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樹里ちゃん、共通テストを受験する?

 御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドです。


 樹里と年の離れた妹の真里が、大学受験をします。


 これまで、ずっと影の薄い存在だった彼女に、遂にスポットライトが当たります。


 昭和眼鏡男達が悔しがっていると思う地の文です。


「我らはそんな小さい器ではありません!」


 地の文の指摘に抗議する眼鏡男達です。


 でも、登場はここまでです。


「酷い!」


 更に抗議する眼鏡男達ですが、既読スルーする地の文です。


 真里は璃里に似ていて、優秀です。受験するのはあの赤門がある大学なのです。


「私、璃里お姉ちゃんと同じく、国家公務員になって、霞ヶ関でバリバリ働きたいの」


 真里は言いました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


「真里なら、できるわ。頑張って」


 璃里は真里の優秀さを知っているのです。今まで影が薄かった分、設定はどうにでもなると思う地の文です。


「影が薄いって、うるさいわね! 私は御徒町一族の頂点に立つのよ!」


 真実を述べただけの地の文に理不尽に切れる真里です。


 真里は、受験会場に近い樹里の家に泊まる事になりました。


 そこには、ロリコン伯爵がいるので、気をつけた方がいいと思う地の文です。


「誰がカリオストロだ!」


 自分の事を言われたのに気づき、地の文に切れる不甲斐ない夫の杉下左京です。


「不倫するなら、大学を卒業してからにしてね」


 昔から左京をからかうのが好きな真里が笑えない冗談を言いました。


「そうなんですか」


 引きつり全開で応じる左京です。


「真里お姉ちゃん、安心して。パパは私達が監視するから」


 真顔で言う長女の瑠里です。次女の冴里がその後ろで頷いています。


「そうなんですか」


 三女の乃里と四女の萌里は笑顔全開です。


「ううう……」


 娘達にそんなふうに思われているのを知り、項垂れるしかない左京です。


「そうなんですか」


 それにも関わらず、樹里は笑顔全開です。


 


 そして、試験当日の朝になりました。


「行って来ます」


 真里は樹里と璃里に付き添われて、試験会場へ向かいました。


「左京ちゃんは行かないでね」


 朝になって駆けつけた真里の母親である由里が笑顔全開で左京に言いました。


「はい……」


 左京は人を不幸にする宿命なので、由里に引き止められたのです。


「そうなんですか」


 それにも関わらず、樹里が幸せいっぱいなのは、左京の不幸を呼ぶ宿命を凌駕する運勢だからだそうです。 


 由里によると、樹里以外の女性が左京と結婚したら、すぐに離婚してしまうか、途轍もない災難に見舞われるようです。


 ですから、坂本龍子弁護士は、左京と結婚しなくてよかったのです。平井蘭や加藤ありさも同様です。


「かはあ……」


 自分のあまりの運の悪さに血反吐を吐いてのたうち回る左京です。




 真里と樹里と璃里は、無事に試験会場に到着しました。


「受験生の皆さんはこちらですよ」


 案内係の女性が誘導しています。


「さ、急いでくださいね」


 その女性は間違えて樹里を連れて行こうとしました。


「あ、違います!」


 璃里は慌てて引き止めました。


「え? あれ?」


 女性は、真里と樹里と璃里がそっくりなので、


「か、替え玉受験?」


 あらぬ疑いをかけてきました。


「違います! 私達は妹の付き添いです!」


 璃里が女性に抗議しました。


「ああ、そうなんですか。失礼しました。では、こちらへどうぞ」


 またその女性は樹里を連れて行こうとしました。


(樹里お姉ちゃん、私より幼く見えるのかな?)


 ショックを受けている真里です。


「違います! 受験するのは、この子! 西村真里です!」


 璃里が業を煮やして、真里の受験票を見せました。


「ああ、すみません!」


 ようやく真里がわかった女性は真里を誘導して行きました。


「もう、縁起でもないわね」


 溜息を吐く璃里です。


「お姉ちゃん、ありがとう! 頑張るね!」


 真里はハプニングに動揺する事なく、会場へ入って行きました。


「頑張ってね、真里」


 璃里が言いました。


「そうなんですか」


 樹里へ笑顔全開で真里を見送りました。


「さあ、私達は帰ろうか」


 璃里は樹里に告げました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。

 

 


 そして、第一日目の試験が終わりました。真里は英語の試験を受けたので、帰りが遅くなりました。


「どうだった?」


 絶対に試験の事を訊かないようにしようと話したのに、由里が忘れて訊いてしまいました。


「お母さん!」


 璃里が由里をたしなめました。


「ごめーん、ついうっかり」


 てへっと笑う由里ですが、樹里以外誰も笑顔ではありません。


「悪かったよ」


 さすがにへこむ由里です。


「そうなのかね」


 夕方から駆けつけた真里の父である赤川康夫は笑顔全開で応じました。


「お父さん、来てくれたんだね。嬉しい」


 真里は康夫に抱きつきました。


(羨ましい)


 左京は思いました。


「思ってねえよ!」


 少しだけ思っていたので、動揺して地の文に切れる左京です。


「真里、夕食を食べたらすぐにお風呂に入って、早く寝なさい」


 康夫は真里の頭を撫でました。


「うん、お父さん」


 真里は涙ぐんで応じました。ややこしくなるので、現在の戸籍上の父親である西村夏彦がいなくてよかったと思う地の文です。


「パパ,のぞいちゃダメだよ」


 瑠里が言いました。


「の、のぞかないよ!」


 顔を真っ赤にして言う左京です。


「そうなんですか」


 樹里はそれにも関わらず、笑顔全開で応じました。


 夕食を終えると、由里達は帰りました。残ったのは、璃里と真里だけです。


「おやすみなさい」


 真里は瑠里達と同じ部屋で休むのは大変なので、以前瑠里の家庭教師をしていた有栖川倫子こと霜月皐月しもつきさつきが使っていた部屋で寝る事になりました。


「左京ちゃん、一緒に寝る?」


 真里が冗談を言うと、


「ば、バカな事言うなよ」

 

 左京はひどく動揺しました。


「そう。じゃあね」


 真里が実は結構本気なのは内緒にする地の文です。


「内緒にしなさいよ!」


 バラしてしまった地の文に切れる真里です。


「真里ね、左京さんの事、ずっと好きだったみたいよ」


 璃里は小声で樹里に告げました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


「もしかして、知ってたの?」


 璃里が尋ねると、


「知りませんよ」


 樹里は笑顔全開で否定しました。


(ホントかしら?)


 璃里は首を傾げました。


 試験二日目に続くと思う地の文です。

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