神器の力
七話です!!楽しんでいって下さい!
下の様子を見て淳也は不敵に笑った。それに対し、不機嫌そうなフードの人物の声が聞こえた。
「何がおかしいのですか?」
フードの人物は、身体の至る所が抉れて、手に持つ鎌もボロボロである。対して淳也は掠り傷一つない。
「下は早々に決着が着くな、と思っただけさ。」
「……」
その言葉にフードの人物は、無言で鎌を直した。
「私には、黒王殿の力の方が気になりますね。」
「疑問か?なぜ、俺の剣が触れた途端に、魔力で創り出した鎌が『消滅』するのか。」
そして、淳也はその理由を話し始めた。
「魔術師の魔力には色があり、その色によって得意系統の魔術が決まってくる。これは知ってるよな。」
魔術師は魔力の色によって、得意魔術が決まってくる。魔力が赤色なら炎系統の魔術が得意な様に。
「だから、お前の場合、雷系統と風系統の魔術が得意だろ。」
「!!」
フードの人物が驚愕に目を見開いた。
「別に驚く事はないだろ。黄緑色の魔力は黄色と緑色の丁度中間だからな。」
「……」
「そして、お前の鎌を見た時ハッキリした。最近起こっている次元の穴は、お前の神器によるものだろう、と。」
フードの人物は先を促した。
「だが、一つ腑に落ちない、お前はどこで神器と契約した?神器は聖域でしか契約出来ないはずだ。仮に所有者が死んでも、神器は聖域に戻って来る。……いや、他にもあるのか?神器と契約する方法が……」
淳也はしばらく黙考していたが、フードの人物が虚空に手をかざしているのを見て、考えるのを止めた。
「神器を使うのなら、止めておいた方がいい。」
「なぜ?私はこの場で、あなたは危険だと判断した。故に全力で潰しにかかります。」
「お前じゃ神器を出した所で、俺には勝てない。」
その言葉でフードの人物が、キレたのを淳也は感じた。
「言ってくれるじゃないですか。これを見ても、まだ何か言えますか?」
そして、フードの人物の手には、紫色の刃がついたレイピアが握られていた。
「来いっ『ヤドリギの断空剣』!!」
「!!」
ヤドリギの断空剣だと!!あれは四年前に壊れたはずじゃ!!
「どうですか?懐かしいでしょう。かつてあなたの師が使い、あなたを守るために師と共に壊れた神器ですよ。」
「厄介な物をっ!!」
そして、フードの人物はヤドリギの断空剣を薙いだ。
☆☆☆
一方公園では、一つ目の魔物と優樹菜の決着が着く所だった。
『我が元に来たれ、湖の聖騎士ランスロット!!』
騎士道物語(story of knight road)の能力は、騎士の英霊召喚である。優樹菜の呼び声に応じ、一人の水色の髪をした好青年が現れた。
「敵はあの一つ目の魔物よ、ランスロット。」
『御意に、我が主。』
優樹菜の命令により、ランスロットはその場で剣を振るった。そう、その場で剣を振るっただけで、魔物は形も残さず断ち切られた。
『では、私はこれで。』
「あら、今日はやけに早く帰るのね。『湖の聖剣』まで抜いて。」
優樹菜が聞いたのには理由がある。
『主よ、確かにこの世に残りたいのは山々だが、グィネヴィアとのデートがある故、帰らねばならんのだ。』
何を隠そうランスロットは現代の武術やスポーツが大好きなのだ。
「そう、分かったわ」
『主の気遣い感謝する。』
騎士は礼をして消えていった。
「あ、携帯(淳也の)。ま、いっか。」
淳也の携帯はというと、ランスロットの斬撃により、この世から消滅していた。
現代の武術やスポーツが好きなランスロットって(笑)
ちなみにランスロットが知りたい人は、アーサー王物語とインターネット検索すると出てきますよ。