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むしろ周り全員勇者で俺だけ魔王な件。  作者: ナル
第一章 勇者学園
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第十七話 @ 勇者

「……まさか生きているとはな。ここで張っている甲斐があったよ」


 上の方から声がした。

 ぼーっとする頭で前を見る。


 1、2、3……。もっといるな。砂漠の風でよく見えないが。


「しぶとさは一級品だな。魔王さんよ」

「ベイル……」


 完全装備で佇むベイルは、不敵な笑みを浮かべた。


「あのトラップは……」

「ああ、しっかり食らってたか」

「やっぱりな」


 道理でルスカが把握してなかったわけだ。俺が闇の属性である事を。


「わざわざトラップを仕掛けるためだけに洞窟に潜り込んだのかよ……」

「お前を仕留める最後のチャンスだと思っていたからな」


 ベイルは装備した剣を抜き払う。


「卒業までにお前をここから出す訳にはいかない。強大な闇の力。学園から放たれる前に、ここで潰す。

 ……まあ、いいんじゃないか?死んでも。どうせリバイブかリペアで治るんだろ?」


 闇の属性には回復魔法は効かない。もちろんそれを知って言っているんだろうが。

 俺は胸に刺さった二本の槍を抜いた。

 なるほど。俺を倒すためにわざわざトラップを仕掛けて、闇の力を削いだ。だとしたら。


「お前の目の前にいたはずだ。ルスカは。……いや、メアさんもいたんじゃないか?」

「というより、メアと一緒に行っていたからな」

「は?」


 俺は耳を疑った。


「メアと一緒にルスカの討伐に行っていたんだ。メアは何か事情を知っていたようだったしな。

 だが、ルスカから事情を聞いところ、明らかにメア側に非があった。ケジメを付けるのは当然だろう。

 『用が済んだ』後、俺達はトラップを設置して『リムーブ』で帰った。メアの捜索で、いずれ勇者学園の生徒がここに来る事は分かっていたからな。

 闇の力を削ぐトラップなんて、掛かるのはお前くらいだろう」

「な……。まさかお前、あいつにメアさんを差し出したってのか?」

「ああ」


 事もなげにベイルは言った。


「正義を貫くのが勇者だからな。

 元々あいつは自分を見捨てた仲間への復讐で動いている。ならばメア自身に解決してもらうってのが道義だ。あいつは感謝していたよ。『これで復讐を果たせる。恩に着る』ってよ。

 俺たちがあの女を置いて行くことで、ルスカにとっては同じ場面が再現できたんだ」

「イカれてんのかてめえは……」

「イカれてんのはルスカの仲間だろ。きっちりけじめつけずに逃げ出した方が悪い」


 ベイルは剣を構える。

 それにつれて、周りの勇者たちも各々武器を構える。


「まあ、そんな事どうでもいいんだよ。とにかく俺達の目的はここで悪の芽を摘む事だ。

 ここでお前が死んでも、運が良ければ生き返る事が出来るんじゃないか?

 その場合ネクロマンシーであの二年の女の手下になるのか?『ご主人様』、ってよ」

「……ぶっ殺す」


 俺も戦闘体形を取った。

 誰かが放ったビジュアルの魔法が、今の状況を表示する。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


 マオ 魔王 HP43 MP450


 ベイル 勇者 HP178 MP98

 レイン 勇者 HP136 MP78

 クラウド 勇者 HP120 MP43

 ヒロ 勇者 HP154 MP68

 ディア 賢者 HP114 MP74


――――――――――――――――――――――――――――――――――


「気を付けろ」


 ベイルは言った。


「奴は闇の力を失ったとはいえ、魔王だ。簡単に潰せるタマとは思えない」


 全員頷く。感情とは逆なのだろうが、ベイルの声は冷静だった。そりゃ友達も多いわけだ。


「だが大分消耗している。HPも残り少ない。人類の脅威になる前にここで殺す。やるぞ」

「「おお!」」


――――――――――――――――――――――――――――――――――

『レインの攻撃!』


『マオに15のダメージ!』

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「はっ……!?」

「っ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

『マオの攻撃!』


『レインに116のダメージ!』


『マオの攻撃!』


『レインに89のダメージ!』

『レインは死んでしまった!』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「何……!」

「嘘だろ!?闇の力は削ったはずなのに!」


 驚愕の声をあげる。

 計算が違ったのだろう。ベイルの表情に明らかに焦りの色が浮かんでいた。


「――――鍛えたんだよ。『闇の力』は火の赤、水の青……、以下略!」


 俺は残った魔力を身に纏わせた。


「焦るな!奴は相当消耗している!一気に畳みかけるぞ!」


 ベイルが号令を上げる。だが、先ほどよりも応じる声は少ない。それでも、一人、二人と掛かって来た。


 ――――残りHPは24。

 普通に考えて、あと受けられる攻撃は一回だけだろう。

 こちらから攻撃を仕掛け、相手の全滅を狙うしかない。

 なにせこっちは回復も蘇生も効かない。

 一気に畳みかける――――――。


 恐れながらも「勇者たち」は俺の命を狙っている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

『マオは衝撃波を放った!』


『ベイルに86のダメージ!』

『クラウドに90のダメージ!』

『ヒロに55のダメージ!』

『ディアに64のダメージ!』


『マオの攻撃!』


『クラウドに180のダメージ!』

『クラウドは死んでしまった!』


『ディアはリペアを唱えた!』


『ベイルは80P回復した!』


『ベイルの攻撃!』


『マオに17のダメージ!』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 あと一撃――――。


 俺は勇者たちを迎え撃った。

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