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桜色の盾  作者: 白兎 龍
第一章 魔境
23/59

第22話 太古の迷宮《一層:草原~荒野》

第四位階上位

 



 跳ねるハグトスを止めて思っていた事を実行してみる。


 クイーンや女帝の時は、どんな作用が働くのか分からなかったから出来なかったが、このハグトスは現状俺の所有物という事になっている。


 つまり、万一爆散しても俺の良心が痛むだけで済むと言う事だ。


 という訳でやってみようと思う、BPの分配(・・・・・)を。



「キュ?」

「……死ぬなよ」

「キュ!?」



 先ずは見れるかどうか。


 読み取れる情報からBPの部分だけに集中する…………見えない。


 桜色の瞳に魔力を込めていく……少しずつ……少しずつ.....…見えたっ!


 読み取れる情報は……少ない、のか?


 取得出来るスキルがかなり少ない。

 治癒力向上に思考明瞭、魔法や装備召喚に至ってはそもそも無い。経験値はある、ジョブもある。


 必要経験値減少にBPを振る……振れない? ……いや、僅かずつだが動いている。


 瞳にさらに魔力を込める、すると、緩慢だったBPの動きが急にスムーズになった。


 取りあえず必要経験値4分の1まで振って後の2Pは残しておく。



「キュ~ゥ~~」



 どうやら爆散はしないらしい。

 何かしら不具合がある様にも見えない、むしろ気持ち良さそうだ。


 これなら、薔薇娘や蜂達のBPも分配して良いだろう。

 ……再分配できるかも試しておくか。


 分配時同様瞳に魔力を込める、BPを動かしてみようと試みるが動きそうで動かない、力不足だろうか?


