プロローグ 狭間より
第三位階下位
……夢を見ているような。
ふわふわとして。
思考が回らない。
そういった妙な感覚……。
さっきまで周囲にはたくさんの色があったのに、それらは徐々に薄まり消えてしまった……。
何もない空間に漂う俺の色は、白に僅かに赤が混ざった淡い色。
この色を何と言っただろうか……。
……まぁ、どのみち——
——消えてしまう色だ。
◇
長い時間が経ったのか、ほんの一瞬、瞬きの間だったのかは分からないが、遥か遠くに黄金色の輝きが見えた。
それはまるで、太陽の様に……鮮烈な……。
何をするでもなく。ただ、じっと、その輝きを見ていた……いや、魅せられていたのか。
漂うだけの俺とは違って、行くべき場所があるのだろうか?
黄金は何処に向かっているのだろう?
遠くにあった太陽は現れた時と同じように、遠ざかって行く。
届かぬ物と知っていても、つい……手を伸ばしてしまった。
その瞬間。
光が此方に気付いたような気がした。
——それらは一瞬の事だった。
気が付いた時には太陽の輝きが目の前にあった。
その光には確かに強烈な——
——太陽の如き強大な意思を感じた。
——ほう? これは良いな、実に都合が良い、悪いが利用させてもらうぞ。
意思が聞こえた、暖かくて優しい意思。
それでも光は巨大で、意識が塗りつぶされていく。
——お前に次をくれてやる。
全てが黄金に呑み込まれる——
お前に次をくれてやる。
なに、したいようにすれ……ん?
……むぅ……まぁ良いか、特に状況が切迫している訳でもなし、その上薄いとは言え赤系統、多少適当でも問題ない……はずだ。
うむ、問題ないな、適当に突っ込んでおけば後は自分でどうにかするだろう。