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俺はじゃがいもが嫌いだ  作者: シム町長
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第一話

俺はじゃがいもが嫌いだ



プロローグ


「…何だ!?一体何があったんだ?」

目の前にある“モノ”を俺は見つめてしまった。

場所が室内なために周りが真っ赤。かと思えば所々赤くない場所もある。

しかし、俺は認めたくなかった。

 …目の前にある“モノ”は紛れもなく人の死体だったからだ。

どうしてこんなところに?一体誰が?頭がヒートアップしてヤバイ!

 とにかく確認してみよう。

「…」

無言で確認する。

 やっぱり死んでいるのだろうか。

だってこんなに出血してるし、人間は体内の2分の1以上血液がなくなれば死ぬらしいからな。…どうしてこんなどうでもいい情報が脳裏をよぎるのだろうか。

 そんなのどうでもいい。冷静に状況をもう一度確認しよう。

「…」

またも無言で確認…。アレ?

「この臭い…」

思わず笑ってしまった。自分の慌て加減に。情けなさに。冷静さのなさに。

「これ、ただのイタズラじゃねーか」

そう、血と思っていたのはトマトジュースで、死体は服を着たマネキンだったのだ。

 全く、朝の起床時刻にこんなことする暇人は誰だ?物好きもいたものだな。

 こんなことしている場合じゃないな。さっさと学校行くか。











第一話 失なわれた日常


~S1~


柏木かしわぎ 広樹こうき


俺こと柏木広樹は学校に向かうことにした。だいたい徒歩20分くらいで着くから近い方か。ただ、この時間帯だと…

「柏木~!!」

高校1年にもなって、しかももう2週間近く経っているのに精神年齢が小学1,2年くらいの馬鹿と会ってしまう。てか、会ってしまったな…。


石原いしはら まこと


「ハァ…」

「なんだよ、人がせっかく挨拶したのにため息で返すなんて!」          

黙れ眼鏡付きのクソガキ。

余談だが、石原はとてつもなく金持ちの家の息子である。でも、こんな幼さってことは余程甘やかされて育ったんだろうな。ついでに羨ましいほどのポジティブ野郎で、少しぽっちゃりしている。

「その寝癖だらけの髪型少しは直したら?」

「大きなお世話だ。高校生にもなって、おぼっちゃんヘアーの誰かさんよりはマシだ」

今の会話でも分かる通り、俺は寝癖だらけの髪型で、石原はおぼっちゃんヘアーである。関係ないが、身長は俺が平均くらいで、石原は低い方だ。

「ねぇ柏木、コレ見てよ」

「あぁ?」

やる気のない声で受け取った紙はラブレターみたいなものだった。

「ラブレターか。良かったな、これで将来困らないで済むな」

「もっと羨ましがると思ったのに~」

悪いが誰と誰がくっつこうと俺は興味がない。世間では“リア充爆発しろ!”とか言っているが、羨んでいるだけなら何も変わりようがない。爆発云々の前に自分で誰かに近付いてはどうだろうか、と思う。

 というか、石原なら付き合う期間も持って半月だろう。

「今、すごく失礼なこと思ってなかった?」

変なときに勘が鋭いガキである。

「気のせいだ。でもコレ…差出人が書いてないぞ?」

「君の目は節穴かい?ちゃんとここに日時と場所が書いてあるでしょ?きっと、来てくれってことなんでしょ」

節穴はお前の目だろ。差出人と日時・場所をイコールでつなぐ時点でおかしいんだよ。

 手紙の内容はこうだった。

 ~あなたのことが好きです。17日の16時に屋上で待ってます。必ず来てください~

「ラブレター自体初めて見たけど、なんか変だな」

「どこが変なんだよ?やっぱり僕ってモテるんだ…」

上機嫌そうにそう言った石原を見て、しばし距離を置こうかどうか本気で迷った。何より、

気持ち悪かった。

ホント、そのプラス思考には憧れるね。一体どういう考えでそういう考えに至るのかぜひお教え願いたい。

それから、俺は石原の妄想地味た発言を軽くスルーしながら聞き流した。そうこうしているうちに、学校に着く。いつものように机に突っ伏してホームルームまで寝る。寝不足なわけじゃないが、石原に絡まれると面倒臭いからだ。

“キーン コーン カーン コーン”

 チャイムが鳴り響き、またつまらない繰り返しの毎日が始まった。


杉浦すぎうら


「×○☆★;+&%$#|∀………」

呪文をしゃべる担任杉浦。俺の聞く気がないだけかもしれないが、そうだとしても、聞き取りにく過ぎるだろ。

「柏木、聞いているのか?」

なのに、注意する時だけはっきり発音しやがる。むかつくな、このめがね星人め。

「え~、じゃあ早くクラスのみんなを知るために自己紹介をみんなでやろう!」

『えぇーーーーー!?』

もう1ヶ月近く経つんだぞ?何を今更そんなことをしなきゃいけないんだ?

