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俺はじゃがいもが嫌いだ  作者: シム町長
2/9

第1.5話

俺はじゃがいもが嫌いだ



プロローグ


人にとっての価値とは重要なものである。

だが、その価値とは人によってまちまちである。価値観の違いって難しいものなんだよな。

 どうしてこんなことを考え出したのかはよく俺も分からないが、感慨にふけるとこういった変な思考になりがちになる。

 マイナス思考の方々は考えに入り浸った時、一体何を考えるのだろうか?自分は人に必要なのか、とか、自分は不必要なのではないか、とか恐ろしいことを考えているのではないだろうか。

 話が少し逸れたが、言いたいことは、人という生き物には言語があり、とてつもない科学発展を遂げている。それだけなのに調子に乗り、環境を破壊し、人間に都合の良い世界にしてきた。挙句の果てに、人間個人を個別に評価し、順位をつけるという最悪な行為をし始めた。

 とまぁ、ダメだし口調のグチから始まってしまっているが、テストなんていう順位が

つくものはやらないほうが良いということだ。環境破壊は俺だって率先してやっている分際だし、人間に都合の良い世界は悪くないからな。

 ただ、順位については否定したい。個人そのものを勝手に評価することに異論はないが、順位をつける意味が分からない。個人は同じ存在がいくつもあるわけではない。だから、同じ秤にかけられるはずがないのだ。無理に比べれば違いが出るだろう。でもそれは公平な判断ではないと思うのだ。

「あ~あ~。こんなことなんでやるんだろうな?」

独り言が寂しく自分の部屋に消える。

 まぁ、テストで良い思いをするといえば、早く帰ることが出来るというところだな。早く帰ってさっさと遊んでさっさと寝る。これがダメな高校生の基本だな。

 俺、柏木広樹はそんな現実逃避を続けていた。いつも通り死んだ魚のような目で周りを見回し、寝癖だらけの頭を掻き、パッとしない毎日を送る、ありふれていそうなダメ高校生だ。

 恋もせず、というか異性を好きになったことのない俺は傍から見ればつまらない人間だろう。実際つまんないし。

5月17日。そんなダメ高校生のテスト習慣が始まる。


 

~テスト前日の学校~


「テストか……」

また独り言。もう寿命かもな。

「なんで落ち込んでるの?」

うるせーんだよ。口に出すと面倒なので心の中で悪態をつく。

コイツは石原誠。おせっかいなガキで、かなりの金持ちである。

おせっかいなガキでおぼっちゃんヘアー、眼鏡をかけた災いの塊である。

「クラスの連中見てみろよ」

「お?」

腑抜けた返事をして周囲をぐるっと見回す石原。興味なさそうに俺のことを見ると、

「変わってないよね?」

変わっていないのは生まれた時からのお前の精神年齢だろ。

「普段勉強しない奴が勉強しているだろ?」

「あ、ホントだ」

コイツは何を見回していたんだろうか。

「アレ?でも桜井は何もしていないよ?」

「…アイツは例外」

少し離れた所にいる赤髪の不良は桜井俊介。頭の悪さは天下一品で、少し暑苦しい奴である。赤みがかかった眼で睨まれるとゾッとする。さらに、語尾に長音記号をつける話し方をする奴である。

偏差値はかなり低いと自分で言う程だったから、実際勉強したところで成果はないだろうな。赤点5科目確定だな。

「お!柏木!暇そうだな!」

元気の良いサルが来やがった。

この変態サルは小西。文字通り変態のサルで、…サルである。糸目でWの角がなくなったような口と坊主頭が特徴(?)である。

「ここわかんねぇんだよ。お前分かるだろ?教えてくれ」

そう言って小西が差し出した問題は国語の漢字の問題だった。

「辞書で調べろよ」

「やだね」

反抗されたので仕方なく問題を見てみる。

次のカタカナを漢字に直しなさい。

1,空から飛行機がオちた。

 この問題見にくいな。

「こざとへんに有罪の有、その下に土だ」

「こうか?」

堕ちる。合っているな。

「あぁ」

「じゃこれ分かるか?」

2,私はトウフの愛好家です。

 そんな愛好家聞いたことないぞ?

