†第18話《決闘》†
†第18話《決闘》†
ガキンッ!!
フィアスの込められた斬撃同士は衝撃波を伴って空中で弾き合う!
(これは…!)
あまりに速いエアルドの一太刀に段々と押され、ついには受け続ける事しか出来なくなるアルフ。
(やっぱりだ!俺のは勝手にだけど、こいつ…刀を降り出す瞬間に自分の手にフィアスを乗せてスピードを上げている!これじゃ勝ち目が…だけど!!)
エアルドの次の振りを予測し、アルフは前に一歩踏み出す、そうして剣のリーチより相手の近くに自分の身体を持っていくと、エアルドの顔面目掛けて飛び、回し蹴りを繰り出した!
エアルドは不意な打撃に驚きもせず、刀を持っていない方の手でアルフの蹴りを横に流すと、アルフの腹部に掌底、怯んだ隙に間髪入れずに蹴りを入れアルフをリーチ外に吹き飛ばした。
アルフは何とか空中で体勢を整え、綺麗に着地出来たが、打撃にもフィアスが乗っていた為、腹部の痛みに呻いた。
(インファイト…いい戦法だと思ったんだけどな…くそ!俺もああやって小出しに出来ればもっと色々出来るが…全ての動きにフィアスが乗ってたんじゃそれが平常になっちまう…)
アルフの攻撃がエアルドに届かない理由がそれだった。
フィアスを使っている分アルフの方が速度や力では上だが、ずっとその速度だと段々と相手の目が慣れて、いなしたり、受けたり、そのあとの反撃までもが容易にされてしまう。
それは言葉で言うほど簡単な事では無いが、相手が騎士団の長で普段から戦い慣れている相手ならば話は別だ。
一方エアルドは、フィアスを一発一発小出しに出来る為、普段の速度とフィアスを使った最高速の変則的な攻撃が出来る、その為戦い慣れたアルフでも受けるので精一杯だった。
「光速!!」
アルフは足に乗ったフィアスを爆発させ、一気に相手の背後に回り込む!
だが、
「光速……」
「なっ…!」
自分の背後に回り込んだアルフの背後に回り込み二人の位置関係を全く逆にしたエアルドは、アルフの振り向き様に持っていた刀の柄頭で顎を強打し、体勢を崩した所を刀を手放しめった打ちにする、もちろんその全てにフィアスの力を乗せて…。
「かはっ……!!」
強い衝撃を腹部に受けた為、アルフは吐血しその場にうずくまる。
エアルドはすぐさま手放した刀をその手に戻し距離をとる。
「ってぇ…くそがぁ…。」
(だめだ…完全にフィアスを掌握出来てる奴には勝てない…くそ…俺もこの放出してるフィアスを制御出来りゃ……ん?…待てよ…。)
激痛に身もだえるアルフは、何かに気付いたのか近くに落ちた剣を拾う。
(これだけのエネルギーをずっと放出し続けてるなら…その放出を別の所に変えてやれば…!!)
「行けるぞ!!」
痛みに耐えながらエアルドに剣を突き付けるアルフ。
(放出してるフィアスを剣に…足に集める光速の要領で…)
アルフが操作を初めた刻印が発光し出すと体中から光が溢れ、その光がアルフの手を伝い剣の先に収束する。
「食らえ!光衝波!!」
その集束させた光を前方に一気に放射した!
刻印が出た状態で放出されたフィアスを全てエネルギーに変換して切っ先に集め相手に放射する。
先程アルフの考えた新たな戦法だった。
しかし
その攻撃はエアルドには当たらなかった。
アルフの体中から血液が吹き出し、放った光衝波の軌道を遥かにずらした。
「ごふっ!…なん…だ…これ…?」
血にまみれた身体を見ながらやっとのことで声を発する。
「そんな事、させる訳がないだろ?」
背後からエアルドの声がする。
「な…んで…。」
「そりゃ俺の方が速かったからだろ?まぁ何にせよ目標達成だ…それで刻印は消えるぜ。」
ドサ!
急な失血により立ってられなくなりその場に倒れるアルフ。
「こりゃあ、ちとやり過ぎたか?まぁ多分生き残るだろ…。」
その言葉を最後にアルフは気を失った。