「一緒にやろうよ!」

なんでこいつはこんなにノリノリなんだよ。

「じゃあ35人いるから、5人1組で7組作って下さい」

「あと3人か…。あ!あそこの3人にしよう!」

何でお前のグループに俺が入っていることになってんだよ。

心中でそう思いながらも、35人も今日はいなかった気がする方に思考を巡らす。俺の隣の席の女子が休みなはず…名前は忘れたが多分覚える意味がなかったんだろう。まぁ、いずれにせよ34人しか今日はいないはずだ。

「一緒にやってくれるって」

そう言って石原が連れてきた3人は赤い髪、赤みのかかった目で筋肉質の不良、頭がはげた猿、何の印象もない、どこにでもいそうな男だった。


桜井さくらい 俊介しゅんすけ 

小西こにし 僚太りょうた 

坂田さかた まなぶ


 そして、それぞれ順に、桜井俊介、小西僚太、坂田学とわかった。

なんやかんやで俺達の紹介の順番が回ってきた。前に出て、何か、違和感を感じた。いつもと違う?

 なんとなく天井を見る。………俺の隣の席の女子が張り付けられていた。

「…」

アレはアレだ。ドMと呼ばれる人だ。放っておいても問題あるまい。なんか、じたばたしてるけど大丈夫だろう。

 だが、桜井は違った。

「アレ、人だよな?助けっか」

おぉ~。男らしいねぇ~。

まぁ、俺は情にまみれた人間じゃないから無関係を装うか。

 数分後、その女子は助けられた。

「はぁ~、苦しかった~」

そりゃあんなマゾプレイしていれば疲れるだろうよ。てか、どうやって天井に張り付いていたんだ?

「平気か?」

「はい…なんとか…」

あの女子、マゾプレイしていたんじゃなくて無理矢理させられていたのか?話しかけてみるか。

「お前、名前は?」

「ひゃひいぃ!」

俺はそんなに怖いですか?


宇津木うつぎ


「すみません、柏木君…。宇津木です」

宇津木か…。聞き覚えがないな。アレ…?

「俺、名前言ったっけ?」

「あ!いえ!あの、その…。そうそう、さっき自己紹介するために前に出ていたから…」

「俺達まだ名前言ってないぞ?」

「いや…あの…」

「僕、石原だよ!」

自己紹介の仕方が不自然すぎるんだけど。

「桜井だー」

まぁ、コイツはさっき助けていたからな。

「こ、小西です…」

何で顔赤くしてんだよ。

「俺、坂田。よろしくな」

いることに気付けなかった俺を許してくれ。

「あ…はい、よろしくお願いします」

「なんで天井に?」

俺が問うと宇津木は顔を真っ赤にした。

 俺、なんか悪いことでもしているのだろうか。

「誰かに頭を…。それからは何も覚えてなくて…。気付いたら天井でした」

よく重力が働く中、天井で居眠りできたもんだな。

「お前を殴った人はどんな奴だったか分かるか?」

「…ちょっと太っていたような気がします」

そう宇津木が答えると、クラスのみんなの視線が杉浦に集まる。それは、このクラスには太った人どころか、痩せている人しかいない。太っているといえば、このクラスでは担任である杉浦だけなのだ。

 まぁ、みんなそうは思っても“まさか先生がやるわけない”と、思い始めた。

“キーン コーン カーン コーン”

クラスのざわめきがいつも通りになって、うるさいなと、感じて数分後、チャイムが鳴り響いた。

放課後まで特に何もなかった。いつも通りつまらない授業を受け、いつも通り叩き起こされた。一体こんな馬鹿みたいな繰り返しの毎日が一体なんの役に立つのだろうか。

「あ!そうだ!」

石原は何かを思い出したかのように全力疾走していった。

「柏木、ちょっといいか?」

「何だ、さ…小西」

「今、猿って言おうとしてた?」

「気のせいだ、猿」

「…ハァ。石原の様子見に行かないか?」

「一人で行け」

「俺も行く」

  坂田、お前はいつもどっから出て来るんだ?

「二人で行って来いよ」

「面白そうだなー。俺も行くかー」

桜井は興味なければ行かないのか。

「どうでもいいから俺を巻き込むな」

「いいや、ここまできたら柏木も行くでしょ?」

「面倒臭いんだよ。三人で行けばいいだろ?」

「一人で待ってて悲しくないのか?」

空気と同化している奴には言われたくないな。

「待たないから大丈夫だ」

「黙れー、お前は俺達と来いやー」

何で桜井はいつも偉そうな口調なんだ?