「トウは豆、フは都道府県の府、プラス肉だ」

「おお~」

「やるねぇ」

漢字だけならな。

「じゃこれはどうだ?」

3,ベルサイユ宮殿に残されたイセキ。

多分そんなものないと思う。ってか、ベルサイユかイセキかわかんねぇだろ!仮にベルサイユの方だったとしてベルサイユってどう書くんだ?

 というかベルサイユの方を直す奴はいるのか?

「これどっち答えるの?」

「ベルサイユの方じゃね?」

いたよ。

「これは分からん」

「そうか…」

「簡単だよ」

「当て字なしだぞ?」

「当然っ!」

そんな漢字あるわけないだろ。

「bell sight you」

漢字じゃなかった…。

「おぉ!さすが石原!」

そこ感銘受けるところじゃないだろ!!

「これでテストはばっちりだね!」

漢字を英語にあててどうすんだよ!

「thank you!! I’m glad to meet you」

日本語で話せよ。

ついでに英語発音が妙にネイティブに近いのが腹立つ。

「誰だー!今俺に死の呪文唱えた奴はー!!」

アイツ…もう手遅れだな。

「桜井も一緒にやろうぜ!」

「呪文の勉強をかー?」

英語は呪文じゃありません。

 てか、いつから英語に変わったんだ?

「ん~、じゃ桜井。ここの問題、読んで訳して」

その問題はI am not studentという入学したての中学1年でも分かりそうな問題だった。

 これなら桜井にも解けるだろう。

「え、え~と、アイ…」

ほら、読めるなら解けんだろ。

「エーエム エヌオーティー…」

…さすがにそう来るとは思わなかったぜ。

「エスティー…。これなんて読むんだっけかー?」

しかもアルファベットの読み方すら分かっていないようだ。

「これじゃダメだね…」

なぜ石原が落ち込むのだろうか?

「次!数学な!」

小西が仕切る妙な展開で、俺は半ば強引に先生代わりにさせられた。果たして成果 

は出るのかねぇ?

 数学問題1問目

 1,次の方程式を解け。

  (1)2x+4y=14

3x+2y=1


「お、連立方程式か。懐かしいな~」

桜井が頭抱えてるけど。

「これくらいは解けるね」

桜井が逃げ出そうとしてるけど。

「こんなの中1にでもやらせればいいのにな」

坂田が何処からともなく出現する。

「お前どっから出てきたんだよー!?」

あ、桜井戻ってきた。

「桜井、これ…」

「(ササッ)」

“ガシッ”

小西が桜井を捕まえる。

「逃げんなよ…桜井く~ん」

「ふ、ふざけんなー!なんだ数学ってー!ただの数字の塊じゃねーかー!!」

必死の形相で叫ぶ桜井。いつもは糸目なのに今に限ってまぶた全開の小西。

「まぁまぁ。解いてみなって。意外と出来るかもよ?」

「嫌だって言っているんだー!!」

「こんなもん簡単だろうが。上の式を①、下の式を②と置いて…」

「数字を言うなー!気持ち悪くなるー!!」

何それ?数字恐怖症?

「まぁまぁまぁ」←お岩さん(坂田)

「ほらほらほら」←子泣き爺(石原)

「さぁさぁさぁ」←動物園から脱走したサル(サル)

軽くホラーだな。坂田の顔ってあんなに気持ち悪かったっけか?

「(ブクブク)」

その結果、桜井は泡を吐いて倒れ、病院へ送られた。この気持ち悪い連中に気絶したのか、もしくは数学がそれほど嫌いなのか。どちらにせよお気の毒様だな。


―――――桜井が運ばれて10分後―――――


「全く、あの程度の問題で気を失うとは不良の風上にも置けんな」

お前は動物園に帰ってサルのお山の大将でもしていろ。

「この問題、他の人は解ける?」

「バカにするな」

「じゃあ解いてみろよ~。」

なんか、このサルの言い方うぜーな。

「x=-3、y=5だ。」

「正解っ!」

坂田が不思議そうに聞く。

「途中経過は?」

こんなの暗算でもできんだろ。

 そんな坂田に小西が迫った。

「俺が説明しよう!まず、上の式を①、下の式を②と置いて…」

「それじゃ分かりにくいよ!」

いや、最もベタなやり方だと思うんだけど。

「まずはね…」

小西に有無を言わさないところがなんともムカつく!

