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樹里ちゃん、左京をシャーロットホームズに盗られそうになる

 御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドです。


 今日も笑顔全開で出勤します。お腹もせり出し始めたので、


「樹里、そろそろ仕事を休んだ方がいいんじゃないか?」


 不甲斐なさ抜群の夫である杉下左京が言いました。


「あれこれうるさい!」


 正しい事を言ったはずの地の文に理不尽に切れる左京です。


「左京さんだけにお仕事をしてもらうのは心苦しいですから」


 樹里は全く悪気なく左京の心をえぐるような事を言いました。


「そうなんですか」


 涙目になって樹里の口癖で応じる左京です。


 そして、樹里はいつものように昭和眼鏡男と愉快な仲間達と共にJR水道橋駅へと向かい、長女の瑠里は集団登校で小学校へ向かいました。


「パパ、なにしてるの!」


 次女の冴里が左京を仁王立ちでたしなめました。


「してるの!」


 三女の乃里も冴里の真似をしています。


「悪かったよお、冴里、乃里」


 左京はデレデレして応じました。気持ち悪いので警察に通報したくなる地の文です。


「何でだよ!?」


 正当な発言をした地の文に切れる左京です。


「ワンワン!」


 ゴールデンレトリバーのルーサが、


「相変わらず、バカだな」


 そう言っているかのように吠えました。


 


 しばらくして、左京は冴里と乃里を保育所へ送り届け、帰宅しました。


「む?」


 その時、スマホが鳴りました。


(この着メロは……)


 シャーロットからです。左京はウキウキして通話を開始しました。


「やめろ!」


 図星の中心核を突かれて動揺しながら地の文に切れる左京です。


「はい、杉下左京探偵位事務所です」


 左京が応じると、


「朝早くから申し訳ありません、杉下先生」


 シャーロットの声が聞こえました。デレッとする左京です。


「違う!」


 正確な描写をした地の文に切れる左京ですが、


「いえ、大丈夫です。ご用件は?」


 あくまで事務的に尋ねました。


「先日は失礼しました。今日はご予定はありますか?」


 厳しい事を訊かれ、うっとなる左京ですが、


「午前中なら空いています」


 見栄を張りました。


「では、十時に弊事務所でお会いできませんか?」


 シャーロットから不倫の連絡でした。


「違います!」


 電話越しに地の文に切れるシャーロットです。


「わかりました。お伺いします」


 左京はヘラヘラして言いました。


「やめろ!」


 左京は焦って地の文に切れました。


「では、お待ちしています」


 左京は通話を終え、事務所へ行きました。


(今日は有栖川さんがいなくてよかった。ホームズさんに会う時、有栖川さんがいると、ちょっと気まずい)


 心情としては、有栖川倫子ことドロントに味方したい左京ですが、シャーロットの巨乳も捨て難いのです。


「やめてくれ!」


 おっぱい星人なのにそれを否定しようとする左京に強烈な突っ込みをする地の文です。


 


 その倫子は、こっそり五反田邸に来ていました。


「シャーロットが左京さんに会うらしいわ。まだ盗聴器が仕掛けてあるのに気づいていないようだから、何を訊くのか確かめられる」


 住み込み医師の長月葉月の部屋で作戦会議中のドロント一味です。


「まだ首領への疑いが晴れていないんですか?」


 先日、ポンコツぶりを露呈した目黒弥生ことキャビーが尋ねました。


「そのようね。シャーロットはそもそも私達を疑って日本に来たのだから、そう簡単には見逃してくれないと思う」


 倫子は弥生を見て言いました。


「いずれにしても、首領はあまりここに来ない方がいいですよ。私達は赤の他人なのですから」


 葉月が言いました。


「わかってるわよ。今回は、樹里さんにも言わないで来たんだから」


 倫子が言った時、


「おはようございます」


 いきなりドアを開いて樹里が現れました。


「きゃっ!」


 思わず小さく悲鳴をあげてしまうドロント一味です。


「すみません、ノックをしたのですが、お返事がなかったもので」


 樹里は笑顔全開で詫びました。


「そうなんですか」


 引きつり全開で樹里の口癖で応じてしまうドロント一味です。


「弥生さん、本日は十名様が昼食会にお見えで、準備を早めにしなければならないので、庭掃除は午後にしましょう」


 樹里は笑顔全開で業務連絡をしました。


「わかりました」


 苦笑いして応じる弥生です。


 


 一方、左京はスキップしながら、シャーロットの事務所に向かっていました。


「してねえよ!」


 心理描写を正確にした地の文に切れる左京です。


(ホームズさん、何が目的だ? 俺から聞き出すことなんて、もうないと思うんだが)


 そうは思うながらも、シャーロットの隠し球を想像して、心拍数が跳ね上がっている小心者の左京です。


「あ……」


 などと妄想していると、モーリー探偵事務所のビルの前に着いていました。


「よし!」


 気合いを入れてロビーに入る左京です。


 前回来た時は、シャーロットの案内で入ったので、受付は通していません。


 綺麗な黒髪の白人女性が微笑んで、


「ミスター杉下ですね? 所長が所長室で待っております。エレベーターで五階へどうぞ」


「ありがとう」


 顔を赤らめて応じると、エレベーターへと歩く左京です。


 


 シャーロットは所長室のゆったりとした椅子に座り、窓の外を眺めていました。


(いろいろと調べてみたら、杉下左京氏は、ドロントと友好関係があるらしい事がわかってきた。しかも、警視庁のドロント特捜班も、別件でドロントに力を貸してもらっている。左京氏からドロントに不利な証言を得るのは難しいかも知れない)


 その時、ドアがノックされました。


「どうぞ」


 シャーロットはドアを見て応じました。


「失礼します」


 左京が入ってきました。シャーロットは笑顔になり、


「お待ちしておりました、杉下先生。どうぞおかけください」


 ソファに近づきながら言いました。


「はい」


 左京は苦笑いをして、ソファに座りました。シャーロットは向かいのソファに腰を下ろして脚を組みました。


「お忙しいのにお呼び立てして申し訳ありません」


 シャーロットが言うと、


「いえ、今日の予定は午後からですので、差し支えありません」


 また見栄を張る左京です。


「では、早速お尋ね致します。有栖川倫子先生は、現在、先生のご自宅に住み込みで働いていますね?」


 シャーロットはグッと顔を近づけました。


「あ、はい」


 それにたじろぎながら返事をする左京です。するとシャーロットはテーブルを回り込んで左京の隣に座り、


「それはいつからですか?」


 顔を近づけました。吐息がかかり、左京は硬直しました。


「ええっと、四月の初め頃です。ちょうど、ホームズさんと初めて会った頃です」


 左京はシャーロットから距離を置いて言いました。


「シャーロットでいいですわ、左京さん」


 更ににじり寄るシャーロットに焦る左京です。


「はい」


 左京は横目でシャーロットを見て応じました。


「偶然ですわ。私が事務所を構えた頃ですね」


 一瞬シャーロットの目が鋭くなったので、ビクッとしてしまう左京です。


 


「大丈夫でしょうか?」


 葉月の部屋で盗聴をしているドロント一味ですが、弥生が蒼ざめて言いました。


(樹里さんには聞かせられない)


 顔を引きつらせている倫子です。


 このまま次回に続くと思う地の文です。


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― 新着の感想 ―
[一言] この小説は国籍不明ですよね。 いろいろな人が出てくるけど、みんな人形のようなスタイルの人しか思い浮かばない。どうしてかなあ。 やはり、おしゃれだからですね。
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