「それがお前の運命だー」

それが運命だというなら、俺は断固その運命に立ち向かうね。たとえ世界を敵に回しても、一人になっても、最期まで抗い続けてやる。

 そう思っていたのにも関わらず、最終的に俺は一緒に行くハメになった。

時刻は15時57分。今日はさっさと帰れば今頃家に着いていたのに…。まぁ、仕方ないか。どうせ家にいてもまったりしているだけだしな。

「石原どこ行ったんだ?」

「知るか」

「知るかじゃねー…」

「知るかじゃねーよー。お前のほうが石原と付き合い長いだろうがー」

坂田が桜井に遮られたな。

「人のセリフ言ってんじゃねーよ!」

「なんだ、まだいたのかー?」

桜井ひどくね?

「喧嘩するなよ。もう4時だぞ?」

4時?16時…………。

「あ、石原の居場所分かったかも」

「どどどどこー?」

焦りすぎだろ。

「心当たりでもあるのか?」

「いや、そういうんじゃないけど…。けど、手紙で呼び出しくされていたから、多分屋上だ」

そう俺が言うと桜井は興奮気味に言った。

「でかした鏑木―!」

柏木です。

 桜井のテンションにつられ、小西もハイテンションになった。

「これで石原の様子見ができるな!よくやった、祀木!」

柏木です。

「んじゃ、早くいこ…」

柏木です。

「勝手に回想見て悪いんだけど、まだ何も言ってないんだけど!言い終わってすらないんだけど!俺の扱い酷くない!?」

うるさい、空気は黙ってろ。

「急ぐぞ、もう4時回っちまった!」

「おー!」

「毒を食らわば皿までも、だな」

「ちょっと待てェ!俺のこと全無視して勝手に行くんじゃ…」

全力疾走。文字通り、全力で走る様だが、こんなに速く走ったことないってくらい速く走った。なにより…

「桜井!もっとペース落としてくれって言ってるだろ!!」

「お前がもっと速く走ればいいだけだろうがー!!」

とは言われても、階段を4段抜かしで軽々と上がって行くのに合わせろというのも無理があるんじゃないだろうか。

 屋上に着き、石原を探す。

 くそっ、まだ日も短いせいか、薄暗くて周りがあまりはっきりと見えないな。

「しっ!隠れろー!」

桜井の言葉に、一斉に俺達は物陰に隠れる。

「アレ?なんか一人多くね?」

小西が疑問符を浮かべる。

「わざとなのか、素なのかわからないけど、単にお前らが俺の存在を抹消しているだけじゃね?」

その言葉に桜井が反応する。

「何ィ?チッ…誰にやられたんだー!?」

「お前らしか!他いないもの!!」

「なぜ分かったんだー!?」

「自覚あるなら謝れよ!」

言い合いを聞いて、小西が顔をしかめる。

「うるさい。空気と自分から同化しにいってるくせに人のせいにするな」

「今、完全に存在否定したよね!?」

可愛そうだからフォロー入れてやるか。

「気のせいだ」

「フォローになってないぞ、かし…」

柏木です。

 てか、コイツら意外と冷静さは保てているんだな。小声でボケとツッコミやってるし。

「まだかなぁ~」

諦めの悪いクソガキがあそこにいます。

 石原の様子を見て、桜井と小西が雑談会議を開く。

「何?あいつ、時計チラチラ見てるけどなんか意味あんの?」

「一応メモしておくか」

「?」

小西が出したメモを横から見る。

“モテるための法則”

んな法則あるわけねーだろ。

「第3項、時計をチラチラ見る」

「第1,2項なんだっけー?」

「第1項が話し言葉を子供口調にする、で、第2項が眼鏡をかける」

「ようし、明日眼鏡の取り寄せから入るかー!」

「おう!」

“おう!”じゃねーよ!

「待て待て、そのモテる法則の第3項まで全部が石原の特徴じゃねーか!」

俺がそう言うと、桜井と小西はあきれた顔をして、

「これだからモテない奴はー…」

「うんうん」

「石原の、いや、石原先生のやってることを真似れば、俺達もモテるって言うのにー」

「うんうん」

要するに、お前たちもモテてないってことじゃねーか。

「まさかそれを知らないでついてくるなんてねー」

「うんうん」

嫌がる俺を無理矢理連れてきたのはお前達だろうが。

「だから今からは石原に注目だー」

「うんうん」

「お前はうんうんしか言えねーのかー!」

“パァン”

小西が桜井に叩かれる音が屋上に響く。

「オイ、馬鹿!気付かれたらどうすんだ!」

「そん時はそん時だろー」

「後は野となれ山となれって奴?」

「そんな感じじゃねー?」

今さえ良ければ後はどうだっていいって意味じゃねーか!

