。ダンジョンから出ると、記憶は戻ってくるのではなかったのか。どういうことだこれは。



「どうがざれまじだが」



ノイズ混じりの聞き取りにくい声。ゴブリンリーダーのものだ。

……待て。苛つくんじゃない俺。情報が、何もないんだ。こいつらから聞き出すしかない。少しでも、少しでも情報が必要だ。



「なあ、忘却の罠でなくした記憶は、ダンジョンから出たら戻ってくるんだよな?」

「左様でず」

「実は忘却の罠で記憶をなくしてたんだけどさ、戻らないのはどういう場合かわかるか?」



ド直球で聞いてみた。駆け引きするような脳は持ち合わせてない。多分これでピンチになったら、そのときはきっとオート発動の魔法が何とかするのだろう。



「なら、忘却の罠以外の理由で記憶を失っでじまっでいるのでじょう」

「マジか」

「ぞもぞもあなだほど熟達じだ方にば忘却の罠ば効がないでじょう」



フィンも似たようなことを言っていたのを思い出す。魔法抵抗値とかで判定になるのかな。フィンのことを思い出し、背筋が寒くなる。ただ純粋な疑問が俺に突き刺さる。『どうして』と。どうして私を殺すのかと。そんなこと……俺が聞きたい。手が震える。俺は、ローブのポケットに手を突っ込んだ。



「俺は……一刻も早く記憶を取り戻さないといけないんだ。何か方法を知らないか?」

「……我らが長老ならご存じやもじれませぬな」



聞けば、彼らの村に長老が居るらしい。長命に加え、個人で諜報部隊を飼っており、そのせいで滅茶苦茶に物知りらしい。完璧にチートじゃん。

俺は長老に会わせて欲しいと頼んだ。身をかがめ彼らゴブリンに目線を合わせてお願いした。悲しいかな、これが俺の最大限の礼節である。

彼らは快く引き受けてくれた。何と優しいゴブリンなのだろう。リーダー以外のゴブリンも、俺が来るのが嬉しいだろう……喜びの舞を舞っている。多分。俺はゴブリンの今までのイメージを変えざるを得なかった。見た目は負け組だが彼らは確かに妖精だった。

なんかもう、この世界で醜悪なのって俺だけだな。



1000字でもいいから毎日更新ということで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