「この上の式を柏木の心臓、下の式を…」

「待てェェェ!!」

「え?どうしたの?」

何当たり前のようにキョトンとしてんだ、このクソガキ!

「なんでよりによって俺の心臓だ!もっとほかの物でも良いだろうが!!」

「うーん、じゃあ柏木の肺で。」

「そういう問題じゃねーんだよ!」

「なら、柏木の腎臓で」

「俺から離れろ!!」

「大丈夫だよ。全部2つずつあるんだからさ。」

心臓は2つもないぞ!?

「続きは?」

お前もやり方教わるの待っていないでコイツに突っ込めコノヤロー!

「じゃ上の式は柏木の心臓として、下の式を柏木の五臓としよう」

心臓どころか全部の内蔵使い始めたぞ!!

「ふんふん。それで?」

いい加減反応してやれよ!

「クックックックック…」

隣で不吉な笑いを浮かべているサルがいる。

うぜー。ムチャクチャぶん殴りたい。あー!もう我慢ならねぇ!

「お前は笑ってないで窓から紐無しバンジーやるか、動物園に里帰りするかはっき

りしろ!!」

「とにかく消えろと言いたいのか!」

よく分かってんじゃねーか。高校生の頭を持ったサルめ!

「それで、柏木の心臓を3個に増やして…」

オイィィィ!なんか向こうでとんでもないこと言ってる奴が居るんだけど!!

「おいおい、柏木にそんなに心臓あるわけないだろ?」

よく言った小西!

「あるよ!」

あるわけねーだろ!!

「で、続きは?」

坂田はもう帰れ!!

「で、増やした柏木の心臓から、5個に増やした柏木の五臓を引くんだ」

心臓3つじゃ足りねーよ!!

「あぁ!なるほど、思い出せた!」

その説明で何が思い出せるんだよ!!

「サンキュー石原。鮮明な映像が浮かんだよ…」

何の映像だ!!不吉すぎるんだけど!!

実際の所、あまり成果は出ずに勉強会的なものはお開きとなった。

~テスト当日~


「ふぁ~ぁ。みんなおはよう…」

珍しく体力無限大少年が疲れたようにあくびをする。

「勉強できたか?」

「出来るだけはね。みんなは?」

桜井いないけど。

「まぁ一応やれるだけはやったってところかな」

坂田の発言は受験生の言い方みたいだな。

「そっか~。柏木は?」

「テストなんて知るか」

そう俺が言うと何処からか女子が紛れ込んで言った。

「そんなこと言って、勉強してきたんでしょう!?」

なんだこの女子?あぁ、そうだ、確か宇津木とか言う女だったな。

前になんか天井に吊るされて喜んでいた変態娘だ。髪は肩まで伸ばし、前髪を眉毛で切りそろえた髪型で、整った顔立ちをしている。痩せ過ぎでない痩せ体型で、一般論で言えば、かなりの上玉であるが、俺は異性を好きになったことがなく、未だに自分の好き嫌いが分からないため宇津木も好きか嫌いかよく分からない。ただ、少なくとも信頼はしていない。

それにいかにスタイルが良くて美人でも、支えるところがなければただの宝石と同じことだと思うしな。

「お前に関係ないだろう?」

「柏木君が嘘つく時くらい分かっているんだからね!」

「(ジーッ)」

なんか、小西からの視線が非常に痛いんですけど。

「あ~れ~?じゃあ宇津木さんは柏木のこと好きなの~?」

クソガキめ!余計なことを言うな!

「べ…別に…。そ、そんなことないけど…。石原君にはそもそも関係ないじゃない!」  

「おぉ~慌ててる慌ててる♪」

殺したくなるなこの野郎は。

「(ジーッ)」

小西が糸目見開いてる!目から殺気が出てる!

「柏木は宇津木をどう思ってるの?」

「う~ん、とりあえず今は…」

宇津木が俺のことをじっと見ている。

…うざいな。

「邪魔だな。」

「(チーン)」

宇津木が天寿を全うされたな。

「(ジーッ)」

ヤバイ…!小西が限界だ。目から今にもミサイルが飛んできそうだ。

「オイ…小西。お前まさか…」

「ああ…そうだよ。俺は…」

…まさか!

「お前、まさか目からビーム出せんのか!?」

「「違う!!」」

アレ?違った?