 だが、石原は気付くことなく手紙の人を待ち続けた。

 そして、17時を回った。

「桜井、第4項がわかったぞ」

「なんだー?」

「男なら粘り強く、だ」

「よし、明日から採用だなー」

いや、多分石原の諦めが悪いだけだと思う。俺なら1時間も待てないかもしれないし。

「それにしてもいつまで粘るつもりなんだ?」

「…」

「…」

「(空気)」

その沈黙は、全員が分からないという返答と見て相違ないだろう。

 沈黙を破るように俺はため息混じりに言う。

「さぁな」

「待って!俺のセリフの所“空気”って書いてあるぞ!なんでそこには突っ込まないんだ!?」

「知るか。坂田、お前最近被害妄想多いぞ?」

「誰もお前のこと空気なんて言わねぇよー。柏木、英語で空気ってなんていうのー?」

「Air」

「だってよ。大丈夫だー、エアー」

「酷い!これ、いじめって言ってもいいレベルだと思う!」

とりあえず、そこの坂田はスルーしよう。

いくら春とは言え、まだ日は短い。17時を過ぎただけで結構真っ暗だ。石原は学校の部活用のライトの光に照らされてかろうじて俺達から見える。

「あのクソガキ、諦め悪いな」

ハァ、と溜め息をした時だった。

「アレって何ー?」

「アレってどれ?」

「アレだよアレー」

そう言って、桜井は石原から少し離れた位置を指差した。確かにかすかに反射するものを誰かが持って石原に近寄っている。

「なんか光ってるな」

「お、アレか。ホントだ、光ってんな」

「だろー?」

光の位置が分かった時、手にしているものも分かった。

「てか、アレ…包丁じゃね?」

「でも、うちの学校の包丁はあんな光ってないぞ?」

市販のものを買ったという可能性が0%ってどういうことだ?

「言ってる場合じゃねーだろー!助けに行くぞー!」

「そうだな!」

そういきり立って桜井と小西は駆けていった。

「オイィィィ!!そんな分かりやすく突っ込んでどうすんだ!?」

わざと大声で言ってやった。

 だが、アイツらはそんなことお構いなしにうなり声をあげる。

「ウラァァァ!」

「死ねェオラァァー!!」

桜井に至っては殺す気まであるらしい。

だが、包丁を持った危険人物は離れた俺ですら聞こえるような舌打ちをしてそそくさと消えてしまった。

「どうしたの桜井に小西まで?」

現状が分かっていない被害者になりかけた人ほど厄介な人はいないと思う。

「今、お前の後ろに包丁持ったおっさんがー!」

おっさんかどうかはまだ分かっていないんだが…。

「おどかそうとしてるんでしょ?丸分かりだよ!」

「いや、ホントにいたんだって!」

「そうだぜー!包丁持ってお前に近寄ってたんだぞー!」

「どこの妖怪だよ」

なんか…ウゼーな、あのガキ。

「俺たちも行こうぜ」

お前は大気圏でオゾン層に溶け込んでいろ。

「石原!帰んぞ!!」

なんにせよ、今日はもう疲れた。さっさと家に帰りたい。

「なぁんだ、柏木まで気になってきたんだ?」

なんか…異常に腹立つんですけど。

「今日は解散だなー!」

桜井の何の解散宣言か分からない解散宣言により俺達はそれぞれの帰路に着いた。

「どうして柏木は僕の所に来たの?まさか、誰が相手だか気になったの!?」

「ちょっと用があってな」

石原のハイテンションは正直に言わなくてもウザイ。泣く子も黙るヤクザは聞いたことがあるが、コイツの場合は赤ん坊が喋りそうなほど脳に影響が出そうだ。しんどいったらありゃしない。なんでコイツと俺の帰る方向が一緒なんだよ。百歩譲って学校出てから10メートルだろ。というか、俺にはそれが限界だね。

黙り続ける俺を無視して尚も騒ぎ続ける石原に、呆れ、近状迷惑だと思い、注意する気も失せた俺はこのままだんまりを決め込むことにした。

「でも何で自分から呼び出しておいて会いに来なかったんだろう?」

知るか。

「あっ、恥ずかしくて来れなかったのか!」

……………。

「だから手紙で告白なのか…」

ふと、ここで俺に疑問が湧いた。

―――誰があんな偽りのラブレターを石原に送りつけたんだ?

