†第7話《決断》†
†第7話《決断》†
「リヴィア…ガーディアンにくるか…?」
アルフのした決断とは、側にいても傷つける、遠ざけても知らないところで傷つく、そんなリヴィアを側に置いてかつ守り続けるというものだった。
「っ!!」
声にならない叫びをあげるリヴィアはさらに涙を流しアルフに抱きつく。
単純に嬉しかったのだ。
今まで拒絶されたと思い込んでいたリヴィアにとって他の誰でもないアルフに受け入れてもらえたことが。
「………つれていって。」
とアルフの胸の中で嗚咽を必死に抑えつつ声を絞りだした。
(ふぅ…やれやれ)
と散歩と称し扉のところで話しを聞いていたヴァンスは一人つぶやく。
(あいつら昔っからまどろっこしいんだよなお互い意識しまくってるくせにつかず離れずで…)
一人懐かしさに浸っていると、扉の周辺に気配を感じたアルフはヴァンスに気づく。
「おい!ヴァンス!なに立ち聞きしてやがる!」
とすこし怒鳴った。
(やべ…ばれた)
ヴァンスが扉から姿を現す。
「いや〜…ははは別に立ち聞きしてた訳じゃないよ散歩してたらたまたま通りかっただけさ。」
と精一杯の言い訳をする。
そして涙のあらかたおさまったリヴィアはアルフから離れると、
「ヴァンス〜!」
と赤らめた頬を膨らませた。
「ったく…罰としてこいつらの手当て1番多くやれ。」
とアルフはヴァンスに罰をかす。
「うわっほとんどお前がやったんだろうが!」
と反論するヴァンスだが
なにか言ったか?とアルフに睨まれ、渋々手当てを始めるヴァンス。
そんな二人の懐かしい様に、リヴィアは三年ぶりの笑顔を見せた。
結局ヴァンスは数十人の兵士のほとんどを手当てし、しばらくすると
「リヴィア…ばれてしまったのか?」
とリードが起き上がり、他の幹部達も起き上がった。
そしてエルダーが
「その調子だとなんだか丸く収まったみたいね。」
とリヴィアの久々の笑顔を見て微笑んだ。
「よかったなリヴィアちゃん。」
とミッド。
「それにしてもお二方とも、全くなまってなかったですね。」
とグレン。
全員起き上がったところで、アルフはあることを思いだした。
「そういやお前らがリヴィアとしてた約束って何だったんだ?」
と問い掛ける。
すると
「ああ…あれですか。」
とグレンがいうと、
リヴィアが
「あれはアルフが戻ってくるまでこの5人で頑張ろうねっていう約束。」
とアルフの問いに答え、
「辛くても支え合えるようにっていうリヴィアの心遣いよね。」
とエルダーが補足した。
「そっか…みんなほんとにすまなかった…そんでリヴィアのことありがとう…これからは俺がリヴィアを守るからみんなはそれぞれの道を進んでくれ!」
と皆にいうと
ヒューヒューとミッドが茶化し、
「あの時のことでお前さんをうらんでる奴なんざ一人も居はせんよ…。」
とリードがフォローした。
「そうか…ありがとう。」
とアルフは皆に深く頭を下げた。
そしてリヴィアは、その場にいたスレイブ兵士達も含めて召集をかけ、
「皆…今まで一緒に戦ってくれてありがとう…今日でホントにスレイブは解散します!皆それぞれ苦しみを持ってるだろうけど負けないで、仮面を外して堂々と生きて行って下さい。」
事実上二度目の解散宣言をしたのだった。
こうして
カルスト第四倉庫群での一夜の戦いは幕を閉じた。
空には戦いの後とは思えない程、澄んだ月と綺麗な星空が広がっていた。