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黒の零号〜最強の装殻者〜  作者: 凡仙狼のpeco
第5話:連続励起!? 暴走する零号!
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第13節:与えられた疑問

コウらがパイルを追っていると、ブレードスラスターが降り注いでコウとミカミは左右へと跳んだ。


「パイルはやらせないわよ!」

「よそ見は悪手……私としては良い」

「ふん、この程度……!」


 意識をこちらに振った為に、ラムダは劣勢に立たされるが。


「〈迅雷貫渦(ピアシングハプン)〉……ッ!」


 コウたちから距離を取ったパイルが、グレイヴを空中のリリスに向けて撃ち放ち、リリスを牽制した。


 それぞれの位置取りは、二手に分かれていた。

 リリス、ミカミ、コウの三方向でラムダとパイルを囲い、リリスの背後にはミツキ。

 崖近くには、崖の上に立つエータ、シープとベアードを相手取る参式と、マサト、そしてジン。


「……ラムダ」

「ちょっと、酷い損傷じゃない!」


 電磁浮遊でラムダの横に浮き上がったパイルが話しかけると、彼女は驚いた声を上げる。


「ミスった。でも、それは良い。……俺が、今から下の奴らを潰す。お前は、リリスのブレードスラスターを出来るだけ潰せ」

「どうするの?」

「逃げるんだよ。決まってんだろうが。……エータの野郎が何を考えてるのか知らねーが、俺らが付き合う必要はねぇ。作戦通り撤退だ」

「……厳しいわよ? 正直」


 ラムダの声に、パイルは笑い声を立てる。

 その間にもリリスは攻撃の手を緩めておらず、コウとミカミも彼らの隙を伺っていた。


 しかし、流石に手練れだ。

 話しながらも、不意を打たせてくれるような隙は見せなかった。


「なら、大人しくやられんのか?」

「そうね……それは、あり得ないわね」

「だろ。やるぜ」


 パイルが、宣言とともに雰囲気を変える。


「来るぞ! ミカミさん!」

「分かってますよぉ〜!」


 パイルは両腕を広げて、眼下のコウらを見下ろした。


出力解放(アビリティオーダー)!」

承認(レディ)


 彼の腹にある、フリードコントローラーが輝く。


「《轟水落天(スティールダイヴ)》……!」

限界機動開始(ブレイク・アップ)


 パイルが全身液化した装殻体にエネルギーの燐光を纏いながら、天より滑落を始めた。

 宙に大きく広がり、超加速状態のまま無数の螺旋水槍と化してコウたちを襲う。


出力解放(アビリティオーダー)ーーー限界機動開始(ブレイク・アップ)!」

要請承認(オールレディ)


 コウも、超加速しつつそれを迎え撃った。

 視界に迫る無数の水槍に向けて、拳を握り。


「《黒の迅雷(ライトニングアサルト)》ッ!」


 限界機動状態で、さらに加速する出力解放。

 雷光を纏う両手足で、体を貫く軌道の水槍を脇から叩いて散らしていく。


「おおおおおおッ!!」


 相手の手加減抜きの攻撃は、極超加速をもってしても速い。

 コウのラッシュに、途切れない水槍の攻撃。

 時間にすれば一瞬だが、コウにしてみれば脳の神経が焼き切れるほどの攻防の末に。


 コウは、それに打ち勝った。


限界機動解除(ブレイク・オーバー)


 宙に静止したように留まっていた歪んだ水槍が、パァン、と一斉に音を立てて弾ける。

 だが、それらは地面に落ちることなく少し離れた一点に収束し、パイルの姿を形作った。


 見ると、ミカミも多少の損傷はあるものの、どうにか致命傷は防ぎ切ったようだ。

 そして、リリスとラムダの攻防が始まる。


 お互いに飛ばしたブレードスラスターの損耗を厭わないラムダの相殺攻撃に、リリスが応じて消耗戦を行う。

 遠隔兵器の破壊された破片がバラバラと落ち来る中、これも生き残ったのはリリスの二条のブレードスラスター。


「う、あああああッ!」


 ラムダの全身を切り裂くブレードスラスターに、ラムダが浮遊から意識を離して落ちる。

 肩で息をしながらも、そのラムダを受け止めたパイルが、グレイヴを構えた。


「しくったぜ……まさか、あれを防ぎ切るとは、な……」


 驚きとも賞賛ともつかない声を上げるパイルに、コウは静かに答える。


「限界機動中の加速、は、理論上は可能だった。それなりに訓練はしたけどね」


 元々は、ジンの持つ技術だ。

 彼の奥の手だというそれは、扱いが難しい代わりに手にすれば強力無比な技術だ。


「これで終わりだ。……出力変更、崩撃形態(スマッシュスタイル)

変更(メイキング)


 破殻鎚砲(ハクゲキハンマー)を扱うスタイルに変化したコウが、砲身をパイルらに向けて構えた。


『コウくん! それはやり過ぎよ!』


 ケイカの静止に、応じたのはリリスだった。


「敵は潰せる時に潰しておく……とても大切な事」

『それで良いの!? あの人たちは、貴女の!』

「それを選んだのは、あの人たち自身」


 ミカミも、コウに顔を向けていた。


「コウくん……」

「一応訊いておくが」


 コウは、構えた鎚砲を動かさずに訊いた。


「投降する気はあるか?」

「……命の保証は?」

「パイル、ダメよ!」


 こちらもグレイヴを構えたまま、パイルが問い返すのに、腕の中で傷ついたラムダが身をよじる。


「あいつらは……憎むべき敵よ! 忘れたの!?」

「ルナ……」


 コウの耳に、ユナを守っているミツキのやるせなさそうな声が聞こえた。

 しかしそれが聞こえなかったのか、ラムダは絶叫する。




「あいつらは! 〝私たちの世界〟から私たちを奪ったのよ!?」



「私たちの世界……?」


 どういう意味だろうか、とコウは疑問を覚えた。


「皆がどうなったかも分からない! 襲来体母体(マザー)はきちんと滅したの!? 全部、全部黒の一号が! ただの人間のくせに0号の力を得ようとしたから起こった事じゃない!」

「ラムダ……」


「貴方だって、そう思ったから黒の一号を憎んだんでしょう!? 元の世界を見捨てたあいつらだって!」


 ラムダは、ミカミとリリスに指を突き付ける。

 二人は、押し黙っていた。


「そんな奴等の慈悲にすがるなんて、冗談じゃないわ!」


 ラムダの心からの叫びは、場に沈黙をもたらし。


 その直後。


 コウの背後で、白光が弾けた。

 

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