   そもそも、石原が来るかどうかも分からないじゃないか。さらには1時間以上もの遅刻までしていた。石原が待つって分かっていたのだろうか。

    もし、石原に何かするなら、石原のことをよく観察していなければ何もできないだろう。仮に、モノホンのラブレターだったら包丁なんか持ってくる必要もないし、罠だったら、やはり石原のことをよく知らなければできない芸当だ。だいたい、石原の方へ包丁を持って近づいた人間の性別すら…―――

ここで俺の記憶が蘇った。

(((((おっさんが凶器持ってお前に……)))))

記憶って曖昧なものだな。桜井は“凶器”じゃなくて“包丁”って言ってたよな。

 だが、今はそんなこと関係ない。関係あるのは“おっさん”の方だ。

 石原を狙ったのは男だったんだ。

とは思っても、俺には関係ない話だし、石原がどうなろうと知ったこっちゃないし、ぶっちゃけどうかなって欲しいしな。

「柏木~?聞いてるの~?」

「聞いてない。聞く気もない」

「石原誠の話を聞き流すとは…。なんと恐れ多き者よ」

俺は最後まで聞き流して家に着いたのであった。











~S2~


「ただいま」

家に帰っていつも、というよりも誰もが口にするセリフを言って家の中に入る。返事がない。まぁ、いつものことだし、どこか出かけているのかもな。

玄関で靴を脱ぐとそのまま自分の部屋へと直行した。朝の事態を直すためだ。

部屋の入り口のドアを開けると部屋は何事もなかったかのように片されていた。朝のは見間違いか?片さなくていいならそんなにいいことはない。面倒なことは嫌いなんだ。

バックをベッドへと投げつけ椅子に座る。今日は宿題あったっけか?あぁ、なんだこの程度の量か。明日学校でやろう。

「腹減ったな」

独り言を呟きリビングへ向かった。

冷蔵庫を開けるとコンビニ弁当が置いてあった。消費期限を見ると昨日までだった。

 まぁ、この程度なら大丈夫だろう。

昔、ふざけて使用期限の3ヶ月過ぎた口臭を治す錠剤を1ケースいっぺんに口にして昏倒したよりはマシだな。

適当に食べ終えてゴミ箱に容器を捨て、箸と使われていたであろうコップを洗うとテレビの方へと歩いた。

 …なんだ、この違和感…。

「…」

無言で上を見上げる。

天井には俺の両親が貼り付けられていた。父親の方はクモの巣に絡まったばかりのトンボのように暴れているが、母親の方は頭にたんこぶを作り、気絶している。まさか…!

「父さん…。そんな趣味があったっていうのか…」

「しょうなほほはい(そんなことない)!」

何を言っているのか分からない親をとりあえず天井から下ろそうと考えた俺はテーブルの上に椅子を置いて父親を引き剥がし、同じ感じで母親を引き剥がした。

「一体なんだって言うんだ!!」

「何があったの?」

「物音がしたからその方向に行ってみたんだ」

どこから物音がしたのか分からないんだけど。主語抜けって恐ろしいな。

「それで?」

「玄関で母さんが倒れていてな。近寄ったら後ろから太っている奴に警官棒で殴られた。そこからは分からん」

警官棒って…なんでそんな凶器まで記憶しているんだ?殴られて気絶していたのによく覚えていられるな。

「母さんの様子見といて」

「広樹、どこ行くんだ?」

「自分の部屋」

少し考えたいしな。何を考えるかは、もちろん今日起こったことに決まっている。

日常がある朝から変わる。学校で知り合いがイタズラに引っかかり、命を狙われる。そして、俺の両親が被害に遭う。偶然にしちゃ、少し出来過ぎてないか?偶然は3,4ヶ月に1回くらいの割合で起こるだろう。それが今日1日で2回も起こっているんだ。誰かが仕組んでいるとしか思えない。ただ、厄介なのが関係したのが俺と石原だけだ、というところだな。

高校に入ってから買ってもらったケータイを取り出す。買ってもらったは良いが使い道がわからない。というか、電話する時間も、メールする相手もいない。この性格が災いしたか。

そのケータイを眺めていると、いきなり鳴り出した。

「うおわぁ!な、なんだ?」

あまりに急なことに跳ね飛んでしまう。…メールかよ。

“石原だよ。登録しといてね”

俺は教えた覚えないんだけど。どうして送ることができたんだ?

“あぁ、わかった。”

メールなんてしたことないからどう返せばいいのかわかんねぇ。

“タラリタッタッタッター”

何だ、この着メール音?ドラクエのレベルアップ?

“おー、桜井だー。仮死裸木がケータイもってるって岩原がいってたからメアドきいておくったぞー。とうろくついでにへんしんしてくれるかー?”

人名意外全部ひらがななんだけど。漢字という存在は桜井にとってないに等しいのだろうか。それに、仮死裸木ってなんだよ。“かしらぎ”か?どういう頭していたら人の名前をそんな風に間違えられるんだ?岩原についてはスルーでいいだろう。

“柏木だ。人の名前間違えてんじゃねーよ”

嫌味かもしれないが俺も嫌なものは嫌なんでね。

風呂でも入ってくるか。


―――――20分後―――――

  

風呂から上がるとメールが2通来ていた。小西と…アレ、坂田って誰だっけ?

“小西だ。宇津木のメアド知ってる?”