「今の会話でどうやったらビームが出て来るんだよ!」

「どう考えても俺の目が兵器化されてるだけだよな!?」

なんだ、違うのか。つまらない。

「俺は宇津木が好きなんだよ」

あーそーですか。

「そうだったのか…」

「そうだったのかー(笑)」

ニタニタと会話に加わる桜井。復活したのか。

「まぁそういうことだ。助けてくれ」

俺に助ける義務はないぜ!

「それはそうとさ、桜井よく学校来れたね~」

聞き取り方によっては非常に失礼な言い方だな。

「おー!秘密へ…ひみ…。なんか、大丈夫だー!!」

「秘密屁?何?そのおなら?」

屁じゃないだろ!ていうか秘密兵器って言いたかったと思うけど、それくらいなら今時の幼稚園生でも分かるぞ!?

「これを持って来たからなー!」

どうせロクでもないものに決まっていると思いながら桜井が取り出したものを見る。

 取り出したもの① ポケットティッシュ←なんの役に立つんだ?

 取り出したもの② 携帯電話←カンニングには使えるかも。

 取り出したもの③ ウエットティッシュ←役に立たないよな?

 取り出したもの④ なんか銅線っぽいもの←何の実験をするんだ?

 取り出したもの⑤ ガソリン臭いティッシュ←なんかティッシュ多くね?

 取り出したもの⑥ 時限発火装置←????

「何でだァァァ!!」

「こいつらを使えばテストどころじゃないだろー?」

そういう問題!?

「なるほど。時限発火装置にケータイで信号を送り、ガソリンの染み付いたティッシュを導火線代わりに使って、目的の場所に大量のティッシュを予め置いておいて爆破。ってこと?」

「多分ー」

なんでお前が知らないんだよ。

てか、なんで使わないウエットティッシュ持ってきてるんだよ。

「じゃあセッティングだー!行くぞ小西―!」

小西の代わりと言わんばかりに坂田が返事をする。

「おう!」

「オメーじゃねーよー!」

ダメだ…。避難でもしようかな。

 それにしても小西が宇津木のこと好きとはね。浮かばれないだろうけどな。


―――――20分後―――――


「クソーッ!センコー共が多くて何も出来なかったー!」

ただの無駄足じゃねーか!

「テストとなるとさすがに警戒が厚いな」

警戒じゃないと思う。

“キーン コーン カーン コーン”

「保健室行っ…」

“ガシッ”

「だめだよぅ?」

石原、自分の顔を鏡で確認して来い。阿修羅像みたいな顔してんぞ。

 ――そして、すぐに新任の担任が来てホームルームが始まり、流れるようにテストが始まった。


―――――放課後―――――


「あ~っ!疲れた!」←柏木

「今回はばっちりだったね!」←石原

「まぁ?俺のことだから?心配しなくていいと思うけど?」←小西

「まずまずってところだな。」←坂田

「(チーン)」←桜井

一人ひとりの様子である。

「みなこんなところで何をしている?」

あ、狩野だ。

 狩野は独特の偉人のような偉そうな喋り方で、外見的特徴は髪が少し長い、体がしっかりと出来ている、といったところだ。

その疑問は最もだろう。なんせ下校時刻を1時間も過ぎているんだからな。

「そこに体調不良者がいるようだが?」

“不良”の言葉に桜井が復活する。

「おー!よく呼んだなー!俺が不良の神と言われた男よー!」

もう突っ込むの面倒だよ。

「何!?貴殿があの伝説の男か!?」

何の伝説だよ?

「そうさー!ようやく分かったかー!」

「食べるものは全て味噌汁か豆腐。両者を生涯片方しか口にしないと言うあの男だと言うのか!」

いや、混ぜて食えよ!

「そうだー!俺がその腐両だー!」

区切ってある文を無理矢理繋げてんじゃねーよ!しかも両方腐っただけじゃねーか!!そんなに不良に誇りを持つ意味があるのか!?

「まぁまぁ、狩野。君の紹介まだだったね。自己紹介してよ」

狩野は頷いて深呼吸すると、

「狩野秀明だ。好きなものはカレーと肉、嫌いなものはサルだ」

「何で嫌いなもの言った?消えろってか?消えろと言いたいのか?」

「んー。これやるよー」

  すっと小西をスルーした桜井が狩野に渡したのは生肉。

「恩に着る」

桜井が生肉なんか持ってることに突っ込めよ!

