樹里ちゃん、瑠里のクラスメートをもてなす
御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドです。
今日は日曜日です。
そのため、あの変態集団や、うるさいメイドは登場しません。
「我らは変態集団ではありません!」
どこかで抗議している昭和眼鏡男と愉快な仲間達ですが、スルーする地の文です。
「うるさいメイドって何よ!」
仮面夫婦の目黒弥生が地の文に切れました。
「仮面じゃないわよ、ラブラブ夫婦よ!」
更に切れる弥生ですが、これで終わりです。
「そうなんですか」
それにも関わらず、樹里は笑顔全開で応じました。
「ママ、ごめんね、お休みなのに」
長女の瑠里は樹里に言いました。
「瑠里のお友達が遊びに来るのであれば、大歓迎ですよ」
樹里は笑顔全開で応じました。
「ありがとう、ママ」
瑠里は樹里に抱きつきました。
「あんた達、失礼がないようにしてよ」
瑠里は次女の冴里、三女の乃里、四女の萌里に真顔で告げました。
「わかってるわよ」
日増しに樹里に似て来ている瑠里の真顔に怯えながら応じる冴里と乃里と萌里です。
「パパ、ざんねんそうだったね」
乃里が言いました。不甲斐ない夫で父親の杉下左京は、不倫相手の坂本龍子と共に仕事と称した不倫旅行です。
「違うよ! 人探しだよ!」
新幹線の中で地の文に切れる左京ですが、龍子は嬉しそうです。
「いない方がいいのよ。パパ、ロリコンだから」
瑠里はムッとしています。左京が聞いたら、悶絶死してしまうと思う地の文です。
「ろりこんてなに?」
萌里が乃里に小声で訊きました。
「教えなくていいから」
冴里が乃里の口を塞ぎました。
四姉妹が騒いでいると、ドアフォンが鳴りました。
「はーい」
瑠里が受話器を取りました。
「瑠里さんのクラスメートの清原です」
何故かファーストサマーさんがいます。
「その納言じゃないわよ!」
いきなり名前ボケをぶっ込んだ地の文に切れる清原納言です。
(どうして、清原さんが? 呼んでいないよね?)
瑠里は嫌な予感がしました。
「どうぞお入りください」
玄関にいた樹里が笑顔全開でドアを開き、招き入れました。
「お邪魔します」
入って来たのは、南州さんではなく、納言とその他大勢でした。
「南州さんて誰よ!」
すかさず地の文に突っ込む納言です。
「その他大勢って何だよ!」
地の文に切れる佐渡島です。
「小島だよ!」
本家顔負けのキレ芸を披露する小島翔です。
「まあまあ」
小島を宥める多目的です。
「その渡部じゃねえよ!」
取り敢えず挨拶がわりの名前ボケをした地の文に切れる渡部悠斗です。
「うるさいのよ、貴方達は」
横目で嗜める近藤さんです。
「その春菜じゃないわよ!」
やっぱり切れてしまう伊藤陽菜です。
(みんな、品がなくて嫌だわ)
それを呆れて見ているフルーツポンチです。
「その村上じゃないわよ!」
下品に地の文に切れる村上麻莉奈です。
「村上、落ち着いて」
それを宥める野田慶熙です。
「あ、うん」
慶熙に言われて、茉莉奈は顔を赤らめました。
「ねえ、どうして、清原さんがいるの?」
瑠里が陽菜に小声で尋ねました。
「いつの間にか、一緒にいたのよ。怖いから何も言えなかったの」
陽菜は身震いしました。
「そうなんだ」
苦笑いする瑠里です。
「どうぞ上がってください」
樹里が笑顔全開で一同をリヴィングルームに通しました。
瑠里の妹達は、厳命により、自室待機にされています。
「瑠里さんのお母さん、綺麗な人だね」
早速エロ男爵が言いました。
「誰が◯村一樹だ!」
正直に表現した地の文に伏字にするしかない過激な表現で切れる野田です。
「ありがとう」
瑠里は微笑んで応じました。
(こいつ、見た目よりエロいから、気をつけないと)
すでに警戒心MAXの瑠里です。
(何よ、慶熙ったら、杉下さんのお母さんに色目を使ったりして!)
嫉妬心剥き出しで野田を睨む麻莉奈です。
「どうぞ」
樹里は切り分けたホールケーキを素早く皆の前に出しました。
「飲み物は各自好きなのを取ってね」
瑠里は二リットルのペットボトル入りの炭酸飲料をテーブルに出し、コップを並べました。
「ありがとう」
納言はコーラを取り、なみなみと注ぎました。
「あ、俺も」
小島がそれを取ろうとすると、
「これは私の。あんたは水でも飲んでなさい」
まるで女王様のように小島を下に見る納言です。
「ううう……」
そういう設定が好きな小島は何も言い返さずに水を飲みました。
(こいつ、卑屈だな)
それを見て、呆れる悠斗です。
「慶熙は何を飲む?」
麻莉奈が尋ねた時、慶熙は、
「瑠里さん、それちょうだい」
瑠里が自分のコップに注いだジンジャーエールのボトルを取りました。
(何よ、慶熙は! 杉下の事は瑠里さんで、私の事は村上で……)
涙ぐむ麻莉奈です。
「麻莉奈、はい」
それを見ていた渡部が麻莉奈にジンジャーエールを注いだコップを差し出しました。
「あんたに名前を呼び捨てされる覚えはない!」
麻莉奈は鬼の形相で渡部を睨みました。
「はい……」
震えて頷く渡部です。
「はい、お代わりね」
そこへ納言がしゃしゃり出て、慶熙のコップにジンジャーエールを注ぎました。
(火に油)
瑠里は顔を引きつらせました。
「ありがとう、清原さん」
麻莉奈の怒りに全然気づいていない野田はにこやかに応じました。
「喧嘩売ってるの、あんたは!?」
とうとう麻莉奈が切れてしまいました。
「はあ? 何言うとんねん、われ。いてもうたろか」
納言はつい痔が出てしまいました。
「その痔じゃない!」
痔間違いをした地の文に切れる納言です。
「皆さん」
樹里が静かに言いました。勘のいい瑠里はギクッとしました。
「仲良くしましょうね」
樹里は真顔全開で告げました。
「ひっ!」
樹里の真顔に気づいた納言達は蒼ざめました。
「は、はい」
小島も渡部も、野田も麻莉奈も姿勢を正して応じました。
(杉下さんのお母さん、綺麗だけど怖い)
陽菜は涙ぐんでいました。
(すごい迫力や。杉下の母親、元ヤンちゃうか?)
納言は瑠里を虐めるのはやめようと思いました。
「そうなんですか」
その直後、樹里が笑顔全開で応じたので、ホッとする一同です。
めでたし、めでたし。