“知るわけないだろ”

なんで知らない女のメアドを知っていなきゃならねーんだ。

“使えない奴だな”

コイツ、迷惑メール報告してやろうか。

 さて、坂田ははと…。

“登録して”

 …せめて名乗ろうぜ。

 さてと。明日の準備でもして寝るかな。

今時、俺のようにケータイを持っていなかったのに最近買って使い方が分からないという人はいるのだろうか。

 まぁ、いいや。寝よう寝よう。


―――――次の日の学校の校門―――――


「かぁ~しぃ~わぁ~ぎぃ~!!」

朝から騒々しいな。

「なんで昨日メールしたのに返事くれなかったんだよ!?」

公共の道路で叫ぶな。それに、返信はちゃんとしたぞ?

「どういう内容?」

「その前に言うことは?」

何だコイツ?偉そうだな。

「何して欲しいんだ?」

「悪いことしたときはなんて言うの?」

当たり前のように俺を悪者扱いするな。それに個人情報を勝手に流出させた方が悪いに決まっているだろ。

「はいはい、俺が悪かった」

屈辱よりもこれ以上の負担を減らすことを優先しよう。

「ホントにそう思ってる?」

めんどくさっ!石原ひどくめんどくさっ!!

「あぁ」

「許して欲しい時にはそれなりの態度ってモノがあるよね?」

謝んなきゃよかった。

「態度?」

「ここで土下座して僕の靴舐めたら許すの考えてあげるよ」

前思考撤回。面倒だからスルーでいこう。

「(全力でダッシュ!)」

「卑怯な!逃げるというのか!」

そんなパクリゼリフのようなこと言って追いかけて来るんじゃねぇ!

くそっ!アイツ、ただのボンボンのくせに足が異常に速いな!このままじゃ追いつかれる!

「追いついちゃうぞぉ~?」

「誰かぁぁ!警察を呼んでくれぇぇぇ!ここに不審者がいるぞぉぉぉ!!」

俺の声に反応して周りの人が俺たちを見る。

「たっ大変だ!高校生が高校生に襲われているぞ!!」

警察に連絡しろ!

「っていうかアレって遊んでるだけじゃね?」

電話をかけろ!

「逃がさないぞぉ~!!」

ダメだ、捕ま…って、アイツ、空飛んでるぞ!どういうことだ!?背中に空を飛ぶ装置的なものがついてるし!

「放っとけ放っとけ。どうせ目立ちたいだけだよ」

お願い、誰か助けて…。

「…騒ぎになっていると聞いてやって来れば何事だ?」

そう呟いた男は俺と同じ制服を着ていた。そして、奴はケータイを取り出すとダイヤルし、耳に当てた。

 た、助かった。そう思った瞬間だった。

「邪魔はさせない!」

石原はそう叫ぶと、ガチャガチャのカプセルサイズの球体をその男に向かって投げつけた。その球体はまもなく爆発し、キラキラと銀白色の粒子が舞う。

「オイィィィ!何で無関係の生徒巻き込んでんだ!!」

「大丈夫さ!非殺傷の電波妨害用の手榴弾だからね!」

そういう問題じゃないだろ!明らかにここの近隣の人に迷惑がかかるだろ!

 それに非殺傷とはいえ、手榴弾ってアリなのか!?

「柏木!人生諦めが肝心だよ!!」

「なんてこと言いやがる!まだ俺の人生は終わっちゃいねぇ!!」

そう叫んで限界に果てしなく近付く足に力をこめて先程の男の前を通り過ぎた。

「…任せろ。」

その呟き、信じるからな!

「どけぇぇぇ!!」

「せえいっ!」

石原が通り過ぎる瞬間に、あの男は石原の背中の装置と思われる物体に肘打ちを決めた。喰らった石原は地面に激突して装置とともに気絶した。

「…さ、サンキュー」

「礼には及ばんよ」

紳士的な印象を受けるそいつの容姿は、男と判断し難い長く艶やかな髪の毛と痩せた体だった。制服が新しいところを見るとどうやら俺達と同じ学年らしい。

「オイ!ロン毛!」

「ロン毛だと!?俺は狩野だ!」

「柏木広樹だ!よろしくな!」

なんで道路の真ん中で、しかも大声で自己紹介してんだ?