「狩野はいいとしてさ」

よくないだろ。

「お前らテストの後の復習ってしたか?」

「しないな」

「時たまするよ。得意分野だけ」

「俺は全部する」

「復習ってなんだー?」

それくらい分かるだろ。小学生でも分かる単語だぞ。

「1回やったところをもう1回勉強することだよ」

「やる奴おかしいんじゃないのかー?」

「坂田やるって言ってたよな?」

「じゃあ坂田は元からだけど人間じゃないなー」

「あんだと!?それならまだ空気の方がマシだ!」

空気所望し始めたよ。坂田はもう寿命が近いな。

「筋トレじゃあるまいし、そんなことやる必要あるのかー?」

俺達の時期は高校1年。将来が決まっていない限り、今の時期は勉強に力を入れる人は少なくないだろう。

「でもさ、技術をものにするにはある意味復習が必要だよ?」

「なんでー?」

「桜井だって筋トレを復習したから力がついたんでしょ?」

「ふざけんなー!俺は勉強なんかやってねー!」

「復習には“繰り返し行う”という意味もある」

「なるほどなー…」

桜井が学習したところを初めて見た。

「そう!パンを作る時もそう!復習が大事なの!」

何の話だよ!?

「パンか…。作ったことないな」

「料理業界のいくつかの単語なら知っているぞ」

「俺も知ってるぜー!」

桜井が知っているとは珍しい。

「なんだよ?言ってみろよ」

「パン」

帰れ。

 石原がつかない格好をつけて言う。

「グルテンやキャラメリゼ…」

それに対して桜井が聞く。

「グリコのおまけー?」

グしか合ってねーし。

「エンドプロテアーゼ、自己消化…」

一高校生は知らないと思うぞ?

「遠藤風呂で風邪ー?自己紹介ー?」

そんなわけないだろ。もし料理の世界でそんな単語が出回っているのであれば、俺は絶対に料理なんかしない。

「料理の話はその辺にして…」

お前が勃発させたんだろうが!

「今日はもう解散しよう?」

「そうだな、疲れてるし」

「頭使いたくないしなー」

お前はほとんど使ってないだろうが。

 そんなこんなで俺たちは石原の解散宣言どおりにそれぞれの帰路についた。

 来週からはテスト返却だ。

他の連中にとっては授業がないから楽だとか、点数が気になるとか、アイツは何点だったんだろうとか、学年順位はいくらくらいだろうとか、次のテストはいつだっけとか、次のテストの対策しなきゃなとか、模試は取れるのかなとか、高校卒業できるかなとか、大学は入れるかなとか、彼女彼氏できるかなとか、結婚できるかなとか、小西は絶対出来ないなとか、坂田は影が薄いなとか、就職できるかなとか、老後の心ぱ…

「長いわ!!」

なんだ、坂田の奴俺の後ろにいたのか。
























エピローグ


「テスト返却終わったね」

何でお前はいつも主人公である俺の前に喋っているんだ。本格的に精神科医に行って来いよバカ。ついでに精神年齢通りの学校に通えクソガキ。

「そうだな」

どうでもよさそうに俺が言うと、坂田が浮かばれない顔で俺たちに話しかけてくる。

「いいよな、テストよく出来てそうで」

俺個人の感傷だが、話しているのに倒置法を使う人はあまり好きではない。

「坂田は僕等なんかよりもっと出来てたじゃん」

クラス1位は坂田で学年でもトップだ。だから何が不満なのか分からない。

 まぁ、人の世界に首を突っ込んじゃダメってことかな。 


テスト結果


柏木広樹

数学 89 国語 54 英語 61 理科 70 社会 43 総合 317

石原誠

数学 55 国語 78 英語 77 理科 53 社会 92 総合 355

狩野秀明

数学 72 国語 68 英語 70 理科 44 社会 43 総合 297

小西僚太

数学 83 国語 52 英語 59 理科 98 社会 13 総合 305

坂田学

数学 98 国語 92 英語 89 理科 87 社会 100 総合 466

桜井俊介

数学 0 国語 9 英語 4 理科 0 社会 0 総合 13



 桜井の頭の悪さは、冗談のレベルを超えているのかもしれない。


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