第4話 ボーナスのポイント 三
第四位階下位
次は魔法。
魔盾は既に試した、そのまま盾として使えるのならば魔法は当たりだろう。
まずは魔法の矢。
魔力盾同様、魔力を1/3程消費して魔法を使う事ができた。
透明な矢が真っ直ぐ進み、数十m先の木にタンッと軽快な音を鳴らして突き刺さり、消える。
木には矢の大きさで小さな穴が空いていた。
三回しか使えないがこれは間違いなく当たりだ。
続いて魔弾を使ってみた。
「?」
しかし、魔力は減らず魔法も発動しなかった、何か条件があるのか魔力が足りないのか。
分からない事だらけだ。
◇
魔法が使えないので他のボーナスを確認することにする。
残りのボーナスポイントは143。
とりあえず思考加速、再生、強運、の3つを取得した。
思考加速は、物事が急速に動いている時に無意識に発動するようだ。
精神状態が強く関係している。
再生の確認の為に尖った石を手の甲に突き刺そうとした時、急に手の動きが遅くなった。
思考加速の効果だろう。
石は手の甲に少しだけ食い込みーー
ーーばらばらに砕け散った。
……全能力上昇の効果だ。
痛撃耐性も発揮されているらしく、石が砕ける程の衝撃があった筈なのに痛みがなかった。
僅かについた傷も目に見える早さで治っていく。便利だ。
強運の効果はわからないが、取っておいて損はないはず。
次は収納。
たたんでおいた制服の上着を持って、収納、と念じてみた。
……成功。
制服の上着は、パッと音もなく消滅した。
制服のズボンを持って、仕舞う、と念じてみる。
……成功。
靴下や下着を持って、回収、と念じてみた。
……成功。
どうやら、とにかく仕舞おうと思えば良いらしい。
続けて、取り出すのにも挑戦したところ、何の問題もなく取り出せた。
武器や防具のボーナスと同じような出現の仕方、自由度が高くて扱い安い。
収納は当たりだろう。
その後に試した転移は何故か使用出来なかった。
◇
次は詳細地図を取得した。
地図が出てくるような様子はない。
地図を見たい、と念じてみる。
すると、突然、頭の中に情報が入ってきた。
それは立体図の様になっている。
周辺は広大な森。
北には海があり小さな島がいくつか点在している。
西と南には山があり、東には山と渓谷があった。
地図を良く見てみるといくつか黒い点があるのに気付いた。
全部で3つある、何だろうか?
迷宮【飛竜連峰】
迷宮【太古の迷宮】
迷宮【黄泉の入り口】
考えると出てくる。便利仕様にも慣れてきたな。
更に詳細が見たいと念じたら簡単な情報が出てきた。
迷宮とは迷宮核を有する魔物の巣窟の呼称で、その中にはたくさんの魔物が生息している。
数が減れば迷宮核が補充し、長い時をかけて地下深くまで成長していく。それは迷宮核が失われるまで続くらしい。
飛竜連峰は、主な魔物がワイバーン。
ワイバーンは翼がある巨大な蜥蜴のような生き物らしい。
ボスがイグニスワイバーン、見た目は赤くて大きいワイバーン。というか完全に竜。
太古の迷宮は、主な魔物がハグトス、イグロノ。
ハグトスは恐竜のような見た目でイグロノは平たい蜥蜴らしい。
ボスはグラノドス。見た目は大きい恐竜。
黄泉の入り口は、主な魔物がゾンビ、スケルトン、ゴースト。
この三種類は生物の死骸と半透明な何か。
ボスがエルダーリッチ、人骨の魔物で、たくさんの宝飾品を身に付けている。
近づかない様にしよう。
これらと同じような生物が他にもいたら困る、表示されたりしないだろうか?
具体的には生身の俺だと勝てないくらい強い生物が。
と、念じたら、地図が赤い光点で埋め尽くされた、生身だと全く勝てないらしい。
猛獣だらけの危険地帯だな。
続いて、防具と剣を持った状態で勝てない相手。で調べた所、地図を埋め尽くしていた赤い光点がいくつかの濃い赤を残しゆっくりと消えて行く。
「ん?」
ゆっくりと消えていくなか、自分がいると思われる地図の中央、そのすぐ近くで、五つの光点が消えるのが見えた。