狩野かりの 秀明ひであき


「俺は狩野だ!狩野秀明というものだ!柏木といったな?これから世話になるやもしれん!よろしく頼む!」

…アイツ、なんか格好良いな。そう俺が思うと、狩野はこちらを振り向き微笑んだ。そして空を仰ぎ見るようにして校舎も眺めた。

満足したのか、また歩き始めると校舎の中へ入っていった。その途中で

「あいたぁぁぁぁ!!!!」

と足の小指を壁にぶつけて叫んでいたことを俺は知らない。…知らない。聞こえなかったんだ。うん、アレは空耳だよ。きっと季節外れの突然変異したセミが鳴いたんだよ。そういうことにしておこう。

 石原をどうしようか迷ったが、捨て置くことにして学校へ入った。

「(カリカリカリカリ)」

そして今、絶賛宿題中である。

「なんだ柏木―。お前真面目な奴だと思ってたけどそうでもねーみてーだなー」

「終わってるのなら見せてくんね?」

そう言うと桜井は「今日は珍しくやったんだよね~」と、気持ち悪い笑みを浮かべて自分のかばんをあさりに行った。

 桂は何組なんだろう。聞いときゃ良かったな。

「おう、コレで合ってるかー?」

そう言いながら桜井は自分の宿題を持ってきた。

「合ってる合ってる」

見るとホントにやってある。

 さて、写すとするか。

運が良かったのは、今日までの課題が数学だったというところだろう。国語とか、英語だったら桜井は手も足も出そうにないからな。

と、思った俺がバカだった。

「お前…足し算しかやってなくね?」

「おぉ、よく気付いたなー」

当たり前だ。

「いや実はよぉ、俺ここの学校に金で入ってんだー」

自慢にしか聞こえないな。

「と言うのもな、俺…あの…へ…偏……?…なんだっけー?」

「それで答えられる奴はいないと思うぞ」

「もしかして偏差値のこと?」

どっから沸いてきたんだこのクソガキ。

「おう、それそれー。それが7未満って言われてなー」

どうやったら7より下を取れるのかお教え願いたいくらいだ。

「まぁ、しゃーないっちゃしゃーないんだけどなー。計算は足し算しか知らないし、漢字は読めねーし、社会とか覚える気になれねーし、理科は実験日以外は全部寝てたしなー」

つまり、頭が悪すぎて金で高校に入るしかなかったと。

英語が抜けているのはスルーでいいか。

「それよりさ」

「なんだ?」

「昨日さ、僕告られたじゃん?」

勘違いは死ぬまで続くのだろうか。

「でさ、実は暗視ビデオカメラが内蔵されているシャーペンでそいつの顔撮れてるのかもしれないんだよね」

お前の命を狙った奴の顔か。

というか、いくら金持ちでも息子がそんなシャーペンを持ち歩いていることに親は何も言わないのか?

「確認しようぜー」

「言うと思ってパソコン持って来たよ」

用意良すぎないか?

 パソコンの画面を見ていると小西と空気が来た。

「ちょっと待って!せめて空気(坂田)にして!」

人の心を勝手に見るな。プライバシーの侵害だ。

「…なぁ、昨日杉浦が柏木の家どこだって聞きに来たんだけどさ、なんかあったのか?」

小西は俺の家の近所。俺の家の位置を知っていてもおかしくない。

「教えたのか?」

「うん」

どうして杉浦が俺の家に?

そう考えようとした時だった。

「「ああーーーー!!!」」

なんだ石原と桜井か。騒々しいな。

「コイツはー…」

「うちのクラスの担任の…」

「………誰だっけー?」

“パァン!”

小西が桜井を叩く。

「松浦だろうが!」

いや、お前も間違ってるよ。杉浦だかんね。

「どうして松野元先生がここに!?」

オイ、間違えの侵食が始まってるぞ。

―――ここでまた記憶が蘇る。

 (((((ちょっと太った人でした。)))))

 (((((太った奴に警官棒で殴られた。)))))

  これが意味するものは―――

パソコン画面を見る。こいつか。

「どうする?」

小西の言葉に桜井が真面目な顔つきで答える。

「フルパワーでボッコボコだろー」

なんでフルボッコと言わないんだろうか。

「でも、それじゃ公務執行妨害だよ」

「なんだそれー?」

「簡単に言えば、仕事の邪魔をすることだよ」

「へぇ~。じゃあコイツもその…何とか害だなー」

そう言って桜井がパソコン画面を指差す。

「どうして?」

「人生の邪魔だー」

存在否定し始めやがった。

だが、石原の言ってることは正しい。公務執行妨害になるのかどうかは置いといて、職業妨害とはとれるかもしれないからな。

しかも、状況が状況だ。犯罪とは犯人が分かっていても捕まえることが難しい。盗難が良い例だ。目撃者がいたとしても、人違いじゃないんですか、とか、見間違いだ、とか、複数人で俺のこと陥れようとしている、とか言われて回避されてしまう。

このパソコンの映像は証拠としては成り立つだろうが、やはりそれだけでは不充分だ。どうしたもんかね。

「どうするんだ?」

「ググれカスー」

意味ないと思う。

「じゃあ、こうするか」

そして、俺達は行動に出た。


―――――放課後―――――


「ZZZ…。ZZZ…」

寝たふりを決め込む俺。

“コツコツコツコツ………”

廊下に響く足音。

今は午後の5時30分。俺は人がいない教室に一人で寝ていた(フリ)。

“コツコツ…コツ”

足音が俺の前で止まる。それに合わせて俺は顔を上げる。目の前には黒い服に身を包み、ロープを持った奴の姿が。

「そんな格好で何しているんですか?」

「!」

  動揺を隠せない目の前の人物に俺は笑ってしまった。

その行為に冷静さを取り戻したのか、俺の首にロープを縛り付ける。そのまま締め上げられる。

「ぐぅっ!!」

でも、これくらいは我慢しなきゃな!

