†第15話《早練》†
明けましておめでとうございます!
海人です!ちょっと年末から新年にかけて忙しくて投稿出来ませんでした。
すみません
もしかしたらもう見てる人はいないかも知れませんがそれでも最後まで書き切りたいと思いますのでもしまだ見てくれてる人がいるなら
ちょくちょくチェックしてくれれば幸いです。
それでは!
†第15話《早練》†
俺らが来たときよりはましだけど…これから大変だな。
崩れかけた時計台を見てヴァンスは思う。
「ただいま…!」
ヴァンスに横脇に抱えられて街に戻ったアルフの第一声。
だが、
体から放たれる“淡い光”はおさまらず顔に現れた紋章も消えずに残っていた。
体中から出る冷や汗が止まらない。
次第に息があがりだし、素人が見ても分かる程に具合が悪くなっていた。
「おい…アルフ…?大丈夫か!」
「はぁ…はぁ…何だ…ろうな…ちょっと疲れ…。」
バタッ
その場に崩れるように倒れ込むアルフ
「アルフ!アルフ!どうしたの?アルフ!」
「おい!こいつ…まさかフィアスの影響で?」
「アルフー!!」
リヴィアの声を最後にアルフは意識を失った。
「ほら、これを持ちなさい。」
目の前に差し出される何らかの塊。
「これは何?」
恐る恐る伸ばされる幼い手
「これは剣だ。」
「剣って何?」
「それは相手に勝つためのモノだ。」
「勝つ?これでどうやって勝つの?」
「相手を殺すんだ…それが勝つって事だ。」
「コロス…?これで…?」
目の前の剣と呼ばれるモノの尖った部分を触ると指の皮膚が切れて赤い液体が漏れ出す。
「いたい…。」
「そうさ…その尖った部分で相手を殺すんだ。」
それがお前の生き方だ。
「俺の親父は…。」
と補給部隊拉致事件の後、ハイドの警備中、打ち解け始めたばかりのアルフとヴァンスはこんな話しをした。
「俺の親父は…いくつだったかな…とにかく小さな俺に剣を持たせて相手を殺せと言った。」
と言って手を握るアルフ
「………。」
ヴァンスは黙って話しを聞く
「そんで…そのあとすぐに小さな剣を振る練習をさせられて…六歳になるときには本格的な戦闘訓練と殺人術を教えられた。」
「どうりで…。」
「…そんで三年前フィアスの概念を説明された…まぁそれはあんまり覚えてないけど。」
「フィアス…か…考えてみれば不思議な力だな…生命力の一部を何らかの特異な能力として発動させられる力なんて…。」
「ああ…何だか親父もそんな事言ってたな…使いすぎると死ぬらしい。」
「そりゃあそうだろ生命力って事は生きるのに必要なエネルギーだろ?それを生きる事以外に使うんだから死んじまうさ。」
「じゃあそれ使うと負けるって事か。」
「え?」
「死んだら負けだし殺したら勝ちだ…だから負けるだろ?」
「まぁそれだったら確かに…」
「俺にとって正死と勝負はイコールだ。そういう生き方しか知らなかった。」
「知らなかったってことは…?」
「最近はちょっと違うかな…相手を殺さ無くても勝てる時ってあると思うんだ。」
「そいつは良い傾向だな。」
「ああ…そうかもしれないな。」
「アルフ!アルフ!」
意識の失ったアルフを部屋まで運んだものの容態のまったく変わらないアルフに焦りを見せるリヴィアとヴァンス。
「アルフ!ダメ…汗が止まらない!このままじゃアルフは…」
「くそ…いったいどうすれば…」
ガチャ
不意に扉が開き誰かが入ってくる
その感じた事の無いほど強大な気配に近くに立てかけてあったアルフの剣を振り向きざまに突き付ける。
ぴたっと動きの止まる侵入者
「ちょっと邪魔するぜ。つか剣を下げな、気づいてる筈だぜどんな馬鹿でも分かるくらい強い気を送ってるからな。」
「くっ…。」
怯むヴァンス
「お前じゃ勝てない…止めときな!とは言えコイツの友達にしちゃあいい殺気を放つ…好きだぜ…そういうの。」
とりあえず剣を下げるヴァンス。
「あんた何者だ?」
「あ?アルフのお父さんだ!」
「アルフのお父さ…ん?」
「ええ〜〜〜!?」
リヴィアとヴァンスは余りの驚きに顔を見合わせて叫んだ。