 俺以外のBP分配は慎重に行った方が良いだろう。




 では、狩りを再開しよう。




 残り七匹のハグトスの群は近い所にいた。


 その群は、俺達をみるなり襲い掛かってきた。

 動き方から見て此方を包囲する形、同族も何も関係ないらしい。確実に狩るという気合いを感じる。


 対して此方は、俺はともかく相棒はキューキューと怯えている。


 全てのハグトスの足を狙って魔力矢を射つ。

 当然の様に命中し、全てのハグトスの足が吹き飛んだ。



「キュア!?」

「後はお前が殺れ」

「キュ!!??」



 突然の事態に驚愕を隠せない様子の相棒に処理を任せる。


 おっかなびっくりと倒れるハグトスに近付き、首に噛み付いた。

 反撃されても困るので、胴体を踏みつけて動きを封じておく。


 幼蜥蜴は、牙がまだ未熟なのか、突き立てるのに苦労している。





 ……ようやく終わったか。

 体感ではざっと一時間、一匹狩るのに10分は掛かっている。

 動けない獲物の弱点に攻撃して、だ。


 やはり幼蜥蜴。成体の蜥蜴の半分くらいの大きさしかないそれはあらゆる面で未熟だ。


 今は顎が疲れたようで、血に染まる赤い涎をダラダラと垂らしながら、今にも眠りそうである。


 そもそも今は月が空に輝く時間、子供は寝る時間だ。

 幸いな事に、この草原にはもう脅威となる魔物はいない、寝させても良いだろう。


 俺はそっとチビハグトスの頭を撫でた。



「良くやったな、おやすみ」

「キュクゥ.....ゥ.....」



 起き出す前に名前を考えてやろうか。



ハグトス LV3

US

『■■の■■』

HS

『精神拡張』

LS

『治癒力向上』『魔力調節』『直感』


〈魔物LV4〉♀0

2ジョブ〈蜥蜴LV4〉


変更可能ジョブ


BP2




 小さな蜥蜴だから、リトルリザード、リリにしよう。



 改めて地図の確認だ。

 敵は俺にとって弱くても、リリにとっては強敵という場合は多いだろう。

 ……この表記が数値なら判りやすいんだが。


 と、考えたら、地図の光点が変化した。


 敵は赤い光点の中に1~3の数字が、リリは青い光点の中に2が、俺は白い光点の中に4が入っている。


 最初に地図に最も判りやすい表記を、と頼んでいたらこうなっていたのだろう。


 ……かなり後悔した。


 俺はそこそこ強い自信があるから、当然数値が高い方が強い筈だ。


 ともあれ、太古の迷宮一層で俺の敵になりそうな者はいない、と言う事がわかった。





 取りあえず、一層でリリのレベル上げを行って、強くしていくべきだろう。


 効率が良さそうなのは荒野と森か。

 岩場は数が少ないが殆どが3、沼地は数がやたらと多いが殆どが1。

 恐らく沼地の1は鼠と似たような魔物では無い物だろう。



 ーー次に行くのは荒野で決定だな。





 リリは朝になっても起きなかったので、頭にのせて進むことにした。

 大きさは蜂より大きいが、のせられない事もない。


 不安定な場所でも起きない辺り、大した睡眠力である。


 俺は何故か眠気が来なかったので、一晩中起きて、自分の魔力をいじっていた。



 魔法を構築する際、ボーナス魔法はある程度瞬間的に発動させる事が出来る。

 これは、もう少ししっかりと練習すれば、色々と改良出来そうだ。


 対して、ジョブの魔法はよく見てみると使用時に魔方陣の様な物が浮かび上がった。

 詠唱+魔法陣で発動するようだ。

 非常に隙が大きく、対人戦には向かないだろう。


 思考詠唱を取得した状態だと詠唱の必要がない。

 無詠唱を取得した状態だと透明な魔法陣が出るだけ。


 現段階で戦闘に利用出来るのは、ボーナス魔法だけだ。


 他に何か無いものか、と考え視線を下げると、靴が目に入った。



「あぁ、忘れてた」



 武器に能力があるように、服にも能力がついている事を今更ながら思い出した。


 今あるのは、《空歩》《魔闘》《魔殻》《魔砦》の4つ。


 空歩は魔力を使用して空を歩ける能力。

 宙に留まる事も出来るが、その時は消耗が早い様だ。


 魔闘はクイーンがやったハイパーパンチと殆ど同じ、ただし、消費魔力に対して威力が低かった。

 軽く特訓して修正済。


 魔殻は魔力の壁を体の表面に作って攻撃を防ぐ能力。

 魔壁や魔盾と違い、魔力を部位に宿して単純な防御力を上げる能力だから、魔闘に近い。


 魔砦は全方位に魔力の壁を展開する能力。

 ある程度の自由は効くが、半円形のやや薄めの盾にするか、魔盾と同じくらいのサイズの5つの盾にするか、の2択だった。

 操作も、多少は動かせるが基本は自動防御。

 魔盾と違って、常時魔力を僅かずつ消費し、解除と展開は自由。比較的使い勝手は良い。

 現段階では魔力の回復量よりも僅かに消費量の方が多いが、夜通し展開しても十分持つ。

 野営に使える良い魔法だ。



 すっかり忘れていたが、魔導士の魔法もある。


〈魔導士〉

魔導を歩む者


付与・魔

大魔球

大魔壁

魔腕

魔力視



 付与は魔闘と同じ、体全体に魔法が掛かり身体能力を僅かに上げる能力。

 自力で強化した方が遥かに効率が良かった。


 大魔壁と大魔球は魔壁と魔球の上位互換。


 魔壁は幅はあるけど密度が低く、効率が悪過ぎる。


 魔腕は魔力で物を動かせる様だが、ボーナスの念動の方が効率が良い。


 魔力視は言わずもがな、桜色の瞳があるから一番使えない能力だ。

 視えると言っても何となく魔力があるとわかる程度で、魔法の発動した瞬間ならわかるかもしれない。


 殆ど使えないが、付与・魔は自分以外にも使えるらしい。

 1人に使うなら自力で付与した方が効率が良いが、多数に直ぐ使う必要があるなら此方の方が良いだろう。



 結果的にはボーナス魔法か自力が一番やりやすい、ジョブの魔法は殆どお試しみたいな感じだろう。



 起こさない様に慎重に進んでいた為に、荒野に着いたのは太陽がほぼ南に上がっている時間だった。



 ーーキュルルゥー



 涎を垂らしながら寝ていたリリは自分のお腹の音で目を覚ましたらしい。



「.....キュゥ、キュキュ!」



 リリに林檎もどきを与えつつ周囲を見渡す。


 赤茶色の土、所々に草や木が生えていて、石の様な物が幾らか転がっている、地図によるとその石の様な物が魔物だ。



イグロノ LV1

US

『■■の■■』


〈魔物LV5〉♀2

2ジョブ〈蜥蜴LV5〉


変更可能ジョブ


BP0




 さて、どうしてくれようか?



 

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