「てぇぇぇいー!!!」

“ブベシ!”

「のわぁぁぁ!!」

すぐに桜井が助けに来ると分かっているから!

 桜井の飛び蹴りを喰らった人物は悔しそうに歯軋りした。

「何でこんなガキ共に!」

「ガキ舐めちゃいけませんよ…杉浦先生」

にっと笑うと石原の声が聞こえた。

 そう、一連の犯行と取れることをしたのは俺のクラスの担任、つまり、杉浦だったのだ。

「杉浦先生!暴行罪、殺人未遂で現行犯逮捕するよ!」

その声が終わると、警官が嵐のようになだれ込んで来た。手錠をかけられ連行される哀れなうちのクラスの担任。

「でも、良くこんな無茶な真似思いつくよね」

「男らしいけどなー」

「お前らがいなけりゃやんなかったよ」

一通りの作戦はこうだ。


―――――3時間目の休み時間―――――


「杉浦は授業開始よりに早くに来るよな?」

「うん」

「アレ邪魔なんだよなー」

同感だ。

「俺が杉浦に相談の面持ちで昨日俺の家で起きたことを話す。警察に連絡すると言う話もする」

「どうして?」

「俺に気を集中させるためだ。奴を捕まえるには現行犯逮捕が一番手っ取り早い」

「それで、俺たちはどうすれば?」

「俺が杉浦に接触後、大声で放課後に用があるから待ってくれと言う話しをしてくれ」

「場所はどうするの?」

「教室でいいよなー?」

「あぁ。そうしよう。…杉浦が来たぞ。作戦開始だ」


 そして、今の俺の思考。

―――自分でも無茶苦茶だと思うな。

   ただ、石原の警察の助けと桜井の援護がないと分かれば俺だってこんなことやらない。

「でも、なんでそれで引っかかると思ったんだ?」

「そんなの自分が犯人なのに警察沙汰にされたら誰だって焦るだろ?ばれなくする為にはどうするか。俺の口をふさぐしかないだろ?」

「そういうことかー」

「一件落着だね!」

このガキはラブレターがイタズラだって気付くのを拒んでいるのだろうか?

「柏木はいるか?おぉ、いるではないか」

そう誰かが言いながらこちらに歩み寄ってきた。

…名前が思い出せないな。

「貴殿のおかげで助かった。礼を言おう」

「何が?」

「俺の代わりに犯人を捕まえてくれたではないか。あの、杉浦とかいう者を」

  コイツも被害にあっていたのか。よかったよかった。









エピローグ


杉浦が学校を去ってから約1ヵ月。俺たちはテスト期間という高校生であれば誰もが嫌いそうな期間に突入しかけているのであった。

「のあ~…」

「個性的な伸びの仕方するね~」

大きなお世話だバカヤロー。

「(チーン)」

あ、あそこで天に召されようとしている桜井がいる。召されようと言うか、自分から向かって行っている感じがする。

「おぉ!今回はいけそうだな!」

あ、あそこに動物園から逃げてきたサルがいる!

「…」

坂田は……………いいや。

テスト期間と言えば、いつもより「なんか言えばァァ!」帰宅時刻が早いから「ねェ!ちょっと聞いてる!?」好きなテレビの時間に間に合うんだよな「いいかげんにしろ坂田―!八つ裂きにされてーのかー!!」そうだそうだ!やっちまえ桜井!!

「もう…静かにしてよ!!」

「お前が言っても説得力がないな」

「な、なんだとー!!」

だって石原うるさいもん。

「黙れバカ共―!!」

桜井にだけは言われたくない!

「勉強に集中できねぇだろうがー!!」

明日はハリケーンと嵐と台風とブラックホールが日本にやってくるな。

「お前もうるさいぞ?」

「黙れー!サルはサルらしく動物園か水族館に帰れー!!」

水族館にサルはいません!!


―――まぁ、うるさくてもいいか。退屈しないしな。

  日常はいつか非日常に変わる。でも、その非日常も永遠じゃないんだ。今がどうとか言っていられないな。今出来ることを探してやる。それが後で後悔しないための生き方かもな。

…俺は面倒くさいからやんないけど。


                        第1話 失われた日常  ~完~


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